もし皆さんの会社で、カスタマーサクセス推進の要として、サポート担当者のエクスペリエンスを重視しているなら、良質なカスタマーエクスペリエンスを実現するための秘密のレシピを習得したも同然です。つまり、サポート担当者の業務環境を整備し、必要な機能にアクセスできるよう支援し、意欲を高めることが、カスタマーエクスペリエンスの改善につながります。
では、どこから着手すればよいのでしょうか。
サポート担当者のエクスペリエンスを重視するという、このプロアクティブな変革に取り組むにあたっては、まず社内のコラボレーション体制の強化を優先することをお勧めします。
Zendeskの最新のCXベンチマーク調査によると、カスタマーサービスチームが最も必要としているのは、協力的な環境とコラボレーション能力です。カスタマーサービスマネージャーと担当者の双方が、顧客満足度の向上を最優先事項に挙げていることを考えれば、当然とも言えるでしょう。
またこの調査では、顧客の70%以上が、説明を繰り返したり、待たされたり、混乱したりということのないよう、企業の内部では情報共有が図られているものと考えており、68%が複数の部署をたらい回しにされたときに不満を感じていることが明らかになっています。担当者間、部署間、さらには外部の関係者との間で簡単に連携できるようになれば、全方面にメリットが生まれます。
このだれもが望む状況を実現するには、強固かつ安全な、ストレスフリーのコラボレーション文化が不可欠です。それが叶えば、顧客満足度のさらなる向上を達成できます。
そのための3つのステップをご紹介しましょう。
得るべきものを見極める
行動を起こす前に、現状を把握しましょう。なぜ社内のコラボレーション体制を強化しなければいけないのか考えてみると、日ごろ痛感している明確な要因が1つや2つは思い当たるのではないでしょうか。それに加えて、サービス部門の既存のツールやプロセスを評価することで、変革によってどのようなメリットがもたらされるかがさらに明確になります。たとえば、以下のような点が考えられます。
▪時間の節約:Harvard Business Reviewの専門家によれば、経営陣や管理職は、業務時間の半分を共同での活動に費やしています。コラボレーション体制を強化することで、その無駄をすぐに減らせます。
▪生産性の向上:コラボレーションが円滑になれば、サポート担当者の生産性は向上します。これはカスタマーサービスチームだけに限ったメリットではありません。たとえば、請求、財務、フルフィルメント、法務といった社内業務をサポートするチームも、カスタマーサービスのために自ら採用したツールやチャネルを通じて、作業の効率化が図れます。つまり、カスタマーサービスを目的としたコラボレーションは、組織全体の生産性を向上させるのです。
▪従業員エンゲージメントと士気の向上:従業員どうしがストレスなくやり取りできれば、安心感が生まれます。人はだれでも、自分の意見が聞き入れられ、理解してもらえたとき、前向きな気持ちが湧いてくるものです。スムーズなコラボレーションによって、業務への意欲が高まり、イノベーションを目指して生産的に仕事に取り組めるようになります。企業としては、外部との関係強化にもつながります。カスタマーサービスチームは他部門や市場のパートナーとやり取りし、常に連携を図っているため、そうした相手と安定した関係を築くことは、サポート担当者のエクスペリエンスに直接プラスの影響を及ぼします。その逆も然りです。
▪システムの安全性と効率性の向上:コラボレーション改善を目的としたツールには、データ利用のルールが厳格化され、セキュリティとコンプライアンスが強化されるという副次的な効果も見られます。
▪コストの削減:よく「カスタマーサービスの人員を増やせば、業務の処理量が増え、顧客満足度が向上する」とお思いの方がいらっしゃいますが、それは誤解です。しかし、コラボレーションに関連する内部プロセスやワークフローを効率化できたなら、生産性を向上させ、ビジネス規模を拡大することができます。それを実現するには、人員を増やすことではなく、コラボレーションに重点的に取り組むことがカギとなるでしょう。
繰り返しになりますが、担当者のエクスペリエンスを改善すれば、カスタマーエクスペリエンスも向上します。顧客は、カスタマーサービスチーム全体の生産性や熱量を感じ取るものです。顧客の70%以上が、カスタマーサービスのために企業内部で情報が共有されていることを期待しているというデータもあります。その期待に応えることは、ワンランク上のおもてなしではなく、最低限提供すべきサービスです。
自社のコラボレーション体制を評価するときには、現在のパフォーマンス測定指標のスナップショットを保存しておきましょう。コラボレーション体制を強化できたら、きっとすぐに前後のパフォーマンスを比較したくなるはずです。
土台を築く
今すぐ変革に取り掛かりたくなるところですが、将来を見据えて技術的な基盤を確立するために、もう1つ重要なステップを踏む必要があります。それは、システムやプロセスが有効に機能しているかどうかを見極め、足りないものを補うためにどのツールを活用すればよいかを検討することです。
サポート担当者の連携時の様子について観察したり、聞き取りを行ったりして、摩擦が生じているポイントを突き止めましょう。たとえば、使い慣れたツール内だけで作業するのではなく、複数のチャネルを行ったり来たりしていませんか。他部門や外部の戦略的パートナーとやり取りするためにデスクを離れてはいませんか。ワークフローを中断して特別なスキルや独自の言語スキルを持つ別の担当者を捜しに行ってはいませんか。顧客を別の担当者に引き継いだ後で、顧客に状況を繰り返し説明させていないでしょうか。サポート担当者は、もっと簡単にサイドカンバセーション機能を利用したいと考えてはいませんか。あるいは、必要に応じて社内メモから担当者自身の情報を削除したいと考えてはいませんか。
もし答えがイエスなら、ツールのアップグレード、統合、切り替えを検討する時期です。本来の目的に沿ったソリューションを利用しなければ、いくら士気を高めようと取り組んでも、コラボレーションは改善できません。
針路を示す
次のステップでは、コラボレーションという新たな優先事項について管理と伝達を行います。変革前の状況によっては、わずかな軌道修正で済む場合もあれば、本格的な組織改編が求められる場合もあるでしょう。いずれにせよ、次の点に留意することが重要です。
▪社内外の協力者にとって有用なチャネルを選択する:コラボレーションに関与するのはカスタマーサービスチームだけではありません。他部門、サードパーティのサービスプロバイダー、ベンダーなど、それぞれが独自のコミュニケーションチャネルを使用しています。カスタマーサービスチームだけでなく、他部門や外部パートナーにとっても便利なツールを活用して、新しいワークフローを確立しましょう。たとえば、Zendeskのコラボレーションアドオンを利用すると、Zendeskの画面から離れずに、メールやSlackなど、相手に合わせたコミュニケーションチャネルを選んでやり取りできます。
▪社内のナレッジベースを更新する:コラボレーションの刷新に真剣に取り組むなら、チームが管理しているセルフサービスリソースを更新し、チームメンバーがそれぞれの疑問を自ら解決できるようにすることが不可欠です。
▪繰り返し測定する:コラボレーションワークフローを変革する前に記録しておいたパフォーマンス指標を再確認しましょう。Zendesk Exploreなどのレポートツールを利用すれば、チケットに関する担当者のやり取り、チャネルごとのピークの時間帯、グループ間でのチケット割り当て、チケット内によく使われているキーワードなど、チームのコラボレーションプロセスに関するインサイトを把握できます。カスタマイズ可能なダッシュボードなら、最も関連性の高いリアルタイムのデータのみを表示するようグラフの形式を簡単に変更できるため、コラボレーション体制の強化が実際にチームの生産性にどのような効果をもたらしているかが明らかになります。パフォーマンス向上のマイルストーンを設定しておくと、変革前に比べて徐々に成果が大きくなっていることを確認できます。
社内のカスタマーサービス、つまりサポート担当者のエクスペリエンスを重視する考えは、カスタマーサクセスに直結します。そして、強固なコラボレーション体制を整えることこそが、社内における最上級のカスタマーサービスの形です。そのことを正しく理解して、すべての関係者と協力しながら、全員がプラスの影響を受けられるように取り組んでいきましょう。
Zendesk Supportのコラボレーションアドオンの詳細については、当社の営業担当までお問い合わせください。