今日、顧客とのコミュニケーションで企業が利用できるチャネルが次々と増えていっている中で、かねてより存在するコンタクトセンターは、今の時代にはもうそぐわないようにも思えます。電話で企業に問い合わせようと思う人など、もういないのではないでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
最新の「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート」では、顧客の66%が、主に電話を使って企業のサポート窓口に連絡することがわかっています。大半の問い合わせは、メッセージアプリ、メール、セルフサービス型ツールでも解決できますが、電話の方が簡単かつ効率的に解決できる場合も少なくないのです。
コンタクトセンターに関してはあまり良い評判を聞かないこともありますが、これはチャネル自体が問題なのではなく、そこで提供されるエクスペリエンスに原因があります。デジタル化が進み、かつてないほど多くの情報が飛び交う中、従来のコンタクトセンターの情報管理はいまだ不透明なままで、顧客との会話が(ひいては顧客との関係も)見失われがちです。実際、皆さんの中にも、企業に電話して長時間待たされたり、IVR(自動音声応答)で誤ったプッシュボタンを押して無駄な説明を聞く羽目になったり、別部門へと転送されるたびに同じ説明を繰り返さなければならなかったりといった経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、そんなコンタクトセンターばかりではありません。AWS(Amazon Web Services)やZendesk Sunshineといったクラウドベースプラットフォームの出現に伴い、今やコンタクトセンターは、さまざまなシステム、ボット、データベース、CRM、チャネルと連携できるようになりました。こうしたコンタクトセンターでは、時に顧客から連絡が来る前に、問題を解決するために必要な情報を簡単に入手することができます。
この記事では、インテリジェントなコンタクトセンターとはどんなものか、またそれがなぜ企業と顧客の両方に大きな変革をもたらすのかを説明します。
自動化は人間の心強い味方
メディアはボットやAIが人間の仕事を奪っていると書き立てますが、実際は人間を助ける役割にあります。Gartnerによると、2022年までに、顧客とのやり取りの70%がチャットボットや機械学習といったツールで処理されるようになります。Google HomeやAmazon Alexaなどの音声アシスタントは、既に人々の暮らしに浸透しており、カスタマーエクスペリエンスの在り方を大きく変えようとしています。
Zendeskと連携可能なクラウドベースのコンタクトセンターであるAmazon Connectには、Alexaと同じ自動音声認識技術が使われており、顧客への自動応答、1人ひとりの状況に合った対応、サポートの品質向上を可能にします。行政機関にも技術供与しているArcus Globalでは、Amazon Connectを導入し、電話での問い合わせの42%を自動音声機能で処理するようになった結果、従業員の満足度と定着率が向上したこともわかっています。
Zendeskのレポート「State of Messaging 2020(2020年のメッセージアプリ活用の現状)」でも報告されているとおり、顧客の3分の1以上は、人間の担当者に連絡して待たされるくらいなら、即座に応答してくれるボットとやり取りしたいと考えています。ボットや音声アシスタントをインテリジェントなコンタクトセンタープラットフォームと接続すれば、適切な回答をするために必要な顧客の詳細情報を、そうしたツールにインプットすることができます。これにより、人間の担当者の負荷が軽減されるのはもちろん、相手の状況や心情に沿った回答を返せるようになるため、満足度の高いサポートが実現します。
先手先手の対応を
問い合わせの分類や優先度付けを自動化してスピーディに行えたら、それだけでも大きな強みになりますが、さらに、顧客から連絡が来る前に問い合わせを予測できるとなったらどうでしょうか。
これを可能にするのが、先回り型の顧客エンゲージメントです。たとえば、サポートチケット(問い合わせ)が複数寄せられる、CSAT(顧客満足度)に低いスコアを付けられる、購入したばかりの商品が返品されるなど、顧客から不満のシグナルが発せられた場合に、トリガを使って顧客にメッセージやメールを自動送信することも、こうした取り組みの1つと言えます。先回り型の顧客エンゲージメントを成功させるには、適切な顧客データにアクセスする必要があります。インテリジェントなコンタクトセンターでは、顧客の基本情報や過去のやり取りが簡単に把握でき、AI搭載のIVRを通して、そうしたデータに基づく有益なアドバイスを顧客に提供しています。
さらにAmazon Connectなら、トリガを使って自動的に電話をかけて、顧客に予約などのイベントをリマインドしたり、支払期日やサービス停止などの注意が必要な情報を知らせたりすることが可能です。
「Zendesk カスタマーエクスペリエンストレンドレポート」でも、優れたカスタマーエクスペリエンスに欠かせない要素の一つとして「先回り型のサポート」を挙げている顧客の割合が20%にのぼっています。こうしたサポートは、「あるとよいもの」から「なくてはならないもの」へと急速に変化しつつあるのです。
会話データの大きな可能性
技術面や運営面での課題がその分増えているとは言え、問い合わせチャネルが多様化していることは、ビジネスにとって喜ばしい傾向と言えます。そのおかげで、かつてないほど身近に顧客の声に触れられるようになったからです。今日のサポート業務では、購入などのアクティビティが追跡しやすくなっただけでなく、さまざまなチャネルでよりフランクに会話できるようになったことから、顧客のリアルな意見や感情を汲み取りやすくなっています。
Zendeskの会話型ビジネス担当バイスプレジデントを務めるWarren Levitanは、The Next Webの記事で、WhatsAppなどのメッセージアプリの増加に伴い会話データの重要性が増していること、自社のWebサイトやモバイルアプリにチャット(およびチャットボット)を導入する企業が増えていることを挙げています。とは言え、会話型チャネルの元祖は音声です。リアルタイム文字起こし、翻訳、センチメント分析(感情分析)などの作業にAIを活用すれば、インテリジェントなコンタクトセンターを会話データの宝庫に変えることができるでしょう。
膨大な会話データを収集することが、迅速なサポートや先回り型のカスタマーエンゲージメントを実現するうえでどれほど役に立つかは、先に述べたとおりです。さらに、顧客との会話から得られるデータやインサイトは、サポート、営業、マーケティングから、経営や製品戦略といった分野に至るまで、社内全体で活用できます。
Levitanは次のように述べています。「最新のNLU(自然言語理解システム)と会話データを組み合わせれば、顧客の意見を幅広く収集できるようになります。これは、顧客の問い合わせに基づくリターゲティングキャンペーンから、センチメント分析に基づく解約防止キャンペーンまで、さまざまな目的に利用できるでしょう」
Amazon ConnectなどのクラウドベースプラットフォームとZendeskなどのソフトウェアを組み合わせれば、インテリジェントな次世代型のコンタクトセンターをすぐにでも構築できます。顧客は既に、どんなサポートを望んでいるのかを皆さんに伝えているはずです。今こそその声に耳を傾け、行動で応えましょう。
Amazon Connectを使ってさまざまなチャネルでシームレスなカスタマーサービスを提供する方法については、こちらのページからご確認ください。