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生産性を向上する情報共有の重要性と情報共有化ツールの進歩

更新日: 2023年1月5日

生産性の低い企業や組織は、往々にして情報共有がうまくいっていないものです。ここ数十年、企業ではグループウェアによるスケジュール管理やナレッジの共有知化などの取り組みが続けられてきました。

生産性向上に寄与してきた情報共有

社内の情報共有は、企業にとって古くて新しい課題です。日々の業務連絡、業務マニュアルの作成、スケジュールの共有化、社内連絡方法の共有化、顧客情報の共有化など、さまざまなレベルの情報共有化があります。

現在、企業における情報管理は総じて、担当者個人による「属人的で閉ざされたもの」から「リアルタイムに周知可能でオープンな方向」へと向かっています。IT技術の向上により、さまざまな情報共有化ツールが提供され、企業で利用されています。

このことは、SNSの浸透により、個人の情報発信がリアルタイムで行われるカルチャーが醸成されてきたこととも無関係ではないでしょう。こういった情報共有の進化は、おおむね企業の生産性向上に寄与してきました。その一方で、情報共有レベルの度合いによっては摩擦を生んだり、情報共有意識の差異によって混乱を招いたりするようなネガティブな影響も一部には現れています。

例えば、営業担当者が過度に管理され過ぎていると感じ、メンタルヘルスに問題が生じるケースや、頻繁に更新されるアラート情報に振り回され、逆に生産性が落ちてしまうケースなどもあります。また、過度な情報共有によって、本来、秘匿性の高い情報が漏えいしてしまうリスクもあります。

情報共有の3つの流れ

企業の情報共有には3つの方向性があります。

1. スケジュール・タスク管理と共有

組織内の個人のスケジュールやタスクを皆で共有・管理するというものです。もともとは、日々の業務連絡会議や、チーム内の一斉メールなどによって行われてきた分野です。例えば、外出中の担当者に顧客から問い合わせがあった場合に、折り返し担当者に外出先から連絡させるといったように、最低限の対応ができるタイプの情報共有です。

最近では、スケジュールやタスクを自動的にアラート化し、業務用の携帯電話にメールや電話を自動配信するような機能が充実しています。以前は複数のツールで管理されていましたが、現在では、グループウェアの導入による一元管理が主流になっています。

2. 業務における知・ノウハウの共有

問い合わせのように急を要するものではなく、業務内容や定型文書などをテンプレート化して共有する、といった類いのものです。マニュアル化や契約書類、提案資料などの共有がこれに当たります。いわゆる「ナレッジマネジメント」、つまり、個人の持つ暗黙知を企業の集合知に集約していこう、という観点です。

現在では、資料を使った提案行為そのものを知(ナレッジ)として集約し、皆が一様に営業活動できるような状況も普通になっています。動画でのマニュアル整備、成功事例やノウハウ事例のデータ化などがこれに当たります。スケジュール・タスク管理と同様に、グループウェアを利用してデータを整理、提供しているケースが多いと思われます。

3. 顧客情報の共有

顧客や見込み客とのやりとり、注文履歴といった、もともと担当者管理だった情報を誰でも代替して管理できるようにする共有です。一方、顧客情報にはセンシティブな面も含まれます。機能的には生年月日のような顧客属性情報を共有できますが、個人情報保護の観点から厳格な管理(アクセス制限や閲覧履歴の表示など)が求められます。このため、顧客関係管理(CRM)システムといった厳格な管理システムの構築が進んでいます。

情報共有化ツールを統合する動き

最近は、これまではばらばらに利用されていた情報共有化ツールを横断的に統合する動きが進んでいます。機能面での成り立ちから分類すると、「グループウェア進化型」と「SNS型」に大別されます。

グループウェア進化型は、もともとスケジューラーやナレッジの共有管理ツールだったものに、メールや社内SNSで行われていた「社内のやりとり」を追加したものです。ツリー構造で分かりやすいデータ構成になっており、検索機能も提供されています。

SNS進化型は、社内SNSやチャットのログそのものがデータ化されるような形態です。タグの設定や検索機能でデータ抽出できます。

ただし、これらはすでに混然一体となっており、提供されている機能はほぼ同じと言えます。

クラウド化とデータマイニングの活用

情報共有は、自社内で管理ツールを構築する方法から、徐々にクラウド上で提供されている統合管理ツール(アプリケーション)を利用する方向に流れが進んでいます。

前述の「スケジュール・タスク管理」、ならびに「業務における知・ノウハウの共有」については、特に問題なくクラウドサービスへ移行されているようです。一方、「顧客情報の共有」については、これまで社内で厳密な管理が可能なCRMツールをシステム構築してきた企業が多く、情報漏えいの観点や管理スタイルの違いを嫌って、システム移管にためらうケースもあるようです。

とはいえ、世界的には、クラウド上での顧客管理はすでに常識化しています。最近では、最もシステム上の信頼が要求されると言われる銀行の勘定系のシステムにも、クラウド型のサービスが提供されています。よって、CRMの世界でも、クラウドサービスの利用者は今後ますます増加していくでしょう。

その理由のひとつに、CRMを利用したデータマイニングの活用が挙げられます。データマイニングは人工知能や統計学を利用して、顧客の行動履歴といったデータから情報を取り出し、仮説設定をして、セールスにつなげる仕組みのことです。独自開発のCRMでも十分可能ですが、クラウド上で提供されるグループウェアのようなシステムでは、その機能がかなり進化しており、拡張性も高いと言えます。ですので、クラウド化の流れはますます進んでいくと思われます。

まとめ:
情報共有化のツールは格段に進歩
    ~ 現場とのすり合わせが重要

情報共有の動きは、統合的管理ツールの普及により、営業管理、ナレッジ管理、顧客管理を統合的に行える状況になってきています。一方、その情報を利用する営業マンのような「人」の存在意義が軽視されかねない状況にもなっています。

多くの企業では、顧客との接点の中心はあくまでも人、つまり担当者です。企業、特に管理部門はツールの構築や効率性の追求のみを注視するのではなく、担当者が現場レベルで利用しやすいシステム構築を目指すべきです。また、「どう運用していくか?」を具体的に説明し、理解させたうえで導入に踏み切るべきです。

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