インシデント管理とは
インシデントとは、大きなアクシデントになる前の「ちょっとした好ましくない出来事」のことです。システムが動かない、誤作動を起こすなど通常の状態ではなく、ユーザーに支障をきたしている不具合全般を指します。
そのような不具合を取り除いて、問題のない状態に導くのがインシデント管理です。間違った対応をすると重大な問題に発展したり、顧客の信頼を失ったりなどのリスクがあるため、インシデント管理は的確に行う必要があります。
インシデント管理の手順とステップ
インシデント管理の基本的な手順をご紹介します。
<インシデントの確認>
インシデントはユーザーからの報告やシステムのアラートで検出されます。まずはどのようなインシデントなのか、内容を正確に確認して記録します。
<分類>
インシデントの内容を過去の事例と照らし合わせて、危険度や優先度、難易度などで分類し、適切なサポート担当者を割り当てます。
<解決策を実行>
事例に基づき、最適な解決策でインシデントに対処します。サポート担当者で対応できない場合は、必要に応じてほかの担当者に対応を依頼します。
<対策手法やナレッジの共有>
問題が解決したら、対策手法やその後の状況などを記録し、ナレッジとして共有します。
インシデントは好ましい事態ではありませんが、迅速に対応することで「手厚いサポートだ」と逆に好印象を与えることもあります。結果として顧客の離反を防ぎ、リピートを促す要因にもなるため、インシデント管理は非常に重要です。
インシデント管理ツール導入によるメリット
不具合の内容や対応状況を正確に把握できないと、的確なインシデント管理は難しくなります。インシデント管理ツールを導入することで、不具合の正確な内容を迅速に把握でき、その後の的確な対応を取りやすくしてくれます。業務効率化が進むのと同時に、スピーディで的確な問題解決につながるため、品質改善が実現します。
メールやExcelだと情報が埋もれやすいため、情報共有の遅延や行き違いが発生するおそれがあります。専用ツールを利用すると、インシデントをわかりやすく分類でき、最適な解決策を素早く見つけられるようになります。また、情報や進捗が可視化されてナレッジの共有が簡単にできます。担当者が不在時でも状況が把握できるため、属人化も防げます。
インシデント管理ツールの失敗しない選び方
インシデント管理ツールには、さまざまな種類があります。まずはどんな目的でツールを利用するのか、どんな問題を解決したいのかを明確にし、そのうえで、その目的を達成するための機能が備わっているかを比較検討します。そのほかには、使いやすさ、サポート体制、価格なども大事な判断材料です。
たとえば、主に顧客からの問い合わせ対応が目的の場合は、以下のような視点が役立ちます。
問い合わせ関連の情報が集約されていること
SNSやメッセージアプリが発達した近年では、電話やメール以外にもチャットやメッセージなど、さまざまなチャネルから問い合わせがきます。それらの情報をツール内で一元管理し、他部署や外部企業ともスムーズに共有できるかをチェックしましょう。
Zendeskならあらゆるチャネルからのお問い合わせを一元管理できます。
問い合わせ関連情報が一か所に集約できるかどうかもポイントです。顧客は、問い合わせをしている時点ではネガティブな印象を持っていることが少なくありません。迅速な対応はもちろん、こちらから何度も同じ質問を繰り返すような事態は避けなければなりません。そのため、内部での情報共有は非常に重要です。
スピード感ある対応を支援できること
情報の集約は業務効率化につながりますが、それだけでなく、その情報にどこからでもすぐに対応できるかという視点も大切です。社内からしかアクセスできないオンプレミス環境の場合は、営業時間外や担当者がオフィスに不在の場合、対応が遅れてしまうことがあります。
スピード感ある対応とは、対応そのものが速いというだけではありません。たとえば、ホームページにナレッジを集約したFAQを掲載しておくだけでユーザーの問題が解決することもあります。
ZendeskならヘルプセンターやFAQを簡単に作成(Zendeskのヘルプセンター・FAQ作成機能)
そのほか、問い合わせフォームにインシデントを分類した選択肢を用意しておけば、工程を削減できます。顧客にとっては問題を整理して状況把握がしやすくなり、対応側は分類の手間を削減できるため、スピーディな問題解決につながります。
対応状況の可視化が容易にできること
どのように可視化できるのかが、ツールを選ぶうえで非常に重要なポイントです。
インシデント管理で混乱する要因のひとつは、状況の把握ができていないことです。誰がどのような対応をしているのか進捗状況がわからないことには現場が混乱し、的確で効率的な解決は期待できません。引継ぎなどにも支障をきたします。多くのインシデント管理ツールは、レポートを利用して優先度や担当者の進捗情報などを可視化できます。
実績が豊富であること
ツール選択のうえで、実績の有無はひとつの判断材料です。多くの企業に利用されているということは、基本的な機能や使いやすさに問題がなく、安心して利用できることを示しています。
特に、ミッションクリティカルなサービスを提供している企業に採用されていることは、性能の確かさが窺えます。
クラウドサービスを提供しているツールの場合、顧客からのフィードバックを活かし、機能の向上や使いやすさの改善を行うのも速い傾向にあります。
おすすめのインシデント管理ツール「Zendesk」とは
Zendeskのサポートソリューションはインシデント管理ツールとしても機能し、独自のナレッジベースを基盤に、インシデントの管理や追跡をシステム化しています。
様々なチャネルからのお問い合わせを同一システム内のチケットとして管理していくことができるだけではなく、たとえば、発行された複数の事象チケットが同じ原因で引き起こされたインシデントだった場合、それぞれの事象チケットをひとつの問題チケットにリンクできます。その問題が解決した際には、問題チケットにリンクされている事象チケットに対して一括で回答を送信することも可能です。
そのほか、以下のような機能が備わっており、顧客対応に非常に優れた効果を発揮します。
SNS、電話、メールなどあらゆるチャネルからの情報を一元管理
FAQの構築で問い合わせ数を削減
対応状況を一覧表示することで可視化を実現
問い合わせフォームによるインシデント報告を自動的に振り分けたり、自動回答を行うことによるサービス品質の向上と業務効率化
ユーザーからの問い合わせに対して、できるだけ迅速、かつ的確に対応できる仕組みや状況の把握が容易にできる機能が揃っています。早期の問題解決は、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
また、ITサービスマネジメントの成功事例を集約した「ITIL」にも準拠しているため、安心して利用できます。
事例~NTTデータ先端技術株式会社
NTTデータ先端技術株式会社は、従来のツールからZendeskに移行したことで、いつでも迅速に対応できるインシデント管理を実現しました。
NTTデータ先端技術は、重要インフラであるシステム基盤を提供しているため、緊急性の高い問い合わせも多くインシデントに即時に対応する必要がありました。しかし、従来のオンプレミス環境ではセキュリティ上の制約によって社内LANからしか接続できず、即時対応が難しい、外部企業との連携も不自由という問題がありました。また、メールで受けた問い合わせを自社ツールに取り入れて実際の対応をするまでにはかなりの時間がかかっていました。
そこで、クラウドソフトウェアであるZendeskを採用したところ、煩雑なやり取りが簡素化されて即時対応ができるようになり、外部とのスムーズな連携も実現したのです。さらに、FAQの構築や質問フォームの改善をすることで、問題解決までの時間が短縮でき、ツールの使いやすさも大きく向上しました。このように、Zendeskは優れたインシデント管理体制の構築に貢献します。
まとめ
顧客にインシデントが発生して問い合わせがあった場合は、正確で迅速な対応が欠かせません。間違った対応や対応自体に時間がかかってしまうと重大な問題に発展したり、顧客の信頼を失ったりなどのリスクがあるため、的確なインシデント管理が不可欠です。
クラウド型のインシデント管理ツールを導入することで、さまざまなチャネルから入る問い合わせを素早く一元管理できます。また、可視化によって煩雑なやり取りをなくし、迅速な対応が実現します。これにより顧客へのサービス品質向上や属人化の防止、業務効率化が期待できます。ツール選択には、自社の問題解決に合わせた機能があるか、使いやすいか、導入コストはどうかなどの要素を検討しましょう。