テレビCMや雑誌、企業のWebサイトなどで、「顧客満足度No.1」といった表示を一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。顧客満足度とは、文字通り、「顧客にどれだけの満足感を与えられたか」を示す指標です。この顧客満足度の重要性は、年々高まってきています。それはなぜなのでしょうか? 今回は顧客満足度の重要性、ならびに顧客満足度を向上させるためのポイントについて考えていきます。
顧客満足度とは何か?
毎年、顧客満足度指数の高い企業をランキング形式で発表している、公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会では、顧客満足度を「顧客期待」、「知覚品質」、「知覚価値」、「顧客満足」、「推奨意向」、「ロイヤルティ」の6つの指標で算出しています。すなわち、顧客の期待を裏切らず、品質、価値のあるサービスを提供し、顧客に満足を与えつつ、ロイヤルティを高め、人に薦めたいと思わせる。これこそが、顧客満足度の高い企業であるといえます。
また、サービス産業生産性協議会では、この6つの指標以外に「企業・ブランドを利用した際に感動や驚くような経験をどの程度したか?」という「感動指標」によるランキングも発表しています。つまり、より高い顧客満足度を得るには、良い製品、サービスを提供したうえで、それによって顧客に感動を与えることが必要であると分かります。
顧客満足度の重要性が高まっている理由
顧客満足度の重要性が高まっている理由はいろいろとありますが、なかでも大きな理由として次の3つが挙げられます。
ブログ、SNSの普及
ブログやSNSの普及によって、誰もが簡単に自分の意見を公開できるようになりました。従来は表に出ることのなかった、製品やサービスに対する感想、苦情を気軽に書き込めるようになったのです。顧客満足度を高めれば、良い評判が増え、企業の評判もさらに高くなります。
競合他社との差別化
高度な情報化社会においては、製品やサービスの質だけで競合他社との差別化を図るのは非常に困難です。先ほども挙げたように、ブログやSNSの普及により、顧客は「広告」よりも「知り合いや購入者の口コミ」を信じるようになってきています。よって、顧客満足度を高めることが、競合他社との差別化を図る重要な要素になります。
コスト削減
市場が成熟し、少子高齢化が進む現在の日本において、新規顧客を獲得するためのコストは年々上昇しています。多大な広告費を使って新規顧客を集めるよりも、既存顧客の満足度を高めた方が効率的です。「広告」だけに頼るのではなく、友人や家族に推奨してもらう「口コミ」を狙うのが最近のトレンドです。
顧客満足度を向上させる施策
顧客満足度を短期間で急上昇させることは簡単ではありません。なぜなら、顧客満足度を向上させるために最も重要なことは、「企業と顧客の継続した関係性」を維持することだからです。これを実現させるには、次の4つのことに気を付ける必要があります。
顧客の声に耳を傾ける
顧客のことをよく知るには、まず顧客の声に耳を傾けなければなりません。もちろん、言いなりになる、という意味ではありません。顧客が自社の製品、サービスの「何に満足し、何に不満を抱えているか」を正確に把握する必要があります。
メール、SNS、DMなどで継続的な関係性を維持する
自社の製品、サービスを購入した顧客はもちろん、興味を持っている段階の潜在顧客に対しても継続的な関係性を維持していくことが必要です。例えば、メルマガを登録してもらう、SNSをフォローしてもらう、などがその例と言えます。購入したら終わり、メルマガを配信したら終わりではなく、個別のアフターフォローを怠らないようにすることが、顧客に感動を与えるためには効果的です。
最適なタイミングで最適な情報を提供する
顧客と継続的な関係性を維持していくことは大切ですが、一方的に伝えたい情報だけを送っていると、顧客に嫌われてしまい、かえって逆効果になりかねません。そこで、マーケティングオートメーションツールや顧客管理システムを活用し、顧客が本当に必要としているタイミングで、求めている情報を提供していくことが重要となります。
従業員の満足度を高める
顧客満足度と従業員満足度。一見、関係なさそうに感じるかもしれませんが、実は密接な関係があります。顧客にロイヤルティを感じてもらうためには、まずそこで働く従業員にロイヤルティを感じてもらう必要があります。従業員が愛着を持っていない企業に愛着を持つ顧客は皆無でしょう。従業員が自社に愛着を持っているからこそ、顧客に対して自信を持って製品、サービスを薦めることができるのです。
まとめ:顧客満足度向上のポイントは適切な手間と時間
顧客満足度を向上させるには、長期的な視野を持ち、継続して関係性を維持していくことが求められます。そのためには、提供する製品の質を高めることはもちろん、適切なタイミングで、適切な顧客に、適切な情報を提供していく必要があります。
顧客満足度を維持していくには、どうしても手間と時間がかかります。もちろん、それだけコストも要します。こういった状況を改善していくには、マーケティングオートメーションツールやチャットボットなどの「顧客との関係性を維持するツール」を効果的に活用することが重要です。単純に「手間と時間」をかけるのではなく、ツールを活用して「適切な手間と時間」をかけることが、効率的に顧客満足度を向上させるポイントとなります。