記事
コールセンターで必要とされるスキルを解説
サポート部門のリーダーにとって、コールセンターで適切なスキルを備えた人を採用することは必須です。この記事では、サポート担当者の採用時に重視すべき資質や技術スキルをご紹介します。
更新日: 2024年2月22日
コールセンターのサポート担当者の業務は大変な仕事です。また、コールセンターで必要とされるスキルを備えた人を採用する責務を負うマネージャーの仕事も容易ではありません。採用プロセスで間違った判断をしてしまうと、悪影響が広範囲に及びかねません。
有能なサポート担当者が必ず持っている資質や技術スキルを理解できていれば、適切な人材を採用できる可能性は高まります。
このガイドでは、カスタマーサービス担当者の採用時に確認すべき点と、サポート担当者が質の高いカスタマーサービスを提供できるように、マネージャーとしてどんな支援をするべきかを解説します。
コールセンター担当者に必須の重要なスキル
サポート担当者の採用にあたっては、技術的なスキルと資質的なスキルの両方を検討する必要があります。
技術的なスキルについては、下記のとおりです。
- 技術的な適性
候補者には技能テストを実施しましょう。コールセンター用ソフトウェアに保存されたセルフサービス型サポートの記事や、顧客履歴に残されたメモなどの文書を検索し、内容について判断をしてもらいます。過去にサポートツールを使ったことがある人でしょうか?十分なコンピューター操作スキルを持っているでしょうか?
- 業務経験
あえて指摘するまでもないことかもしれませんが、電話サポートの経験は不可欠です。その候補者は、前職でサポート担当者として、通常シフトあたり何件の電話に対応して解決していたのでしょうか?成功例を説明できるでしょうか?また、困難な状況に陥った時にどのように対処したか、実例を挙げて説明できるでしょうか?
- データの理解力
候補者はデータ分析の基本を習得しているか、また分析ダッシュボードを操作して内容を理解できるかを確認しましょう。
- バイリンガル
今後新しい地域への進出を計画している場合や、すでに複数の言語でのサポートが必要な顧客基盤を持つ企業の場合、バイリンガルまたはマルチリンガルのコールセンター担当者は、サポート部門にとって強力な戦力になります。
サポート担当者に求められる資質
質の高い顧客体験を提供する際に非常に苦労する人がいる一方で、電話で非常に効果的に対応できる人もいます。こうした人に共通してみられる資質的な特徴をまとめました。
ここで紹介する特徴は、コールセンターにおいて短期的に求められる資質だけではありません。その人が長期にわたって社内で活躍し、最終的にはリーダーになれるような資質を備えているか、という視点も持ちながら候補者を検討することも大切です。
採用面接では、次の特徴に注目してください。
- 粘り強さ
コールセンターでサポート担当者としての役割を果たすうえで、予期せぬ出来事にも進んで取り組む姿勢が、採用候補者に見えますか?逆境に直面しても立ち直りが早い人でしょうか?面接では、新たな問題が起きた際に、優れた対応ができる人かどうか、確認できるような質問を準備しておくようにしましょう。
柔軟性顧客がカスタマーサービス部門に求めることは、期間の経過とともに変わる可能性があります。
企業に対する顧客の期待値が上がり続ける中で、その候補者はサポート担当者としての対処方法を軌道修正して、顧客満足度を一定水準に維持できる人でしょうか?また、知識をすばやく身に付けることのできる人でしょうか? - プロセス指向
発想力が豊かなサポート担当者が望ましいですが、手を抜いたり指揮系統を無視したりするような人では困ります。例えば、その候補者は、よくある問題や珍しい問題の解決策をヘルプセンターの記事にまとめてくれるようなサポート担当者になりえるか、という視点で確認しましょう。
- 問題解決能力に長けた資質
適性な候補者は、簡単な回答だけですませることも、規定に沿った判断だけをして終わらせることもないはずです。一般的ではない問題の問い合わせを受けても、やりがいのある課題と捉えて取り組むような人が理想的です。感情や主観に流されずに問題を分析して物事を判断する、批判的思考力に秀でた候補者を探すようにしましょう。
- 優れたコミュニケーションスキル
顧客と誤解のないコミュニケーションができる人を採用するようにしましょう。有能なサポート担当者は、忍耐強く丁寧に対応しながら、顧客の言葉に積極的に耳を傾けられる人です。顧客が自分と同じ知識を持っていることを前提にするような対応をすることはありません。
- 高い共感力
どんなに充実したスクリプトを用意しても、それだけでは顧客の期待に沿えません。サポート担当者の配慮が心からのものかどうかは、電話の向こう側の顧客にも必ず伝わります。顧客の多くは、カスタマーサポートに電話をかけるしかない状況に陥った時点で、すでに苛立ちや怒りを感じています。共感力はコールセンターのサポート担当者にとって、きわめて重要なスキルです。
- 積極的な姿勢
その候補者は、今後起こりうる問題を察知して、事前に解決策を顧客に伝える機会を認識できる人でしょうか?例えば、自発的に有益な情報を提供したり、ヘルプセンターの記事を紹介したりするなど、能動的に顧客に有益な情報を提供する方法は多々あります。
コールセンター業務改善のヒント
適切な資質やスキルを備えたサポート担当者を採用した後に、次の点に取り組むと、サポート部門の業務がさらに改善します。
時間の価値を強調
サポート担当者は、顧客から協力を得ながら対応を進め、現実的な解決策を提供するように努めなければなりません。また、作業内容を伝えて、サポート担当者が問題の解決に尽力していることを顧客が確認できるようにすることも、大切なことです。
顧客から求められていることについて深い知識を取得しておく
例えば、Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート2020年版によると、調査の対象となった顧客の60%は、迅速な問題解決が最重要事項であると答えています。顧客は丁重なサービスを期待し、何度も同じことを繰り返し伝えなければならない状況を嫌い、長い間電話口で待たされることに激しく怒りを感じます。
必要な情報資源を整備して部署を情報武装化
サポート担当者が、すぐに情報資源を活用できるよう、できるだけ多くの情報を整備しておくようにしましょう。コールセンター業務の各種研修を受けたサポート担当者であれば、顧客との対話に注力する時間をより多く割けるようになります。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、電話による企業への問い合わせ件数は平均10%増えていると報告されています。増加した問い合わせ件数に対して首尾よく対処できた企業は、サポート担当者の増員をわずか16%に抑えながら、セルフサービス型サポート基盤を強化しています。
顧客生涯価値を念頭に置く
サポート担当者はカスタマージャーニーの重要性を念頭に置きながら、業務を遂行する必要があります。約半数の顧客は、1回嫌な思いをしただけで、購入先を競合他社に切り替えると言っています。2回以上嫌な思いをした場合には、この割合は80%にまで上がります。
採用後の育成
どんなカスタマーサービススキルがあれば有能なサポート担当者になるのかを理解するだけでは、十分ではありません。有能なサポート担当者へと成長させるためには、採用担当マネージャーとしてどう支援するべきかを検討することも必要です。
個々のサポート担当者について、シミュレーションによるトレーニングなどを用いたコーチングを計画的に実施するとともに、改善すべき点をデータに基づいて判断するようにしましょう。
コールセンターの担当者との面談中に事実に基づいて判断することで、顧客が求めているレベルにまで達して対応できるようになるために必要な点について、マネージャーは担当者に提示できるようになります。
- 粘り強さ