「ヘルプデスク」「サービスデスク」「ITサービスマネジメント(ITSM)」の違いについて、一部で熱い議論が交わされているのをご存じでしょうか。
「ヘルプデスク」という呼称は1980年代後半(メインフレームの時代)に生まれましたが、ITの都合優先でエンドユーザーに配慮しないサポート体制を指す、時代遅れの用語だと見なす向きがあります。一方、「サービスデスク」という呼称は、エンドユーザーへのタイムリーなサービス提供が重視されるようになって生まれました。そして、リモート監視やタスクの自動処理(パッチ管理など)といったプロアクティブな機能が登場すると、「ITMS」という呼称が生まれました。
さらに世の中には、「チケット解決時間」「変更管理」「アクティブリスニング」「平均通話時間」「ブレンドコールセンター」「平均コンタクト価格」「エスカレーション」などの専門用語があふれています。バズワードも挙げるときりがありません。
しかし、「ヘルプデスク」「サービスデスク」「ITMS」という呼称の違いは重要ではないというのが、Zendeskの見解です。時代遅れとされる「ヘルプデスク」の多くが、実際にはエンドユーザーを重視し、自動化を進め、きわめてプロアクティブに対応しています。エンドユーザー指向の「サービスデスク」が、組織の都合でIT関連の問題にも対応しているケースがあります。その一方で、最新のサポート体制であるはずの「ITMS」が、システムの互換性や統合の問題が原因で、自動化を進められていない場合もあります。
チームの呼称はどうあれ、ITサポートの業務に携わる以上、最終目標は同じです。すなわち、さまざまな手法やソリューションを駆使して、エンドユーザーのニーズに的確に応えるということです。
具体的には以下のようになります。
問題をすばやく効果的に解決して、ユーザーが業務に戻れるようにすること。
マシンに関連する問題が発生した場合、この目的を達成するには、IT資産管理とカスタマーサービスソフトウェアを双方向に連携することが一番の方法となります。この2つを連携すれば、サポート担当者はチケットを受け取ってすぐに、そのユーザーのIT資産の状態、必要なメンテナンス作業、更新スケジュール、使用年数、使用状況などを確認できるため、質の高いサポートをすばやく提供できます。
「すべての企業がIT企業になる時代」に適応したスマートなナレッジワーカーを獲得し、流出を防ぐこと。
企業が従業員の満足度を維持し、生産性を最大限に高めるには、従業員に最善のテクノロジーを提供し続ける必要があります。
自社の貴重な知的財産(IP)を保護すること。
「スマート」資産の1つひとつが、社内ネットワークに通じる窓です。こうした資産によって、あらゆる企業の活力源となる独自のIPに光を当てることができます。
手動タスクを自動化して時間を節約し、IT効率を確保すること。
これには、種類の異なるシステムと選び抜いた各種テクノロジーを統合する必要があると同時に、多くのタスクを自動で完了させるワークフローの作成も必要になります。IoT革命に伴い、今後のITサポートチームの役割は、デスクトップ、ノートPC、スマートフォンを管理することから、無数のモノを追跡することへと変化していくため、自動化の必要性は増すばかりです。たとえば、風力タービン上のどのセンサーが故障しているのかを特定したり、スマートカーの不具合の原因を突き止めたりする必要があります。IoTによって、IT資産の管理にとどまらない、新しい「モノの管理」の時代が到来しようとしているのです。
サービスデスクソリューション、メッセージング、システム管理、モバイルデバイス管理、シングルサインオン、財務ツールを1つにつなぐソリューションを見つけること。
数多くのAPIと容易な統合オプションを利用できるにもかかわらず、これらのシステムをばらばらに運用しているのでは意味がありません。すべてを統合することで業務が効率化され、手動での作業を減らせます。
いつでも報告や監査を行えるよう社内の体制作りを支援すること。
信頼できる唯一の情報源であらゆる資産を一元管理することで、企業はいつでも監査を行える状態を維持でき、月次、四半期、年次の監査プロセスを簡素化できます。
エンドユーザーにとって便利な方法で、できるだけ簡単に問題を報告できるようにすること。
統合次第で、ユーザーのお気に入りのコラボレーションソフトウェア内でサポートチケットを作成できるようになります。問題や要望についてサポートチケットに記入するのではなく、コラボレーションプラットフォーム内から直接、資産についての問題を報告できます。
ITサポートをどう呼ぶか、そんな些細なことを気にするのはもうやめにしましょう。IoT時代の到来、選りすぐりの各種テクノロジーを統合する必要性、セキュリティ、コンプライアンスなど、考えなければいけない重要事項はもっと他にあるのですから。