数ヶ月前、私はペットのゴールデンレトリーバーのために、Amazonで少し高めの首輪を注文しました。ただ、残念なことに、サンフランシスコから配送される途中で、荷物の行方が分からなくなってしまったのです。私はすぐにAmazonのサポートに代金払い戻しの問い合わせをしました。Amazonでは払い戻し手続きを終えるまでに2段階の認証となっていて、サポートセンターの担当者と話したり、詳細を入力したりする必要がありません。
数日後、私は払い戻しを受け、新しく別に注文した首輪を受け取ることができました(実は新しい首輪が配送されてから、配送中の商品の色が購入したものと違うことに気づきました。変更するためにサイトのコンタクトページへアクセスすると、チャット、メール、電話の選択肢が表示されました。私はチャットを選んで問い合わせをし、カスタマーサービスの担当者に当初選んでいた色の首輪に交換してもらうことができました)。
これまで、「顧客サービスが素晴らしい」と評価を受けている企業でも、カスタマーサポートでは自社サイトに掲載した電話番号や問い合わせ専用アドレスといった、企業指定の方法だけでサポートサービスを提供していました。しかし今日では、より良い顧客サポート体制を作ることが、企業自身のためにもなり、大きな利益をもたらすことにもなると多くの企業が気付き始めています。
顧客サポートに関しては、顧客の76%がセルフサービス型の問い合わせで問題を解決する方法を好み、また、74%以上の顧客が3つ以上のデバイスを使用しています。 Amazonはこれらの統計を参考に、独自の顧客サポートを提供しています。米国リサーチ会社のGartner社によると、セルフサービス型のサポートを提供することで、顧客サポートのコストを25%以上削減することができます。冒頭で紹介した犬の首輪の例を見ても、顧客はまず始めに簡単なセルフサービスでAmazonにコンタクトをとりました。
次に、顧客はライブチャットを利用することで、迅速にカスタマーサポートを受けることができます。これは、企業にとって従来の方法よりも25%も効率的です。早く対応する必要がある問題にはチャットの選択肢を追加することで、Amazonは顧客のニーズを満たしつつ、かつ企業としてのコストを低く抑えています。また、SMSはメールのインボックスの混乱を避けるために適していて、犬の首輪が到着したという通知を顧客にお知らせするにはぴったりの方法です。
選択肢が多すぎると、顧客はどれを選べばよいか、決めづらくなり、そうした状況は好まれません。これがチャネル選択のパラドックスです。このパラドックスを解消する方法は、最適なタイミングで適切なチャネルを顧客に提供することです。そうすれば顧客は選択肢で迷うことはありませんし、自分が好きなチャネルでコンタクトをとろうとしてくれます。
「最適なチャネルを適切なタイミングで提供する」
– Abhiroop Basu
どのようにしたらAmazonのようなカスタマーサポートを提供できるようになるでしょうか?まず、自社サービスのユーザーの理解から始めましょう。一般的に年齢が若いユーザーはソーシャルメディアやライブチャットを好む一方、年齢が高めのユーザーは、電話とメールを好みます。また、製品の複雑さと顧客の特徴についても理解することが重要です。高価な機器やハードウェアを販売している場合は、電話によるサポートは必須でしょう。その他にも、払い戻しの処理など細かな手続きを要する場合は、セルフサービス型のサポートを用意しておくと、多くの時間と費用を削減できるでしょう。
最後に、問い合わせの重大度や緊急度に応じて、必要なすべてのチャネルを提供することにします。たとえば、シンプルで緊急性の低い問い合わせ内容に関してはヘルプセンターで解決させることができます。顧客が迅速な対応を求めているような場合には、ライブチャットオプションを提供し、さらに顧客が特別なサポートを求めている場合には、こちらから電話を掛けることも必要です。
効果的な顧客サービスの提供体制を構築するには、顧客が使いやすいようにすること、また必要なときに必要なサポートをすること、この2つが大切です。
オムニチャネルでのカスタマーサービス体制を整えるポイントはこちらをご覧ください。