リピート顧客数を増やす必要性を感じている企業は少なくありません。事業規模の大小を問わず、企業は新規顧客を獲得しつつ、既存顧客にはブランドへのロイヤルティを育んでもらおうと腐心しています。この両方を同時並行で達成することは、容易いことではありません。
そしてこのようなリピート顧客が、顧客基盤となります。
顧客基盤とは
顧客基盤とは、企業の製品やサービスを何度も繰り返し購入してくれる人たちのことです。
顧客基盤を拡大する際に鍵となるのが、新たな顧客を獲得した後に、その顧客を維持するための取り組みです。マーケティング部門もこのプロセスの一部の役割を担いますが、通常は新たな顧客の獲得と維持を担当するのは営業部門とサポート部門の役目です。
この記事では、以下の点を解説します。
見込み客を引き付けて関係性を構築するための営業部門による取り組み
企業と既存顧客の関係性を強化するためのカスタマーサービス部門による取り組み
顧客基盤の拡大に果たす営業部門の役割
顧客基盤の拡大を目指して最前線で業務にあたるのが営業担当者です。少しでも多くの顧客を獲得するためには、より多くの見込み客を集め、製品に関心を持ってもらうようにしなければなりません。
高価値な見込み客の特定
高価値なリピート顧客をより多く獲得するためには、既存の顧客基盤について理解を深めて、類似点がある購買層にターゲットを合わせる必要があります。
CRMのデータベースの顧客データを分析すれば、リピート購入が最も多い顧客のタイプを判別できます。そのうえで、年齢などの人口統計学データや企業統計データを反映しながら、購買層の典型的な人物像(ペルソナ)を作成します。この人物像を作成する際には、想定する見込み客の業種、年齢、年収、学歴、好み、ニーズを明確にして、これらの情報を盛り込むようにしましょう。
[出典]
次に、顧客基盤から作成した架空の購買者の人物像と一致する見込み客を見つけ出して、購入する可能性を判別していきます。
見込み客の獲得に利用できる広告チャネルは多数あります。例えば、下記のような方法があります。
ディスプレイ広告
SNS広告
リスティング広告
広範囲にわたって見込み客を獲得する際にはZendesk Reachの活用をご検討ください。
Zendesk Reachを活用すれば、営業担当者は2千万社の企業と3億6500万件の見込み客データが含まれたデータベースにアクセスをすることができるようになります。業種や企業規模など任意の条件を設定するだけで、一瞬で対象とする見込み客リストを生成できます。
対象となるリストを作成した後は、より購買意欲が高そうな見込み客の順にメールなどのチャネルでコミュニケーションを開始します。Zendesk Sellを活用すれば、コミュニケーションチャネルが統合連携されているため、見込み客とコンタクトをとるプロセスを自動化できます。
見込み客にインセンティブを提供
見込み客とのやりとりの数を単に増やせばよいということではありません。製品への関心を徐々に高めてもらえるように働きかけることも大切です。
無料のトライアル製品や機能を限定した無償版を提供することも、見込み客の関心を引く有効な手立てです。これ以外にも、連絡先情報を記入してくれた方に引き換えとして何かを進呈するというアプローチも有効です。この際に進呈する物としては、PDF資料のダウンロードや試用版ソフトウェアなど、アクセス許可が必要なコンテンツにするとよいでしょう。
購買意欲が高い見込み客と購入の可能性が低い見込み客の判別は、典型的な購入者の人物像に基づいて作成したリードスコアリングモデルを用いて行います。
例:
連絡先情報と引き換えに提供している資料をWebサイトからダウンロードしたのが学生の場合は、おそらく勉強目的で、購入する可能性は低い。
幹部レベルの会社員が無償の製品デモに申し込んだ場合は今後、大型商談になる可能性が高い。
リードスコアリング機能を備えたCRMを用いれば、無料のコンテンツやサービスに申し込んだ時点で自動的に購買意欲が高い見込み客とみなすように設定できるため、このプロセスをさらに効率化できます。典型的な購入者の人物像と合致した特徴を備えている人がいれば、マーケティング部門が設定した購買意欲が高い見込み客の基準を満たしているとCRMが認識し、自動的に営業担当者に通知が送信されます。その際に、その見込み客にも企業からメッセージやメールを自動送信するようにCRMを設定しておけば、時間を無駄にすることなく、すぐに関係性を育成するための取り組みも開始できます。
顧客基盤の強化に果たすサポート部門の役割
商談が成立した後も、引き続き営業担当者から顧客に連絡を取ることを検討しましょう。
連絡を取り続けることにの利点:
上位の商品を販売する機会を認識
良好な関係性の維持
一方、既存顧客の維持はサポート部門の責務です。サポート部門は迅速に的確なサービスを提供することで、顧客ロイヤルティを高める役割を担います。
顧客が企業に連絡しやすい環境を整備
下記のデータは、Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート2020年版で報告されたものです。
- 顧客は、満足する体験の最も重要な特徴は「問題への素早い対応」だと回答しています。
- また、最も不満を感じる体験の特徴は「長く待たされること」だと回答しています。
つまり、顧客基盤を維持したければ、スピードを優先しなければならないということです。
顧客を引き留めて対応に満足してもらうには、便利で簡単な方法で企業に問い合わせられるようにする必要があります。
例:
サポート担当者を複数のタイムゾーンに配置して、仮想のコールセンターを運用する。
24時間365日稼働するチャットボットを整備し、質問や懸念点があれば、顧客がいつでも企業に問い合わせられるようにする。
SNSに投稿された内容を継続的に確認し、クレームは公開されたSNS上で回答して解決する。
オムニチャネルに対応したサポート用ソフトウェアを活用すれば、サポート担当者は複数のチャネルを介して容易に顧客とコミュニケーションを取れるようになります。
例えば、ZendeskのSupport Suiteを導入した企業では、サポート担当者が、下記をはじめ、全てのチャネルを通して一つのツールとプロセスを使って対応できるようになります。
メール
チャット
電話
Facebook、WhatsApp、Twitterなどのアプリ
どのチャネルで問い合わせを受けた場合も、全ての会話履歴が一つのダッシュボードに表示されます。チャネルを途中で切り替えた場合でも、全てのチャネルを通した会話履歴を確認できます。
オムニチャネル対応のソフトウェアがあれば一連のプロセスが簡略化されるため、サポート担当者はより迅速にカスタマーサービスを提供できるようになります。
解約率や離反率を下げるための戦略
顧客を失い続けている状態では、顧客基盤の拡大は困難です。
企業側のコントロールが及ばない理由で顧客が解約する場合もあるため、ある程度の解約は防ぎようがありません。事前に阻止できる解約の要因を漏れなく特定して、解約をできるだけ減らすための計画を策定することが重要なのはこのためです。
解約時の顧客アンケートを作成して、 購入やサブスクリプションをキャンセルする顧客に解約理由を尋ねるようにしましょう。少しでも多くの回答を得るために、解約手続き中に表示する画面にこのアンケートを組み込むことをお勧めします。これまでの全般的な顧客体験を評価してもらい、解約の理由を尋ねるとよいでしょう。
収集したアンケート回答は分析して、下記と比較します。
既存の現顧客からの満足度アンケート結果
- カスタマーサポートの指標
SNSに寄せられたコメント
解約者の回答と共通している不満点がないかを確認して、解約率に寄与している課題を識別します。
ここで得た調査結果をもとに、解約率を低減するための戦略を策定するようにしましょう。これらの作業の多くはカスタマーサービス部門の責務となりますが、営業部門やマーケティング部門が果たせる役割もあるかもしれません。
顧客基盤への対応における営業部門とサポート部門の連携体制
Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート2020年版によると、顧客の70%は企業が社内で連携を取ることを期待しています。このため、営業部門とサポート部門が分断化された状態を改めて、これらの部門が協力し合う体制を確立しておく必要があります。
どちらの部門にも重要な顧客情報が蓄積されているため、これらの知識を共有する環境を整備し、両部門が協力して優れた質の高い顧客体験を提供していかなければなりません。
営業部門とサポート部門がそれぞれのデータにアクセスできるようにするため、共通の顧客管理プラットフォームの採用を検討するとよいでしょう。Zendeskを導入すれば、Sellによる営業業務の自動化とサポート部門によるチケット発行機能の両方を利用できるため、下記のことが可能になります。
サポート担当者が上位製品を販売できる機会を特定したら、営業部門に通知できます。
営業部門は技術的な質問を受けたら、サポート担当者に迅速な解決を依頼できます。
このソフトウェアを導入すると、顧客の問い合わせを最適な人に割り当てて解決できるため、カスタマーサービスの効率が上がります。
テクノロジーを活用して顧客基盤を常に拡大
新たな顧客を獲得しながら、既存顧客の維持率も高め続けることは、容易なことではありません。
購入の可能性のある人にターゲットを絞りつつ、既存顧客には満足度の高いサービスを提供しなければならないため、営業部門とサポート部門の両方が、全力で取り組む必要があります。
社員向けに以下の環境を整えれば、両部門が成功する確率が上がります。
適切なCRMを導入し、営業担当者が有望な見込み客を見つけ出して評価し、営業活動を行いやすくする。
サポート部門が顧客情報を整理して評価するためのプラットフォームを用意する。
Zendesk SupportとZendesk Sellのように統合連携されたソフトウェアを使用して、営業部門とサポート部門の間の壁を取り払う。
営業部門とサポート部門の距離を縮めて協力体制を整えれば、上位製品を販売する機会をつかみながら、カスタマーサポートの問題も解決していけます。