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良いカスタマーサービスとは?
カスタマーサービスの質を高める10の方法
この記事では、良いカスタマーサービスに欠かせない要素について、具体例を挙げながら説明していきます。さらに、カスタマーサービスの質を一段と高める方法もご紹介します。
更新日: 2024年1月30日
皆さんが今までに体験した最高のカスタマーサービスは、どのようなものだったでしょうか。
たとえば、よく行くカフェのバリスタが自分の名前を覚えてくれていて、好みのラテを作ってくれたとか、企業のサポート窓口に電話で問い合わせたとき、担当者が親身になって問題解決に奔走してくれたといった体験が思い浮かぶことでしょう。
卓越したカスタマーエクスペリエンスは、顧客が企業に抱く印象を変えるきっかけとなり、顧客ロイヤルティの向上にもつながります。
カスタマーサービスのさまざまなヒント
良いカスタマーサービスとは
優れたカスタマーサービスとは、ずばり顧客の期待に応えることです。具体的には、利便性を求める顧客のために、メッセージングチャネルを導入したり、自分で解決策を見つけたいという顧客のために、ナレッジベースを整備したりすることです。
関連データから読み解く、優れたカスタマーサービスの秘訣
顧客の77%は、問題が発生したときの対応が良かった場合にその企業へのロイヤルティが高まる
顧客の75%は、良質なカスタマーエクスペリエンスを提供する企業になら支出額を増やしてもよいと考えている
顧客の60%は、一度でも不快な対応を受けたら他社に乗り換えることを検討する
顧客の半数は、1年前と比べてカスタマーエクスペリエンスをより重視するようになっている
「多くの企業は、顧客の印象に残るには、『感動』『驚き』『喜び』を伴う優れたカスタマーエクスペリエンスが必要だと考えています。しかし、世の中には質の悪いカスタマーサービスがあふれ返っているため、顧客の期待に応えるだけで十分、他社より優位に立つことができます」と、CXpertの創業者兼CXエキスパートであるBen Motteram氏は述べています。
「世の中には質の悪いカスタマーサービスがあふれ返っているため、顧客の期待に応えるだけで十分、他社より優位に立つことができます」CXpert、創業者兼CXエキスパート、Ben Motteram氏
ただし、顧客の期待はここ数年高まり続けており、それに応えるのは簡単なことではありません。まずは、顧客が何を求めているのかを理解することから始めましょう。2021年のトレンドは「スピード」「利便性」「共感力」です。
カスタマーサービスで重要な3つの要素
顧客対応で特に押さえておくべきポイントは何でしょうか。Zendeskが全世界の3,000人を対象にアンケート調査を行ったところ、カスタマーサービスのさまざまな要素の中で、「スピード」「利便性」「共感力」の3つが特に重視されていることがわかりました。
やはり、最上位となったのはこちらでした。
スピード:すぐに問題を解決できる
それでは、次に挙げられるのはもちろん「自分の要求が通る」ことかと思いきや、結果は違っていました。?
次に重視されていたのはこちらでした。
利便性:カスタマーサービスを24時間年中無休で利用できる
わずかな差で次点となったのはこちらでした。
共感力:サポート担当者が親切である
カスタマーサービスの質を高める10の方法
まずは、良いカスタマーサービスを目指すことが第一ですが、さらに差別化を図るには、他社が質の悪いカスタマーサービスを提供しているのでもない限り、一段と踏み込んだ取り組みが必要です。しかも、顧客の期待は右肩上がりに高まっています。
つまり、良いカスタマーサービスを提供するだけでは不十分だということです。
以下では、「良い」カスタマーサービスから「卓越した」カスタマーサービスへとステップアップする方法をご紹介します。
1. 顧客が好むチャネルで対応する
Twitterで顧客から苦情の投稿が寄せられたとき、非公開の場に移動して対応したいと思うサポート担当者もいるかもしれません。
しかし、そう単純にはいかないケースもあります。その顧客は、既に問い合わせ窓口に電話していて、長時間待たされた後なのかもしれませんし、SNSでカスタマーサービスを受けたいと強く望んでいることも考えられます。チャネルを選ぶ際、消費者は応答の速さや問題の複雑さといった点を考慮します。
顧客は、友人や家族とのやり取りで使用しているチャネルで企業とも連絡をとりたいと考えています。したがって、顧客が好むチャネルで対応できるようにすることは、卓越したカスタマーサービスを実現するうえできわめて有効な方法の1つです。
サポート担当者は、電話、メール、メッセージングアプリ、チャット、SNSなど、さまざまなチャネルで応対できなければなりません。
そのためには、担当者がどのチャネルでのやり取りも把握でき、チャネルをシームレスに切り替えられるようなテクノロジーが必要です。
たとえば、チャットから問い合わせがあったものの、問題が込み入っていてチャットではらちが明かなくなったとします。このようなときに、サポート担当者が簡単に電話に切り替えて対応できるようにする必要があります。
オムニチャネルサポートの効果
パフォーマンスの高いカスタマーサービスチームは、他のチームに比べて2倍以上の割合でオムニチャネル戦略を採用しています。
オムニチャネルサポートの効果
- 問題解決時間が3倍以上速い
- サポート担当者が応答するまでの顧客の待ち時間が75%削減される
処理できるチケットの件数が大幅に増える(平均5.7倍)
2. 共感力を発揮する
優れたエクスペリエンスを提供するには、顧客と心を通わせることが大切です。そのためにまず必要なのが共感力です。
つまり、どんな場面でも顧客を中心に考える必要があります。これはカスタマーサービスに欠かせないスキルの1つです。また、共感力とは、顧客のことを煩わしい存在ではなく、物語の主人公として捉え、積極的に手を差し伸べることでもあります。
Motteram氏はこう話しています。「2020年は多くの企業で、顧客への共感力が大いに発揮されました。銀行では、経済的に困難な状況にある顧客にローンの返済猶予措置がとられ、自動車保険会社では、ロックダウン中で顧客が大して車を運転していなかったことを踏まえて保険料の大幅な引き下げが行われました。2021年も引き続き、企業には高い共感力と柔軟性が求められることになるでしょう。したがって、企業は共感力を高めるためのトレーニングを強化すると共に、顧客にとって最適な提案をするためなら社内の方針から外れてもかまわないという心持ちで、サポート担当者に明確な権限を与える必要があります」
「2021年も引き続き、企業には高い共感力と柔軟性が求められることになるでしょう」
CXpert、創業者兼CXエキスパート、Ben Motteram氏
3. 常に顧客ファーストを念頭に置く
現在、顧客ファーストを掲げる企業が増えています。そうした企業は、卓越したカスタマーエクスペリエンスの提供に意欲的な人材を探しています。
これは収益面でも優れた戦略と言えます。実際、顧客ファーストの文化を持つ企業は、そうでない企業と比べて60%も収益が高いというデータがあります。
Zapposは「WOW」(感動)という言葉をキーワードに、サービスで感動を届けることを第一のコアバリューとするほど、顧客ファーストを徹底しています。この考え方は、従業員のあらゆる行動に反映されています。
経営陣も含め、この企業に入ったばかりの従業員は必ず、2週間にわたって電話での顧客対応を行います。
- 電話対応に時間的な制限は設けられておらず、顧客が必要とする限り、対話を続けることが認められています。今のところ、最長記録は 10時間51分で、チームの大きな誇りとなっています。
顧客ファーストは、顧客をすべての中心に据えるビジネス戦略です。この戦略が重要なのは、優れたカスタマーサービスを提供するためという理由もありますが、それ以上の理由があります。
顧客ファーストを目指す企業は、人を最優先することに努めなければなりません。
また、顧客の立場から物事を考えられる人材を雇用することも重要です。サポート担当者には、顧客を煩わしい存在や片付けるべきタスクとして捉えるのではなく、物語の主人公と見なすことが求められます。
顧客ファーストを実践している企業では、あらゆるチャネルでフィードバックを収集し、その情報を社内全体で共有して、ビジネス上の意思決定に役立てています。
カスタマーエクスペリエンスは、提供している製品やサービスと同じくらい重要なものです。製品やサービスの質がどれだけ高くても、カスタマーエクスペリエンスの質が低いようでは、他社に顧客を奪われてしまう可能性があります。
4. 先回り型のサポートを提供する
問い合わせの解決が順調に進んでいないと、中には詳しく状況を聞いてくる顧客もいます。そうなると、問い合わせを解決するというもともとの問題のほかに、不機嫌な顧客をなだめるという別の問題にも対処する必要が出てきます。
顧客から連絡がある前に先回りしてニーズを予測することも、優れたカスタマーサービスの条件と言えます。
先回り型のカスタマーサービスを提供するには、助けを求められる前に率先して顧客に手を差し伸べる必要があります。つまり、問題の兆候があった時点で、解決に取りかからなければなりません。
良いカスタマーサービスの事例その1
パリのスタートアップ企業Feed.は、栄養バランスのとれたスマートフードを展開しています。
同社では、主にメールのチケットシステムを介して顧客の問い合わせに対応していましたが、成長に伴い、処理が追いつかなくなっていました。
そこで、Zendeskのメッセージングソリューションを活用したところ、チャットを介して先回り型のサポートを提供することで、カスタマーサービスを改善することができました。トリガ機能によって顧客のニーズに率先して対応することで、1日あたりに対応するチャットの件数は100件を超えるまでになりました(以前は10~15件)。顧客とのチャットは営業の機会にもなっており、180,000ユーロ以上の収益を生み出しています。
Feed.のカスタマーサポートハピネス担当マネージャー、Aurore Galland氏は次のように語っています。「お客様がオンラインストアを閲覧したり、ブログを読んだりしているときにアプローチをかけることで、ターゲットを絞ったサポートを提供できるうえ、お客様の疑問をその場で解消できるようになりました。たとえば、ダイエットに関するブログを読んでいるお客様には低カロリーの商品を案内するといったことが可能です」
先回り型のカスタマーサービスには、次のような大きなメリットがあります。
多くの場合、問題を未然に防ぐことができます。クレームが来るまでただ待っているのではなく、早いうちから顧客のために動くことで、カスタマーサービスチームの時間を節約できると共に、顧客の手間も減らせます。
データを使って顧客の好みを把握できれば、リアルタイムで商品を勧めることができます。このような1人ひとりに合わせたサービスによって、顧客のロイヤルティが向上すると共に、アップセルの機会も増やせます。
5. 顧客体験をパーソナライズする
「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート」によると、顧客の67%は、優れたエクスペリエンスが得られるなら支出額を増やしてもかまわないと考えています。
顧客と深くつながるには、データを活用してパーソナライズされた顧客体験を作り出す必要があります。実際、今日の顧客のほとんどは、高度にパーソナライズされた顧客体験を期待し、企業に対し、自分の基本情報、購入履歴、好みを把握しておいてほしいと考えています。また、そうした情報はすべて社内で記録して、何度も同じ説明をしなくても済むようにしてほしいとも考えています。
良いカスタマーサービスの事例その2
オンラインアパレル小売業のStitch Fixは、ユーザー全員に完全にパーソナライズされたサービスを提供しています。これは、カスタマージャーニーの最初の段階から始まっています。
C顧客はまず、ファッションに関する質問(「買い物についてどのように感じていますか?」「流行のアイテムを試すのは好きですか?」など)に答えます。
その回答に応じて洋服の画像が表示され、ユーザーはそれが自分の好みに合うかどうかを評価します。
社内のパーソナルスタイリストチームが、ユーザーのプロフィールを確認してお勧めのアイテムを紹介します。
このアプローチは成功を収めています。Stitch Fixの創業者兼CEOのKatrina Lake氏は、投資家向けの報告の中で、「アパレルやアクセサリー市場の売上が80%減少したこの時期に、3億7,200万ドルの純収入を達成した」と述べています。
既に多くの顧客が、高度にパーソナライズされたエクスペリエンスを期待しています。Accentureの調査によると、個人情報を提供することに抵抗を感じる消費者は多いものの、より自分に合ったサービスにつながるのであれば企業にデータを渡してもよいと考える消費者の割合は、83%にものぼります。
ここで注意しなければならないのは、顧客データの保護が最優先事項であるということです。明確な許可なしに顧客データを第三者に共有したり、意図しない方法で使用したりすると、顧客の信頼を失ってしまいます。信頼は一度でも失えば、取り戻すのは容易ではありません。
6. スピーディなサポートを提供する
現在、迅速に応答してほしいという顧客からの期待が、このうえなく高まっています。
特にミレニアル世代やZ世代は、すばやい応答に適した以下のようなチャネルを好む傾向にあります。
SNS
アプリ内メッセージ
ソーシャルメッセージングアプリ
むろん、それより上の世代は、電話、メール、店頭での対応といった従来の手段を好みます。しかし、企業に期待する応答時間は短くなっており、5分以内と回答した人は、電話の場合で51%、チャットの場合でも28%となっています。
顧客の期待を上回るには、顧客が求めるスピードに合わせる必要があります。たとえば、メッセージングアプリやメールの自動応答で「お問い合わせを受け付けました。内容を確認しますので、今しばらくお待ちください」と最初に伝えておくのも手です。また、伝言を残してきた顧客には、すぐに電話をかけ直すとよいでしょう。顧客に再度電話をかけさせてしまったら、その段階で質の低いサービスと見なされてしまいます。
スピーディなサポートのためのベストプラクティス
顧客が迅速なサービスを求めているのは明らかです。では、この期待にどう応えればよいのでしょうか。応答時間を短縮し、顧客満足度を高めるには、次のような方法があります。
サポート担当者へのトレーニングを強化する:カスタマーサービスに関するトレーニングプログラムを実施して、サポート担当者のパフォーマンス向上を後押しします。担当者が製品への知識を深め、充実したナレッジベースを活用できるようにして、難しい問題への対応力を身につけられるようにしましょう。
時間のかかっているプロセスを改善する:チケットを適切なチームにできるだけ早く割り当てることが重要です。特に、複雑な問い合わせが多い場合は、カスタマーサービス部門にトリアージ(優先順位付け)専門のチームを設置して、チケットの管理を一任するのも1つの方法です。
電話で手早くやり取りする:顧客とメールで何往復もやり取りしている場合や、やり取りが長期にわたっている場合は、時間を見つけて電話をかけてみましょう。それが解決への一番の近道になることもあります。
7. 顧客が自力で問題を解決できるようにする
顧客は常に助けてもらいたいわけではありません。その意味では、顧客が問題を自己解決できることが優れたカスタマーサービスと言えるケースもあります。顧客の69%は、
できるだけ自分で問題を解決したいと考えており、(ほぼ)毎回、まずは企業のWebサイトを検索すると回答した顧客の割合も、63%にのぼっています。
しかし、現実には、多くの企業がこうした追い風に乗ることができていません。ナレッジベースやコミュニティフォーラムを提供している企業はわずか3分の1で、ソーシャルメッセージング、チャットボット、アプリ内メッセージを提供している企業となると、3分の1にも届きません。
顧客が簡単に自己解決できる仕組みを構築すれば、カスタマーサービスチームの負担を減らせるうえ、顧客満足度も高めることができます。
顧客向けセルフサービス型サポートのベストプラクティス
FAQ・ヘルプセンターを設置する: まずは、チケットを通じて送られてくる問題や苦情のうち、特に重要なものを把握します。次に、それに基づいてFAQ・ヘルプセンターの記事を作成します。
そして、その後も引き続きFAQ・ヘルプセンターを整備して、顧客がさらにスムーズに自己解決できるように記事の改善に取り組みましょう。
チャットボットの導入を検討する:問題の自己解決を望む顧客は、すばやく効率的に解決できるのであれば、ボットや人口知能(AI)も進んで利用します。
担当者によるサポートも利用できるようにする:FAQやヘルプセンターの記事の最後に、「この解決策は役に立ちましたか?」といった質問を記載します。
顧客が「いいえ」と回答し、まだ助けを必要としている場合は、サポート担当者がチャットで対応するようにします。顧客が自力で問題を解決できなかったら、それが次のステップにエスカレーションするタイミングです。
不必要なハードルを課さない:多くの個人情報を入力しないとヘルプ記事にアクセスできないような仕組みにすると、顧客がそこでセルフサービスの利用をやめてしまう可能性が高くなります。
顧客がアカウントにログインするだけで、目的の記事にアクセスできるようになるのが理想的です。詳細情報を入力しなくて済む方が、だれにとってもスムーズにプロセスが進みます。
8. 業務を効率化するツールを導入する
とんかつには付け合わせの千切りキャベツが欠かせないように、「良いカスタマーエクスペリエンス」と「良い従業員エクスペリエンス」は、切っても切れない関係にあります。実際、
Forresterのレポートによると、従業員エンゲージメントが高い企業は顧客満足度が81%高く、離職率も同業他社の半分ほどで、決定的な競争力を持っています。
カスタマーサービスチームへの支援策として、業務を効率的に進められるようなツールやプロセスを導入しましょう。Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポートによると、パフォーマンスの高いチームは、メンバーのニーズに合わせてワークフローを適宜見直しています。
以下のようなことを行えば、顧客だけでなくサポート担当者の手間も軽減されます。
統合型のワークスペースを導入して、顧客の詳細情報をすぐに把握できるようにし、複数のツールを切り替えなくても問い合わせに対応できるようにします。
ワークフローを改善します。たとえば、顧客から問い合わせがあったら、その内容に適したスキルを持つ担当者に問い合わせを自動的に割り当てられるようにします。また、想定される回答を事前に用意しておくことで、払い戻しのリクエストがあった場合にも、担当者が規定を手入力せずに済むようにします。
頻繁に寄せられる問い合わせへの対応をボットに任せます。これにより、担当者は人間の力が必要なタスクに集中できるようになります。
9. 社内の連携を強化する
顧客の問題を解決する際には、多くの場合、サポート担当者どうしあるいは部門間で連携をとる必要があります。顧客も、企業内で当然そうしてくれるものと考えています。Zendeskの調査によると、チーム間の連携を可能にするツールが必要だと答えたサポート担当者の割合は、昨年に比べて31%増加しています。
SlackやZoomなどのツールを単一のワークスペース上で活用できれば、担当者はカスタマーエクスペリエンス部門の内外と協力して対応にあたれます。
10. 分析結果を基に改善に取り組む
顧客のニーズに応えるには、分析ソフトウェアを使って、さまざまなチャネルでの顧客に関するインサイトをすばやく包括的に入手できるようにする必要があります。これにより、単なるデータの収集にとどまらず、データを分析してそれを基にアクションを起こすことまで可能になるため、機敏な対応が実現します。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート」によると、マネージャーの40%は、リモートチームの成果を測定するための適切な分析ツールを導入していません。
カスタマーエクスペリエンスソリューションに組み込まれているリアルタイム分析と履歴分析を活用すれば、カスタマーサービスチームのリーダーは、目の前の課題に対処すると同時に、過去のトレンドも把握できます。チームの改善が必要な点を見定め、顧客の反応を理解することで、カスタマーエクスペリエンス全体を向上できるようになります。
良いカスタマーサービスを提供するために必要なスキル
以下に、サポート担当者が身につけるべき、特に重要なカスタマーサービススキルをご紹介します。
共感を示す:Zendeskの調査によると、顧客の49%が親身な対応を期待しています。
顧客のニーズを把握する
話を聞き、うまく情報を引き出す
選択肢や解決策を明確かつ簡潔に提示する
顧客のニーズを予測する
顧客のフィードバックに耳を傾け、それに基づいてアクションを起こす
迅速かつ効率的に問題を解決する
信頼関係を構築する:顧客を名前で呼んだり、過去の問題をフォローアップしたりといったシンプルな方法でも、大きな効果が期待できます。
部門間の連携を強化する:顧客の問題を解決するには、多くの場合、他の担当者や部門との協力が必要となります。
顧客を尊重する:顧客は、サポート担当者に大切に扱われたいと考えています。
専門家が語る「良いカスタマーサービス」とは?
「良いカスタマーサービス」や「卓越したカスタマーサービス」とは、いったいどういったものを指すのでしょうか?CXの専門家であるBen Motteram氏に聞いてみました。
※インタビューの音声は英語です。
「良いカスタマーサービス」とは、この記事でご紹介する7つのポイント(後述)を押さえたものです。最近の顧客は、親しみやすいこと、共感してくれること、公平であること、時間を尊重してくれることなどをカスタマーサービスに求めています。
カスタマーサービスが「良い」を超えて「卓越した」ものになるためには、対応が顧客の期待を上回るものでなければなりません。顧客の期待値は常に上昇していますが、どの業界にも当てはまる、期待を超えるカスタマーサービスを実現するための3つの方法をご紹介します。
1つ目は、顧客と担当者との間に感情的なつながりを作ることです。そのためには、顧客に関する情報を活用しましょう。気さくな口調で顧客の名前を呼びかけたり、以前に購入した商品の感想を聞いてみたりすることが有効です。
個人的には、先日、銀行に行ってお金を下ろしたときに、私の誕生日が数日前であることを画面で知った窓口の担当者から、「おめでとうございます」と言われたことがありました。
企業は、顧客について何を知っているかを考え、その情報を使ってどのように感情的なつながりを作ることができるかを考える必要があります。
ただし、感情的なつながりを生み出すことと、プライバシーを侵害していると顧客が感じるような気味が悪い印象を与えることは紙一重であることに注意してください。2つ目は、顧客が思っている以上に作業を簡単にすることです。例えば、顧客が待たずに済むようにIVR(自動音声応答システム)で電話の折り返しを設定したり、顧客の入力の手間を省くため顧客情報をもとに申込書の各項目を自動で埋めたりすることです。顧客の立場に立って、どうすれば顧客とのやり取りが楽になるかを考えてみましょう。
3つ目は、顧客のニーズを予測することです。顧客について知っていることを用いて、顧客の将来的なニーズを予測しましょう。Amazonは、顧客の購買データをアルゴリズムに取り入れておすすめ商品を提案するなど、これをうまく実現しています。
しかし、高度なアルゴリズムがなくても、データを見て、最もよくセットで購入される商品を選び出し、どちらかの商品が購入されたらもう片方の商品を薦めるするように現場のスタッフを教育したり、特定の顧客のシナリオを設計して、そのシナリオの中で他の顧客が必要としていた商品やサービスをお薦めすることは可能です。もちろん業界によって違いはありますが、引っ越しや車の買い替え、家族の誕生や別れ、入院などが挙げられます。
良いカスタマーサービスを生み出すための7つのポイント
Motteram氏によると、大多数の顧客は、企業とやり取りする際に7つの基本的なポイントを押さえてほしいと考えています。
親しみやすさ:最も根本的なニーズであり、礼儀正しさや丁寧さにも通じることです。
共感力:顧客のニーズや状況を深く理解することが求められます。
公正さ:十分な配慮をし、公正で妥当な回答を提供することが求められます。
主導権:顧客の意見を取り入れたうえで、最適なサポートを提供することが求められます。
代案:選択肢の豊富さや柔軟性も大事なポイントです。それぞれの顧客にとって最適な選択肢を選べるようにすることが求められます。
情報:製品やサービスについて的確かつ手短に説明することが求められます。与える情報が多すぎたり、セールストークが過剰だったりすると、顧客を不快にさせてしまいます。
時間:顧客の時間は貴重なものです。そうした時間を割いてもらっているという姿勢が感じられなければなりません。たとえば、顧客の背景情報を担当者がすぐに把握できるようにすれば、調べ終わるまで顧客を待たせずに済みます。
カスタマーサービスが評価されるポイントは「スピード」
顧客はスピーディな対応を望んでいます。「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート」でも、迅速な解決と応答は、引き続き顧客が最も重視している要素となっています。
カスタマーサービスで最も期待するポイントを顧客にたずねたところ、次のような結果となりました。1位:問題のすばやい解決(72.5%)2位:迅速な応答(58.9%)
卓越したカスタマーサービスのカギは「人を第一に考える」こと
顧客は、これまでに体験した最高のカスタマーサービスと比較して、近年の企業の対応を評価しています。さらには、顧客の46%が、購入先の企業に対して昨年よりも高い期待を寄せているというデータも出ています。卓越したカスタマーサービスを提供する努力を常に怠らないようにしましょう。