すばらしい言葉というのは、相手の心に訴え、世の中を動かします。企業でカスタマーサービス業務に就くサポート担当者も、巧みな話術で顧客を適切な方向へと導いています。とは言え、現代は”セルフサービス”の時代です。実際、Zendeskの調査では、回答者の67%がセルフサービス型のサポートを積極的に利用したいと考えており、91%がニーズに合っていればナレッジベースを利用してもかまわないと答えています。そして、より満足度の高いセルフサービスを提供するうえで欠かせないのが、質の高いFAQページです。
FAQページが優れていればセルフサービスを好む顧客に重宝されます。その結果、サポート担当者に割り当てられるチケットの数が減り、効率性向上やコスト削減といった点でもメリットがあります。担当者は空いた時間を使って、戦略の策定や長期的なプロジェクトへの参画など、より高度な業務に取り組めるようになるでしょう。そして何より、質の高いFAQページは、顧客関係を強化するうえでも効果的です。
そこでこの記事では、FAQページを作成するうえで考慮すべきポイントをご紹介します。
目標を明確にする
そもそも自社のWebサイトにFAQページを設ける目的は何でしょう? FAQページのデザインを具体的に詰めていく前に、この根本的な問いについてよく考えなければなりません。米国ニューヨークに拠点を置くCooperで、シニアUXデザイナーを務めるChristopher Calabrese氏は、次のように話します。「もしもサイトそのものの作りがわかりにくく、顧客が欲しい情報を見つけられないようであれば、FAQページを用意しても大きな効果は見込めません」その場合は、まず自社サイト全体のデザインについて問題点を洗い出す必要があります。
とは言え、常に大量の問い合わせへの対応に追われている企業であれば、FAQページがすぐにでも必要なのは明らかです。その場合に肝心なのが、FAQページで達成したい目標を明確にして優先順位を付けることです。一番の目標は、従業員が対応するサポートチケットの数を減らすことでしょうか? それとも、顧客とのやり取りを活性化して顧客関係を強化することでしょうか? 主要な関係者間で認識のずれがないように、早い段階でよく話し合っておきましょう。
ユーザーの視点に立つ
何より大切なのは、顧客に良質なエクスペリエンスを提供することです。FAQページの場合、「顧客が抱えている問題を解決する」というきわめてシンプルな目的にフォーカスすることがカギとなります。
顧客からよく寄せられる質問がどれくらいあるのか確認してみましょう。これは2つの点で重要です。第一に、FAQページに載せるのは、サポート担当者たちが想像で作成した質問ではなく、実際に顧客から寄せられたものでなければなりません。他の部門にも協力してもらい、実際にあった質問の例を集めましょう。第二に、FAQの数が4つや5つだけなら、すべての質問を一つのページにまとめて掲載して、質問の下に直接回答を展開するというやり方もあります。これなら、別ページにアクセスするために何度もクリックする必要がなく、顧客の手間を軽減できます。しかし、FAQの数が数十にのぼり、アルファベット順などの一定の規則に沿って掲載されていないのであれば、話は別だとCalabrese氏は説明します。その場合、必要な情報にたどり着くまで延々とスクロールしなければならず、顧客に面倒を強いることになるからです。まずは、顧客が欲しい情報に簡単にアクセスできるような作りにし、必要に応じて検索ツールの導入なども検討しましょう。
チュートリアル動画やインパクトのある写真など、メディアをふんだんに取り入れるのもお勧めです。ただし、ポップアップなどの使用はなるべく控えてください。Calabrese氏は次のように話します。「目的達成までの道のりに邪魔が入ると、ユーザーのストレスにつながります。ポップアップが度々表示されれば、ユーザーはだんだん苛立ち出し、最終的にはページから離れて行ってしまうかもしれません」
モバイル端末に対応する
これも絶対に押さえたいポイントです。今日、ほとんどの顧客はモバイル端末を使用しており、PCからでもスマートフォンからでも、常にシームレスにサービスを利用できることを望んでいます。レスポンシブデザインを導入すれば、Webサイトを変更した際に、モバイルサイトにもすぐに変更内容が反映されるため、モバイルサイトの作成や管理が楽になります。
Calabrese氏によると、優れたモバイル戦略を打ち出すのは重要なことですが、Webサイトよりも力を入れたり、まったくの別物にしたりする必要はありません。「モバイルデザインはあくまで自社サイトのデザインの一部に過ぎないのです」
ユーザーの反応を確かめる
さて、これで最高のFAQページが完成しました。早速次のタスクに取りかかりましょう――と言いたいところですが、その前に、作成したFAQページが顧客にとって金メダル級の最高なできになっているのか、きちんと確かめる必要があります。Webサイト上で使用できる各種アンケートツールを利用して、顧客からフィードバックを収集しましょう。他にも、Webサイトデータを分析したり、顧客からどんな声が寄せられているか、メンバーにヒアリングしたりするのも手です。