アパレルとITを掛け合わせたビジネスウェアのカスタムオーダーサービスを手掛ける株式会社FABRIC TOKYOには、マーケティング部門が存在しません。「マーケティングは全社でドライブしていくもの」という考え方のもとプロジェクト制で展開。代わりに、カスタマー・エクスペリエンス・マネジメントチーム(以下、CXMチーム)を設置し、単なる顧客対応にとどまらず、あらゆるタッチポイントをまたいで全社横断でカスタマーエクスペリエンスの向上に取り組んでいます。
CXMチームの下には、情報発信を通じてリピーターに愛されるブランドになることをミッションとするカスタマーコミュニケーションチーム、実店舗における購買体験、問い合わせ対応を含むサポート全般を担当するカスタマーサクセスチーム(以下、CSチーム)の2部門を設置。
FABRIC TOKYOの利用者は、一度購入すると二度三度と購入するリピーターが多く、いかに顧客との長期的な関係を構築できるかがビジネスの鍵を握るため、2部門の中でも、とりわけCSチームが重要な役割を担っています。株式会社FABRIC TOKYO 代表取締役社長 森 雄一郎氏も、「CSチームは当社のセントラルであり、ファンづくりを担う事業の司令塔」と強調します。
このCSチームが2016年に導入したのがZendesk Supportですが、実は、CXMチームの設置はその約一年半後。もともとカスタマーサポートの重要性を認識していた同社がZendeskを導入し、そのメリットを享受するなかで、CXMチームの設置へと動き出したのです。具体的には、Zendeskの活用によりサポート業務が効率化されたのはもちろんのこと、顧客の状況やニーズが可視化されるようになり、「Fit Your Life」をブランドコンセプトに掲げ、一人一人のライフスタイルにフィットする洋服・着こなしを提案する会社として、今何をすべきかを考える余裕が生まれたからです。
1. 顧客を泣き寝入りさせない体制づくり
商品発送時にお直しの依頼カードを同封する、特定のタイミングでお客様に個別に電話をするなど、問い合わせが来てからではなく、来る前に何をすべきかを考え、顧客がお直しの依頼や不満などを遠慮なく言える体制を作る。
「オンライン販売のない店舗型であれば、商品を受け取るときに試着し、フィットしないところをその場で伝えることもできます。しかし、当社の場合は、店舗受け取りだけでなく配送のケースもあるため、こちらからアクティブにサポートしていかない限り、泣き寝入りしてしまうお客様もいらっしゃいます。長期的にお客様と付き合っていくためにも、クレームをむしろ、いい意味で増やそうという動きがあります」(森氏)
2. 顧客の生の声の共有
日々、Zendeskに蓄積される顧客の声、嬉しい内容も耳の痛くなる内容も全社へオープンに共有している。
「たとえば、配送チームに配送日の調整をお願いした場合に、最終的にお客様から感謝の声を受け取るのは、直接お客様とやりとりするCSチームです。しかし実際には、1件配送日を調整するにも、その裏にはCSチームだけではなく、実際に動いてくれた別のチームの存在があります。そういったメンバーにもお客様の生の声を届け、自分たちが動いた行動に対する声やフィードバックをリアルタイムに、ダイレクトに感じてもらいたいのです。そして、このような取り組みをきっかけに、CSチームを中心に、目の前の業務をただの作業にせず、その先にいるお客様を見据えて自発的に動ける組織を目指していきたいと考えています」(株式会社FABRIC TOKYO CXMチーム カスタマーサクセスチーム マネージャー 鈴木佳菜氏)
3.リピチャン率を指標に追加
クレームをチャンスに変えてリピーター獲得につなげる「リピートチャンス率(通称:リピチャン率)」を追跡する。
「クレームは当然望ましくはありませんが、何らかのエラーが数%の確率で発生した場合に、どれだけいい対応ができるかが重要です。当社は売り切りではなく、お客様と長期的な関係を築くことを大事にしているので、今一瞬の損は一切気にしなくていい、もっと言えば今は赤字でもいい。この考え方がクレームを増やす動き、言い換えれば、クレームを言いやすい環境を作ろうという動きにつながっています」(森氏)
FABRIC TOKYOでは、現在Zendesk Supportのみを活用していますが、すでにZendesk Talkの導入に向けて準備が進んでおり、その先にはZendesk Chatの導入も見据えています。また、ゆくゆくは自社システムとの連携も実現したいとのこと。今後は、実店舗も続々と増える計画で、同社の顧客基盤の拡がりと共に、Zendeskがその実力を発揮する場面がますます増え、これまで以上に手離せない存在となりそうです。
Zendeskを活用し、カスタマーサポートを強みにファンづくりを進めるFABRIC TOKYOの取り組みの詳細は、こちらでご紹介しています。ぜひご覧ください。