DX(デジタルトランスフォーメーション)の波は自治体にも押し寄せています。自治体DX推進計画を策定した政府は、目指すべきデジタル社会のビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」を掲げています。このビジョンの実現に向けて自治体が担う役割が重要であることは明らかでしょう。具体的には、デジタル化の推進によって業務を効率化するとともに住民の利便性向上を図り、行政サービスの質の向上につなげていくことが求められます。
岐阜県南東部に位置する恵那市では、恵那市ICT活用推進計画を策定。「ICTでつながる・ひろがる・かがやくまちeえな」をキャッチフレーズに、快適な生活環境の実現と市内経済の活性化につなげるべくさまざまな取り組みを進めています。地域の情報格差を解消するための通信インフラを中心とした地域情報化事業のほか、行政事務のデジタル化やシステムの最適化、マイナンバー制度への取り組み、それに伴うセキュリティ強化といったこれまでの取り組みに加え、ICTを活用した地域課題の解決も重要なテーマです。そのために必要なのが、情報を迅速かつ正確に収集できる仕組み。さらにそれを具体的施策につなげていくための導線です。Zendeskの導入についても、こうした動きが後押ししたものです。
恵那市に寄せられる市民の意見や要望、提案は、市政運営において改善のヒントとなる貴重な情報です。以前は電話やメール、Webサイト、広報直通便はがき、恵那市公式アプリなどを通じて届く市民の声をExcelで管理していました。その流れは次のとおりです。
<導入前の業務フロー>
市民の意見や要望、提案が届く
Excelに転記した上で担当課にメールでExcelデータを送る
担当課で回答を記入後、出力する
担当課の上長が承認する
担当課から総務課に返信する
総務課から市民に回答する
<課題>
手入力による二度手間が発生する
回答までに時間がかかる
進捗管理が難しい
ヌケやモレにつながる
一元管理できない
Zendeskで目指したのは、今どこの誰からどんな意見や要望が届いていて、どの課の誰が対応中なのか、市民への回答は済んだのかを把握するための仕組みです。コロナ禍という経験したことのない状況下での導入となったため、集合研修を実施できず、すべての関係職員にオンラインで使い方動画を視聴してもらい本稼働に臨んだといいます。
Zendesk上で、意見や要望への対応状況が簡単に把握できる
導入から一年が経ち、業務効率の改善はもちろんのこと、市民エクスペリエンスの向上につながるさまざまな変化が見られています。
<導入後の変化>
手入力の手間が軽減
市民から寄せられる意見や要望、提案を一元管理
回答までの時間を削減
課を越えて情報を速やかに共有
回答の精度が向上
リスク管理の観点で先回りした対応が可能
Zendesk上に蓄積されたデータの活用はこれからとはいえ、市民とのコミュニケーションの窓口を担うZendeskが市政に影響を与える重要な鍵を握りつつあることは確かです。恵那市のZendesk活用はこちらでご紹介しています。ぜひご覧ください。