従業員の退職を防ぐには、ポジティブな従業員エクスペリエンス(EX)と職場文化を確保する必要があります。
近年、労働者は「従来の働き方」に疑問を呈し、フレキシブルな職場環境や仕事とプライベートの適切なバランスを求めるようになってきています。 特にミレニアル世代とZ世代が労働力の中心となるにつれて、今後もこのような傾向は続くと予想されます。 この世代の人々は雇用主が改善すべき点について意見を述べ、公然と現行の労働基準に対して行動を起こし、辞職する傾向にあります。
雇用した従業員は会社の最も貴重な資産であり、優秀な人材の退職を防ぐためには、従業員のニーズや優先事項に細やかな配慮を示す必要があります。 そして顧客をサポートするように従業員もサポートし、従業員が不満なく働くことができる職場環境を整える必要があります。
この記事では以下について説明します。
従業員エクスペリエンスとは
従業員エクスペリエンスとは、仕事、労働環境、会社に対する従業員視点の満足度を指します。
給与、福利厚生、柔軟性、有給休暇などの仕事に直接関係する要素は、従業員エクスペリエンスを大きく左右します。 ただし、職場文化も同じくらい重要な要素です。 会社でポジティブな職場文化と従業員エクスペリエンスを促進できているかどうかを判断するには、以下の点について考えてみて下さい。
肯定的かつ問題解決志向のコミュニケーションを取っている
従業員が心おきなく自由に意見を表明できる環境が整っている
マネージャーが従業員の有給休暇や残業時間に配慮している
経営層が会社の優先事項やKPIを従業員と明確に共有している
良くも悪くも、誰もが働かなければなりません。 従業員エクスペリエンスの目標は、職場で日常的に発生する些細な不満を最小限に抑え、従業員が仕事に専念できる環境を整えることです。
優れた従業員エクスペリエンスを実現する要素とは
優れた従業員エクスペリエンスを実現するには、単に「問題がない」職場環境を整えるだけでは十分ではありません。 従業員エクスペリエンスは、次のような複数の要素で構成されています。
顧客への感謝を示すリーダーシップ
従業員と積極的に関わるビジネスリーダー
メンタルヘルスを向上する取り組みとサポート
アイデアや不満を安心して自由に表現できる環境
キャリアアップに役立つ研修や能力開発の機会の提供
マイクロマネジメントを介さず自律的にタスクを遂行できる環境
優れたワークライフバランスと自由に有給休暇を申請できる環境
達成感と価値観
仕事に対するモチベーション
上記の要素を優先していない場合、従業員が組織に軽視されていると感じて、退職や転職を検討する可能性が高くなります。 Statistaによると、2022年に世界で従業員が離職した理由で最も多かった回答は以下の通りです。
キャリアアップと昇進の機会がない
給与、福利厚生、役得などの勤務条件が悪い
会社の経営方針に魅力を感じない
仕事に対してやりがいやモチベーションを持てない
仕事にストレスを感じ、長く続けられそうにない
同僚との人間関係が良くない
仕事とスケジュールに柔軟性がない
従業員の福利厚生に関するサポートがほとんどない
従業員エクスペリエンスを重要視すべき理由
従業員エクスペリエンスが重要なのは、実際に基幹業務を行っているのが従業員だからです。 製品やサービスの開発、カスタマーリレーションシップの構築、ビジネスにおける課題の解決、後方業務のサポートなどのあらゆる業務は、従業員なしで成立するものではありません。
従業員を大切にしていないと、その影響が仕事の成果に現れます。 「カスタマーエクスペリエンスと従業員エクスペリエンスは鏡のようなものだ」と作家で基調講演者のBlake Morgan氏はツイートしました。
従業員エクスペリエンスジャーニーのステージにもとづく戦略の立て方
職場でのエクスペリエンスを向上させるには、従業員の歩む過程(ジャーニー)を理解して、アイデアを得る必要があります。 従業員のジャーニーは以下の6つのステージに分かれています。
採用
オンボーディング
成長
昇進
定着
退職
各ステージには、問題点、重要なタッチポイント、具体的な戦略が伴います。 これらをすべて組み合わせて考えることで、新入社員がベテラン社員へと成長し、やがて退職するまでの過程でポジティブな従業員エクスペリエンスを提供できます。
従業員エクスペリエンスを向上させる5つの方法
詳細にこだわる前に、従業員のニーズ、優先事項、業務内容、社内ナレッジベースやヘルプデスクに対する期待などを把握しておく必要があります。
バランスの取れた社内ヘルプデスクソリューションを実現するには、以下を提供する必要があります。
ヘルプデスクとヘルプセンターの機能
- ライブチャットとAIチャットボット
フィードバック管理
パフォーマンスと分析の追跡
1. 迅速かつ効率的な従業員サポートを提供する
従業員エクスペリエンスツールを使用してワークフローとプロセスを簡素化し、従業員が必要なリソースに滞りなくアクセスできるようにします。
Zendesk 従業員エクスペリエンストレンドレポート 2022によると、企業リーダーの68%が、社内の従業員サポートとビジネスの成長が直接関係していると考えています。 またZendeskの調査によると、チームの70%が社内従業員からのリクエストが増えていると感じており、86%が今後もリクエストは増え続けると考えていることが分かりました。
多くの社内チームは、マクロ(サポートリクエストに対する標準的な返信)やトリガ(アクティビティやイベントにもとづく自動アクション)などの、カスタマーサポートで一般的な機能を活用しきれておらず、サポートチケットに頼っています。
IT部門はZendeskのようなソフトウェアを使用して、社内チーム、つまり従業員をサポートできます。 社内ヘルプデスクは、カスタマーサービスチームをサポートする素晴らしい方法でもあります。 ITの利便性や一般的な基準に合わせるのではなく、従業員のニーズと責任にもとづいたプロセスを構築することで、適切に対応できます。
2. 社内資料を1か所に集約する
社内で蓄積した情報や知識が複数のツールやシステムに散らばっており、健康保険の開始日や会社の休業日などに関する簡単な質問にもすぐに答えられないことがあります。
従業員が迷わないように、FAQ、従業員ハンドブック、福利厚生情報などの内部リソースを1か所に集約し、簡単に見つけられるようにしておきましょう。
従業員が探している情報を簡単に見つけられるようにするには、以下のような方法が有効です。
対話型体験を提供する
関連チャネルを提供する
パーソナライズされたコンテキスト情報を共有する
ユーザーフレンドリーなサポート担当者向けワークスペースを提供する
またオンボーディングプログラムには、社内カスタマーサービスデスクの連絡先情報を含めるようにします。 さらに管理職は、従業員が特定の問題についてサポートを必要とする場合の連絡先を把握しておく必要があります。
またオフィスワークの従業員とリモートの従業員の両方に、社内サポートを提供できる環境を整えておく必要があります。 リモートの従業員にはどこからでもアクセスできるテキストベースまたはチャットベースのサポート、オフィスワークの従業員には電話でのサポートの方が便利かもしれません。
3. 学習と専門能力開発の機会を提供する
従業員が日々の業務に追われて、スキルアップのための講習やカンファレンスなどの専門能力開発の機会に参加できない状況は望ましくありません。 こうしたスキルアップの機会は単に良い経験になるだけではなく、従業員になくてはならないインスピレーションの爆発をもたらす可能性があります。
一方で、退屈な状況を見過ごしていると、従業員がバーンアウトの状態に陥る可能性があります。 以下では、バーンアウトからの回復を支援するコーチ、Emily Ballesteros氏が、さまざまなタイプのバーンアウトと、退屈なキャリアが原因で発生する倦怠感への対処法について説明しています。
従業員を対象とした能力開発基金を設立し、専門的なカンファレンスへの出席やオンラインクラスへの登録に利用できる資金を援助するのも一案です。 予算が限られている場合は、チームが週に1時間をかけて、以下のような無料または低コストの専門能力開発の機会を得られるようにするのも効果的です。
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4. 昇進とステップアップに関するキャリアパスを明確に示す
従業員の多くが、昇進の道筋が明確ではないことに不安を感じています。 キャリアアップの条件が不明確だと、一部の従業員はマネージャーが実際のスキルではなく人気や影響力を理由に昇進を決定しているように感じます。
また社内でキャリアパスを明示していない場合、従業員は昇進と給与の大幅な引き上げが期待できる他社への転職を検討するかもしれません。
昇進の可否は、キャリアパスのフレームワークと、従業員が昇進後の役職に必要なスキルと経験を有していると実証されたかどうかにもとづいて判断します。 マネージャーは各従業員に目標を設定し、昇進に必要なスキルを習得するための計画を立てるように促し、進捗状況を確認しながらフィードバックを提供し、従業員が確実にマイルストーンを達成できるように支援する必要があります。
5. 従業員に頻繁にフィードバックを求める
従業員の意見を聞く機会が年に1度だけ、または退職面接時だけという状況は回避してください。 頻繁にフィードバックを求めることで、常に問題を把握し、従業員の満足度を向上し、サービスレベルを高く保つためのソリューションを提供できます。
フィードバックは、標準作業手順の一部に組み込んでおくべきです。 また、フィードバックに関してオープンドアポリシーを導入するのも一案です。 オープンドアポリシーを実践すると、従業員とマネージャーが業務評価のサイクルにとらわれず、常にフィードバックを交換できる状態になります。
また従業員からフィードバックを得る際は、当人の心理的安全性に配慮する必要があります。 特に従業員から率直な(時には容赦のない)意見を聞きたい場合は、従業員が安心感を持ち、正直に発言してもデメリットがないように保証してください。
以下を再生して、ウォートン大学の心理学教授でありビジネス分野の第一人者であるAdam Grant氏からのアドバイスをお聞きください。職場で心理的安全性を確保するために役立つ内容です。
従業員エクスペリエンスに関するアンケートの種類
調査を行わずに改善を試みることはできません。 従業員エクスペリエンスは主観性が高くなりがちですが、幸いにも従業員エクスペリエンスの評価には多様なツール(アンケート、感情分析、フォーカスグループ、質的フィードバックなど)を活用できます。
おそらく最も身近な方法はアンケートですが、万能な形式はありません。 ここでは、従業員をより良く理解できるアンケートの種類ををいくつかご紹介します。
従業員エンゲージメントのアンケート
従業員エンゲージメントのアンケートを実施するには、QualtricsやGlintなどのツールを活用します。 従業員エンゲージメントのアンケートでは、従業員に体験についての定量的評価(5段階で満足度を評価するなど)を求めるのが一般的です。 これにより、会社全体の傾向を把握し、より注意が必要な課題を特定できます。
従業員からの回答はランキング形式で評価されるため、次のようなシンプルで本心に迫る質問を投げかけるようにしてください。
直近のプロジェクトの期限は適切でしたか?
当社で働くことを知人に勧める可能性はどのくらいですか?
当社で働くのは楽しいですか?
組織の価値観に共感しますか?
数値ベースの評価システムを使用することも、「非常にそう思う」から「全くそう思わない」までの段階に分けた選択肢を提供することもできます。
サポートの満足度アンケート
Zendeskなどのツールを使用すると、ヘルプデスクを利用した従業員やヘルプセンターの記事を読んだ従業員に、満足度アンケートを自動送信できます。 これらのアンケートを通じて社内サービスの利便性を評価し、ネガティブなフィードバックを受け取った場合は対処すべき課題を特定できます。
この機会を利用して、社内リソースやヘルプデスクが従業員のニーズをどの程度満たしているかを評価してみてください。 サポートの満足度アンケートには、次のような質問が適しています。
探しても見つからなかったリソースはありますか?
ナレッジベースを使用した感想を教えてください。
ヘルプデスクのサポート担当者は問題の解決を支援できましたか?
現状確認
Pollyなどのアプリを使用すると、さまざまな従業員グループを対象に特定の内容の簡潔なアンケートを実施できます。 たとえば、会社のミーティングやイベントの参加者にPollyでアンケートを送信して、感想や意見を聞くことができます。
現状確認を行うと、タイムリーで具体的なフィードバックを得ることができます。 次のような質問を含めるようにしてください。
現在のプロジェクトはすべて予定通りに進んでいますか?
売上目標は順調に達成できていますか?
タスクの優先順位を見直すために支援が必要ですか?
今週中に顧客に関する問題や顧客からのクレームが発生する見込みはありますか?
セールスまたはサービスに関して、思ったより時間がかかっているタスクはありますか?
感情と行動に関するアンケート
従業員エクスペリエンスのソフトウェアを使用すると、従業員から寄せられた質問の内容や内部リソースの利用状況などのパターンを把握できます。 たとえば、Zendeskのチケットデータを確認して問い合わせの多い質問内容を特定し、研修やトレーニングの追加を検討することができます。
しかし職場でのさまざまな出来事について従業員がどのように感じているのか、その真相を知るためには従業員にアンケートを行う必要があります。 以下のような質問を通じて、従業員の精神、感情、身体の健康状態をより正確に把握してください。
ストレスレベルに最も影響を与えている仕事上の要因は何ですか?
最も楽しい業務は何ですか?
心理的な負担を軽減するために会社から提供できる支援はありますか?
ストレスの原因となっている、使いづらいソフトウェアやプロセスは何ですか?
自由回答式アンケート
従業員が長い文章を書き、自分の経験を自分の言葉で説明した回答は非常に有益です。 このような定性的な回答には、定量的な調査では得られない背景情報が含まれています。 どちらのタイプのアンケートにも価値がありますが、文章による回答を受け取った場合は細心の注意を払い、必要に応じて適切な対策を講じてください。
自由回答式アンケートの質問はアンケートの回答率を高め、会社内のエクスペリエンスをよりよく理解するのに役立ちます。 以下は質問の例です。
当社の長所は何ですか?
当社の欠点は何ですか?
生産性やパフォーマンスを向上させるために当社が改善できる部分はありますか?
チーム内でコミュニケーションを取りにくいと感じた経験はありますか?
退職時のアンケート
退職の2週間前に辞表を提出した時点で、従業員と会社の関係が終わるわけではありません。
先に述べたように、退職が決まっている従業員は通常、職場文化について正直かつ積極的にインサイトを提供する傾向にあります。そして、このようなフィードバックから必要な改善点を特定し、今後もチームで働く従業員をより適切にサポートすることができます。
退職者には、退職面接またはメールを通じてアンケートを実施します。今後の参考になりそうな、会社での経験に関する質問を投げかけるようにしましょう。 聞きたくない内容もあるかもしれませんが、適切な質問を用意しておくことで多くの有益な情報を得ることができます。
従業員の退職理由を明らかにするには、以下のような質問が適しています。
退職する理由は何ですか?
転職を決めた理由は何ですか?
より前向きな体験を得るために、会社に期待したアプローチはありますか?
あなたが在籍し続けるように、会社が実行できた(あるいは今からでも実行できる)対応はありますか?
会社での役割に関する要望はありましたか?もしあれば、それは何ですか?
トレーニングやオンボーディングは十分でしたか?
ここで働いていてよかったと思うことは何ですか?
経営陣から感謝やサポートを受けていると感じられましたか?
有益なインサイトを確実に得るためにも、アンケートの回答が機密情報として扱われることと、提供された意見に真摯に向き合うことを対象者に必ず伝えるようにしてください。
優れた従業員エクスペリエンスを実現するメリット
良好な従業員エクスペリエンスは、生産性、定着率およびパフォーマンスの改善につながります。
多くの場合、企業が職場文化に投資すると、従業員が過度なストレスを感じることなく最高の仕事ができるようになり、顧客満足度も向上します。
良好なEXを提供することに重点を置くと、以下を実現できます。
従業員の離職コストの削減
従業員の定着率の改善
リードジェネレーションの強化
カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上
従業員の離職コストの削減
CultureAmpの調査によると、従業員1人を交代させるコストは新入社員の初年度給与の30~200%に及ぶ可能性があります。 また、コストがかかるだけではありません。 新入社員が仕事に慣れるまでには時間がかかり、完全に定着するまでには最大1年かかるという意見もあります。これは会社の収益を損なう原因にもなります。
既存の従業員を雇用し続けると、以下の経費を節約できます。
- 採用コスト: 新入社員の初年度給与の最大30%に相当する手数料
- 経歴調査:10~100ドル以上
- 従業員紹介ボーナス:1,000ドル以上
- オンボーディング:1,000ドル以上
- トレーニング:700ドル以上
優秀な従業員の定着
企業は常に従業員の定着を最優先するべきですが、パンデミック後に発生した大量離職の影響を受けて、従業員を長期的に定着させる必要性がさらに高まっています。 優秀な人材の離職は大きな損失であり、会社に適した従業員を新しく見つけて雇用するまでには莫大な時間がかかります。
すべての経費を合計すると、企業は採用コストを賄うために、新入社員の年収の3倍もの予算を費やすことになります。
求人サイト「Joblist」のデータによると、常勤従業員の退職の意向を知って直接引き止めようとした上司は25%にのぼるとのことです。 社内エキスパートはかけがえのない存在です。会社から感謝され、サポートが得られていると実感してもらえるような職場環境を整えてください。 従業員が定着すると、経営する会社のスタイルが確立されるだけではなく、採用とオンボーデイングにかかる費用を大幅に節約することもできます。
従業員アドボカシーによるリードの創出
LinkedInなどのソーシャルメディアネットワーキングサイトで従業員アドボカシーを推進すると、会社に興味を持つ求職者や潜在的な顧客が増える可能性があります。
従業員が会社について発言するときは、良い話が出るようにしておきたいものです。 以下の理由から、従業員の満足度が高いと売上にも良い影響があります。
従業員が会社に深く関与し、製品やサービスに自信を持っていれば、潜在的な顧客も製品やサービスを信頼します。
従業員がより良いカスタマーサービスを提供すると、アップセルやクロスセルの機会が増えて収益を拡大できる可能性があります。
従業員がより長く在籍することで、顧客との関係を強化できます。
カスタマーエクスペリエンスの向上
従業員の定着率と業績を最大化するには、チームの満足度を維持し、情報を共有し、生産性を向上させます。 従業員に対する投資は、多くの場合、仕事やカスタマーサービスの質の向上と競争優位性の獲得につながります。 また満足度の高い熱心な従業員は、以下のようなセールスおよびサポートの機会を積極的に見つけて活用します。
ソーシャルリスニング
個別のオンラインチャットサポート
アップセルとクロスセル
従業員エクスペリエンスの事例(問題と解決策)
ここでは、従業員の退職につながる一般的な問題とその解決方法をご紹介します。
コミュニケーション不足
職場でコミュニケーションが不足していると、誤解、不満、混乱を招き、従業員が離職しやすい状況に陥ります。 コミュニケーション不足を解消するには、コミュニケーションに関する期待値と境界を設定するようにします。たとえば、勤務時間、組織内の相談窓口、チャネルごとの予想応答時間などを明確に示しておくとよいでしょう。 また、Slackなどのコミュニケーションインテグレーションツールを使用すると、コミュニケーションを効率化できます。
顧客の全体像を把握しておくと、複数の部門が協力して大きな成果を収めることができます。 顧客がサポートチケットを送信し、サポート担当者が顧客に現行パッケージのアップグレードを促すことでメリットが得られると判断した場合、そのアイデアを営業担当者と簡単に共有して、ビジネス目標の達成に役立てることができます。
たとえば、食料品の即日配達サービスとして人気を集めているInstacartでは、顧客の行動履歴を完全かつ正確に確認できる機能を活用しています。 同社では、6つのチームが毎月175,000件を超えるサポートチケットを処理しており、顧客の全体像を把握できるサポートソフトウェアがなければ業務が成り立ちません。 InstacartはZendeskを使用して個別のサポートエクスペリエンスを構築し、従業員が配達業務を効率化するために必要なデータを確実に入手できるようにしました。
非効率な業務プロセスとツール
重要なプロセスを文書化し、よくある質問に対する回答を提供することで、チームの仕事を効率化できます。
従業員エクスペリエンスはカスタマーエクスペリエンスと同様に、AIやセルフサービスリソースを活用して改善できます。 反復タスクを自動化でスピードアップし、スタッフメンバーが社内ヘルプデスクからの追加サポートを必要としているタイミングをAIで判断することができます。
また、従業員はナレッジベースを使用して自力でソリューションを見つけ出すこともできます。 たとえば、次のような質問に対する回答が得られます。
パスワードをリセットするにはどうすればよいですか?
ノートパソコンからウイルスを駆除するにはどうすればよいですか?
源泉徴収票にアクセスできないのはなぜですか?
ワークフォースマネジメントとベンダーソリューションを専門とする会社、Workriseでは、Zendeskを導入して社内システムをカスタマイズしました。その結果、チームが優れたサービスを提供できるようになりました。 また、サポートソフトウェアを最大限に活用できるようにスタッフをトレーニングし、トリガやマクロを使用した最先端の自動化を導入することで、同社は18チームの間で最適なワークフローを確立しました。
バーンアウト
2021年には従業員の40%がバーンアウトを理由に退職し、そのうち28%の従業員は極めて大きなストレスを抱え、転職先が決まる前に退職を決意しています。
営業やサポートはスピード重視の役割であり、特に顧客から拒否される場合や怒った顧客に対処しなければならない場合、サポート担当者がバーンアウトの状態に陥る可能性が高くなります。 またリモートワークで働いているとより落ち込みやすくなり、従業員エクスペリエンスが悪化する恐れがあります。
logging off for the day after sending a single email pic.twitter.com/uCa4u6Rnnc
— Morning Brew ☕️ (@MorningBrew) July 5, 2022
Zendeskのダッシュボードを介してレポートを作成すると、サポートチケットの数、クローズまで要する時間の平均などの重要な メトリックについて明確なインサイトを得ることができます。 チームにサポートリクエストが殺到し、従業員が休む暇もない状況であれば、バーンアウトを防ぐために調整を行う必要があります。
AIを使用して受信したサポートチケットを効率的に処理する
ナレッジベースを作成して、サポート担当者が必要な情報を素早く見つけられるようにする
人と人との関わりを実感しやすいSlackやZoomなどのサポートチャネルを提供して、サポート担当者がチームからサポートを受けられるようにする
キャリアアップの機会の制限
昇給や昇進によって優れたパフォーマンスを評価するのは重要なことですが、そのタイミングを判断するのは難しいこともあります。
Zendeskを使用して分析内容を確認し、パフォーマンスを評価し、昇進や昇給の実行が予算的に妥当かどうかを判断します。
また新入社員を採用する際には、キャリアパスとベンチマークを明示して、社内でキャリアアップするために必要な条件を伝えておくようにします。 そして提示した条件が実際に満たされているかどうかを確認するには、さまざまな指標を使用できます。
従業員のパフォーマンスを把握するには、以下のような指標に注目します。
生産性
解決までの平均時間
顧客満足度
獲得取引数
従業員が目標を達成していないことに気付いた場合は、このデータを使用して組織の課題を把握し、従業員の目標達成をサポートする方法を検討します。
人材を優先した組織運営
従業員の満足度だけを重視していると、本質的な部分を見落とすかもしれません。 従業員がハイブリッドスケジュールで働き、正当な報酬を受け取り、会社の福利厚生が充実している場合でも、仕事に対する不満がなくなるわけではありません。 従業員のエンゲージメントを最優先し、日常業務に対する熱意を引き出し、組織内で意欲を持って職務を果たすように促してください。
チームが成功し、自信を持って日常業務に取り組むためには、適切なツール、リソース、サポートを提供する必要があります。 Zendeskを使用して内部ワークフローをマッピングし、強力なアプリケーションと統合して、本当に価値のあるEXを実現してください。
カスタマーエクスペリエンスを向上させ、斬新な手法で効率的に問題を解決し、顧客ロイヤルティを高めるには、従業員が会社を信頼し、積極的に仕事に取り組める環境を作り出す必要があります。
優れたEXは優れたCXの基盤になります。両方を併せ持つ会社こそが、激動の時代を生き抜き、勝利を収めるでしょう。