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業界別に見る、顧客に寄り添ったカスタマーサービスを実現する方法
今さまざまな業界が、パーソナライゼーションの手法を取り入れて顧客に寄り添ったカスタマーサービスを実現しています。
更新日: 2023年1月5日
新型コロナウイルスの世界的な流行によってリモートワークへの移行が進む中、あらゆる国、地域の企業の元に顧客からの問い合わせが殺到しています。急増するチケット(問い合わせ)を処理するため、多くの企業は新しいソリューションを短期間のうちに導入しなければならなくなりました。医療、金融サービス、ゲーム/オンラインエンターテイメント、小売/製造、テクノロジーなど、あらゆる業界でカスタマーサービスの需要が爆発的に増加する中、各企業はパーソナライズされたサポートを急ピッチで拡張しなければならず、大胆な変革を迫られています。
相手が新規顧客か既存顧客かを問わず、カスタマーサービスでは顧客に寄り添う姿勢が重要となります。実際、効率的かつ丁寧なサポートへの需要は年々高まるばかりです。デジタル中心の新しい世界で企業が特に重視しているのが、顧客が好むコミュニケーション手段でサポートを提供することです。そして今、パーソナライゼーションを実現する手段として注目されているのがメッセージチャネルです。柔軟性と拡張性に優れたデジタルサポートソフトウェアを使えば、企業は、数年あるいは数か月どころか、数日、数時間足らずで大胆な変革を起こし、顧客に寄り添ったサポートを大規模に提供できるようになります。
医療
医療機関(HCP)では特に、普段やり取りしている人々(患者、顧客、医師)の感情や体験に配慮する姿勢が求められます。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、HCPは、信頼できる情報を求めて殺到する患者に対応するため、多くの人に共感を示しつつ間違いのない情報を伝えられるような体制を急速に整える必要が出てきました。そこで多くのHCPが、ウイルスに関する最新情報の発信(ヘルプセンター)、セルフチェック方法の案内、担当者への患者情報の提供(チャットボット)といった用途で各種ツールを駆使して、サポート体制の規模を拡大しました。その結果、医療スタッフは、症状が重くすばやい治療が必要な患者のケアに集中することができました。こうした効果的な対応を実現するには、患者が好むコミュニケーションチャネルを理解することがカギとなります。実際、多くのHCPは、WhatsAppといった人気のサードパーティー製アプリを活用し、スクリーニング検査の順番を決めたり、検査結果を顧客に通知したりしたことで、業務の効率化に成功しています。これは患者にとっても、使い慣れたコミュニケーションチャネルを利用できるうえ、新たな医療サービスが開始された場合にはHCPから案内を受け取れるというメリットがあります。
金融サービス
景気の停滞に伴い、経済状況に不安を抱える人が増える中、金融機関には、市場の変化に適応するためのアドバイス、クレジットカードやローンの支払い延期、クレジットカードのポイントで予約した旅行のキャンセルなど、支援を求めて訪れる顧客が後を絶ちません。この予期せぬ困難に直面している顧客を効果的にサポートするには、顧客の状況をよく理解し共感を示すことが重要となります。担当者が顧客情報(ネットバンキングを最近利用し始めた、口座残高が少なくなっているなど)に簡単にアクセスできれば、顧客1人ひとりの状況に合った方法で優れたサポートを提供できるようになります。また、金融機関ではAIとチャットボットの活用も進んでいます。たとえばボットを使えば、サポートを求めている顧客に対し、顧客データを基に適切なリソースを提示することができます。
ゲーム/オンラインエンターテイメント
顧客の不満の原因を突き止め、それを未然に防ぐことは、顧客に寄り添ったカスタマーサービスを実現するうえで欠かせない要素の一つです。事前に想定できる問題については先回りで情報を開示すると、ユーザーを第一に考えているという姿勢を効果的にアピールできます。たとえば、サーバー過負荷で動画の配信状況が不安定になる可能性があったり、ゲームのアップデートが予定されたりしている場合などは、そうした情報を早めに伝えておけば、ユーザーが不便を被らずに済みます。また、前もってユーザーの問題を解決することで、結果的に問い合わせの数を減らすこともできます。
ゲーム業界で顧客に寄り添ったカスタマーサービスを大規模に提供できる手段の一つが、アプリ内メッセージです。アプリの利用中に適切なタイミングでサポートを提供できれば、問題の解決策をスピーディに提示できるうえ、「困ったときはすぐに助けを求められる」という安心感をユーザーに与えることもできます。さらにユーザーにとっては、サポートを利用するためにわざわざゲームを中断しなくて済むというメリットもあります。
小売/製造
多くの消費者は、購入先の企業を決めるうえで、顧客に寄り添う姿勢が感じられるかどうかという点を重視しています。そこで重要となるのが、顧客の好みや不満について理解を深め、それをサポートに活用することです。これにより、細やかかつ大規模なサポートを提供することが可能になります。顧客の情報を収集、分析すれば、製品ターゲティングやコンテンツ作成も的確に行えるようになり、AIチャットボットが提示する情報の精度も大幅に高められます。特にセンチメント分析は、小売企業のカスタマーサービスにおいて不可欠な取り組みになりつつあります。IDCによると、大手の消費者向け企業の3分の2が、顧客のエンゲージメントと購買行動を促進するため、今後5年以内に感情認識や感情マネジメントの技術を導入すると予測されています。
テクノロジー
この先行き不透明な状況を乗り切るため、業界全体はもちろん社会全体に向けて独自の取り組みを進めているのがテクノロジー企業です。こうした危機的状況でもグローバルに人々がつながってビジネスを進めていくには、テクノロジー企業の存在が不可欠であり、その役割はますます大きくなっています。そうした企業では、たとえばヘルプセンターを活用して、無料で使えるリソースや特別オファーを強調したり、自社の社会貢献活動について情報を発信したりしています。さらに、無料のサービスや割引の適用範囲を広げると同時に、それらを自動で適用できる権限を担当者に与えています。これにはプロセスを効率化できるだけでなく、顧客に寄り添う姿勢をアピールしたり、製品・サービス導入のハードルを下げられるといった効果もあります。
顧客に寄り添ったカスタマーサービスを提供することは、短期的にも長期的にもビジネスの成功につながります。使いやすいメッセージプラットフォームを導入し、顧客が好むコミュニケーションチャネルでパーソナライズされたサポートを届けられれば、顧客ファーストな企業であることが伝わるはずです。パーソナライゼーションと聞くと、何だか複雑そうに聞こえるかもしれませんが、実際にはそんなに難しいプロセスではないのです。
最後に
この記事ではZendeskの見解をお伝えしてきましたが、最新のカスタマーエクスペリエンストレンドレポートでは、世界175か国90,000社に及ぶZendesk導入企業のデータを分析し、調査の結果明らかになったカスタマーエクスペリエンス(CX)の2020年のトレンドを紹介しています。
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