今日、優れたマーケティング手段としてSNSチャネルがもてはやされている中で、いまだに主要なオンラインコミュニケーションツールとして活用されているのがメールです。米国でSNSのアカウントを所有している成人の割合は72%であるのに対し、メールアドレスを所有するインターネットユーザーの割合は90%を超えています。
メールは、顧客が企業への問い合わせに使う主要なチャネルの1つでもあります。Zendeskの調査では、回答者の49%がメールの利用を好み、電話の次に人気の高いチャネルであることがわかっています。
新製品の紹介メール、タイミング良く届く丁寧なサポートメール、機密性の高い内容を含む個人宛てメールなど、毎日やり取りしているメールがどんなものであれ、基本的なエチケットを守れば、パートナー企業や顧客にメッセージへの反応や関心を促せるようになります。
ここでマーケター注目のデータがあります。消費者の60%がブランドからのプロモーションメールに登録すると回答したのに対し、ブランドのSNSをチェックすると答えた消費者の割合は20%にとどまるというデータです。ここからわかるのは、メールによるマーケティングは大変効果的だということです。
しかし、狙いどおりの効果を達成するには、メールが適切に作成されていなければなりません。以下に挙げるエチケットは、あらゆる種類のビジネスメールに欠かせないものですが、既存顧客や見込み客向けのマーケティングやカスタマーサポートに関するメールで特に重要となります。自社を代表して顧客にメールを送る以上、何かミスがあれば、それはブランドイメージの低下につながってしまうからです。
では、具体的にどんなエチケットを押さえておけば良いのでしょうか?以下に、基本的なメールエチケットを11個ご紹介します。
誤字脱字や文法誤りをなくす
わかりやすい件名にする
オプトインした(事前に許可を取った)ユーザーにのみメールを送る
ブランドのガイドラインに沿ったフォントや色を使う
メールサイズに注意する
具体的なCTA(行動喚起)を含める
感嘆符の使用は控えめに
担当者の署名を入れる
第三者がチェックする
配信解除の方法をわかりやすく示す
校正を忘れずに!
1. 誤字脱字や文法誤りをなくす
メッセージに誤字脱字や文法誤りがないと、きちんとした印象が生まれ、内容もわかりやすくなり、さらには読み手への一定の敬意も伝わります。たとえば、「新社会人の皆様」を誤って「新車怪人の皆様」としてしまったら、メールを受け取った人の多くは、混乱したり不快に思ったりするに違いありません。米国の行政職員の事例のように、こうしたミスは決して珍しいものではなく、常に起こり得ることです。さらに、ら抜き言葉やい抜き言葉など、よくある文法誤りもルーズな印象を与えてしまいます。
熟練のライターやエディターでさえも、誤字脱字や文法誤りを完全になくすことは難しいものです。このようなミスがないか、常にチェックを怠らないようにしましょう。
2. わかりやすい件名にする
件名は、受信者が最初に目にするもので、メールを開くかどうかの大きな決め手になります。ポイントは、思わず開封したくなるような件名にすることです。主に何についてのメールなのか、どんな情報が得られるのかを簡単に示しましょう。
たとえば、年に一度の特大セールの案内メールなら、セール期間と割引率を強調して「今週末限り、夏服すべて60%オフ」などと付けます。一方、最新のコンテンツを紹介するメールなら、それによって解決される主な問題を強調して「リフォームの疑問にお答えします」などと付けるとよいでしょう。
件名は、シンプルで目を引くことはもちろん、メールの内容を正確に表していることも重要です。実際の内容と異なれば、メールを開いてもらったところで全部読んでもらえるとは限りません。それどころか、「だまされた」と感じる人も出てきて、信頼を失ってしまう可能性もあります。
3. オプトインした(事前に許可を取った)ユーザーにのみメールを送る
これは、単にエチケットというだけでなく、規制によって定められていることです。ブラックリストに載せられたり、スパムフィルターにブロックされたりすることのないよう、自らメーリングリストに登録したユーザーだけにメールを送信しましょう。頼まれてもいないのにメールを送っても、わざわざ読むに値しない迷惑メールだと見なされるだけです。メールに関するオプトイン規制を順守することは、スパム判定を防ぐだけでなく、メールを効果的に活用するうえでも重要です。
4. ブランドのガイドラインに沿ったフォントや色を使う
メールのテンプレートを作成する時は、社内のブランドガイドをまず確認しましょう。使用するフォントや色は、自社サイトやその他のマーケティングチャネルで使われているものに合わせる必要があります。企業によっては、パートナー企業やチームメンバーに送る内部メールにもルールがある場合もあるでしょう。たとえば、自社サイトのテーマカラーが青緑と紫で、メイリオフォントが使われているにもかかわらず、メールではオレンジと黒が基調で、ヒラギノ角ゴを使っていたら、まったく違うブランドから届いたメールだと見なされてしまいます。一貫したビジュアルブランディングを維持することで、消費者は、マーケティングメール、個人宛てメール、eコマース、ブログなど、あらゆるブランドエクスペリエンスとタッチポイントを結びつけて考えることができます(消費者に限らず、社内でのやり取りについても同じことが言えます)。
5. メールサイズに注意する
インフォグラフィック、動画、eBookといった一般的なコンテンツ形式は、往々にしてファイルサイズが大きくなりがちです。添付ファイルのサイズが大きいと、相手のメールソフトに受信拒否されたり、スパムとして判定されてしまうかもしれません。受信トレイになんとかたどり着いたとしても、読み込みに時間がかかり、メールソフトの処理能力を超えてしまうこともあります。
その場合、ファイルを添付するのではなく、可能ならばメール内にコンテンツを埋め込みましょう。ただし、メール自体のサイズが大きくなりすぎない場合に限ります。サイズが100KBを超える場合は、資料がアップロードされている場所へのリンクを貼りつけるようにします。
ダウンロード可能なマーケティング資料を使って、リードジェネレーション(見込み顧客獲得のための活動)をすることも多いですが、それでも、既存顧客、見込み客、パートナー企業へのメールでは、メールサイズに引き続き注意することが肝心です。セールスチーム、カスタマーサクセスチーム、カスタマーサービスチームにとっては、時に顧客へのサポートで添付ファイルを使えると便利な場面もありますが、むやみにサイズの大きいPDFやJPEGを送って、顧客のメールシステムに負荷をかけることのないよう注意が必要です。
6. 具体的なCTA(行動喚起)を含める
マーケティングメールには、必ず何らかの目的が伴います。メールを読んだ相手にどんなアクションをとってほしいのか、明確にしておきましょう。メールマーケティングでは、購入を直接促す場合もありますが、ブログ記事へのアクセス、ソーシャルメディアのアカウントフォロー、アンケートへの回答など、より控えめなアクションを求めるのが一般的です。送信ボタンを押す前に、読み手に期待する行動を明確にし、その行動につながるCTA(行動喚起)をメールに含めましょう。
7. 感嘆符の使用は控えめに
感嘆符は、メールを明るい雰囲気にしてくれるようにも思えますが、力みすぎという印象につながる場合もあります。たとえば、「メーリングリストにご登録ください!!!!」という件名のマーケティングメールが届いたらどう感じるでしょうか。
一般的に、感嘆符はくだけた印象を与えますが、そのおかげでポジティブな感情をうまく伝えられることもあります。たとえば、年末に送るメールを「良いお年をお迎えください!」の挨拶で締めくくったり、新しい顧客に「これからよろしくお願いします!」とメッセージを送ったりする場合などです。ただし、一度に使うのは1つまでとし、本当に強調すべきところにだけ取り入れるようにしましょう。
8. 担当者の署名を入れる
消費者は、ブランドよりも実際の人間に親しみを感じるものです。そのため、顧客へのメールでも、企業を代表して1人の人間が送っているという点を強調しましょう。メールの署名には、社名だけでなく担当者の名前も含めます。さらに連絡先まで含めれば、受信者が企業に問い合わせたくなった時に、その担当者に直接連絡することができます。
9. 第三者がチェックする
メールマーケティングは、厳密なスケジュールに沿うことが求められ、タイトな日程であることも珍しくありません。しかし、メールのトーンが適切かどうかは抜かりなくチェックする必要があります。と言うのも、話し言葉では問題ない表現でも、書き言葉ではまったく異なる印象を与えることがあるからです。他のメンバーに依頼して、適切なトーンになっているか、内容がわかりやすいか、事前にチェックしてもらうとよいでしょう。
上層部に送る重要度の高いメールの場合も同様です。これまでに挙げたポイントをすべてクリアできたところで、他のメンバーにいったんメールを確認してもらいましょう。これで安心して重要なコミュニケーションに臨めます。
10. 配信解除の方法をわかりやすく示す
マーケティングメールで配信解除の方法をわかりやすく示すことは、ビジネス上のマナーというだけでなく、規制で定められている要件でもあります。メールには必ず配信解除用のリンクを含めましょう。この時、小さすぎて見つけられないようなところに記載してはなりません。受信者が簡単に解除できるようにしなければ、メールソフトにスパムと判定されてしまいます。そうなるよりは、自ら配信を解除してもらった方がよっぽどよいでしょう。配信解除のオプションを提供すれば、望んでいるユーザーにだけメールを届けられるようになり、結果的には、受信者がいずれ自社を利用してくれる可能性も高まります。
11. 校正を忘れずに!
先に述べた注意点に従い、ここのタイトルにだけ感嘆符を使って、特別に注意を引きつけてみました。実際、校正によって多くのブランドが惨事を免れています。メールマーケティングや個人宛てメールでの失態は、おおむね校正を怠ったことにより起きているのです。
最後にこのシンプルな手順をはさむことで、これまでにご紹介したポイントの多くを確実に達成できるようになります。毎回メールを送る前に必ず校正を行えば、誤字脱字や文法誤りがないか、CTAは忘れずに含まれているか、件名が適切かどうかを改めて確認できます。
メールエチケットを守ればブランド認知にも効果大
メールは、見込み客や既存顧客がブランドとのコミュニケーションに用いる主要な手段の1つです。ここに挙げた実証済みのメールエチケットを心がければ、他社に差をつけられるに違いありません。あらゆるメールでこの基本的なエチケットを守っていれば、しっかりした信頼できるブランドというイメージが生まれ、ぜひ利用してみたいと思ってもらえるようになるはずです。