効果的なFAQサイトを整備すれば、顧客は担当者とコミュニケーションを取らなくても速やかに疑問やトラブルを解決できるようになります。顧客向けサイトであれば顧客満足の向上につながり、社内向けサイトであれば業務効率化に有効です。また、カスタマーサポートやヘルプデスクの負担軽減にもなります。
一方で、効果的なFAQサイトの構築ができていない組織は少なくありません。そこで本記事では、効果的なFAQサイトを作る方法を紹介します。FAQサイトの品質向上を課題としている企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
効果的なFAQサイトの重要性
FAQサイトが整備されていると、顧客は疑問点や課題を、FAQサイトを参照して自分で解決できるようになります。FAQサイトが充実していて、顧客がしばしば直面する課題に的確に対応しているほど、FAQサイトの効果は高まり、素早い課題解決の実現に役立ちます。顧客の疑問・トラブルに対処するカスタマーサポートやヘルプデスクでは、人が対応する案件数が減少し、業務負担の軽減にも有効です。
FAQサイトを作成するメリット
FAQサイトを作成するメリットは、次の6点です。
問い合わせ件数の削減
トラブル・疑問点が生じたときに、顧客はまずFAQサイトを参照することで自己解決を図れます。その分カスタマーサポートは、人が対応する必要のある難易度の高い問い合わせへの対処に集中できます。
自己解決力と顧客満足の向上
多くのトラブル・疑問点に対して、顧客がFAQを参照して自分で解決できるようになります。カスタマーサポートにいちいち状況を説明せずに迅速に問題を解決できるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
24時間年中無休のサポートの実現
カスタマーサポートがオフィスにいない夜間や休日でも、FAQを参照して解決できる疑問・トラブルであれば、顧客がWebサイトに自分でアクセスすれば解決可能です。実質的に、FAQサイトが24時間年中無休で顧客をサポートします。
顧客対応の効率化
カスタマーサポート担当者がFAQを引用して回答することにより、より迅速かつ正確に回答が可能になります。別の担当者や他部署への確認作業も不要になり、カスタマーサポートの負担や手間が軽減します。
ナレッジの蓄積や業務の属人化防止
顧客の問い合わせや対応内容に合わせてFAQを整備していけば、顧客対応に役立つナレッジが蓄積します。ナレッジが共有化されると個人の経験・知識で対応する部分が減るため、業務の属人化の防止にも有効です。
SEO(検索エンジン最適化)による顧客利便性の向上
よくある質問とその回答を提供するページを作成することで、顧客が検索エンジンからスムーズに情報を見つけられるようになります。
効果的なFAQサイト構築のための準備
効果的なFAQサイトを構築する前の準備として、まず、FAQサイト構築の目的を明確化し、分かりやすい場所に配置する必要があります。そのうえで、FAQサイトに掲載するコンテンツの選定を進めましょう。以下で詳しく説明します。
FAQサイトを構築する目的を明確にする
はじめに、FAQやナレッジベースを作る目的をはっきりさせましょう。FAQ・ナレッジベースは誰のために作られ、何を達成するためのものなのでしょうか。
目的は、お問い合わせ数を減らすことでしょうか? 顧客満足度を上げることでしょうか? それとも全く別の目的でしょうか?
目的がはっきりしていれば、その目的に沿って効果を測定し、改善をしていくことができるようになります。逆に目的がはっきりしていないと、せっかく作ったFAQが成功しているのかどうかすら分からなくなってしまうかもしれません。まずはゴールを明確にし、関係者全員が共通のゴールを意識できるようにしましょう。FAQサイトへの入り口を分かりやすい場所に配置する
FAQサイトへの入り口は、顧客が何かを調べたいと思ったときにすぐに見つけられる位置に配置します。多くのWebサイトでは、サイトの右上に「ヘルプ」「?」のようなボタンで入り口が作られているので、その場所に設置するのも分かりやすいでしょう。
アプリの場合は三本線のアイコン「≡」で表されるナビゲーションメニュー、「ハンバーガーメニュー」にFAQサイトへのリンクを含むことも効果的です。あまり下の階層を増やすと見つけづらく、顧客の離脱につながってしまうので、ハンバーガーメニューを開いたらすぐに見つかる位置に配置するとよいでしょう。コンテンツを選ぶ
FAQサイトというからには、顧客からよく聞かれる質問、つまり「顧客に共通する問題」に対して答えを提示できるものでなくてはなりません。では、どうやって多くの「顧客に共通する問題」を発見できるのでしょうか。コンテンツ選びのポイントを簡単にまとめました。
1. 顧客からの一般的な質問を収集
カスタマーサポートや営業部門から、頻繁に寄せられる質問を収集します。対応内容をもとに、基本的な回答内容もまとめていきます。
2. 顧客のフィードバックを活用
顧客からのフィードバックを継続的に確認し、新たな質問や問題点が浮上すれば、FAQサイトに追加していきます。逆に製品の変化や更新などに伴って件数が減った問い合わせは、重要度を下げることを検討しましょう。
3. 潜在的な質問を予測
新製品やサービスに対するFAQサイトを作成する際は、顧客視点で考え、どういう質問が来るかを予測します。このときにも、これまで寄せられた一般的な質問・回答が役立つでしょう。
4. 製品やサービスの使用方法に関する説明
製品やサービスの基本的な使用方法、トラブルシューティングを網羅的に盛り込みます。FAQサイトを参照すれば、戸惑わずに利用できる状態にしておきましょう。
5. ポリシーや規定に関する情報
返品ポリシー、配送情報、プライバシーポリシーなど、ビジネスの一般的な規定に関する質問も網羅しておきましょう。これらの情報が不足していると、個別の事象でカスタマーサポートへの問い合わせが増えて、FAQサイトの効果が低下する可能性があります。
6. 競合他社のFAQサイトを参考に
競合他社のFAQサイトを確認し、不足があれば追加を検討しましょう。
なお、Zendeskを使って顧客からの問い合わせを管理しておけば、問い合わせをカテゴリー別に分類し、カテゴリーごとの問い合わせの傾向を把握できます。さらに、問い合わせの数が多いカテゴリーの中身を詳細に見ていくことで、多くの顧客がつまずいている問題が具体的に分かるでしょう。無料トライアルを提供していますので、ぜひ一度お試して下さい。
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コンテンツの整理とカテゴリー分け
FAQサイトに掲載するコンテンツを整理したうえで、カテゴリー分けをしましょう。適切なカテゴリー分けにより、顧客はスムーズに自分が必要とする情報を入手できます。加えて、公開後のデータ分析をもとにコンテンツの再構成を行うことも重要です。
コンテンツを整理する
コンテンツが増えれば増えるほど、情報をどのように整理するかが重要になってきます。顧客が探している情報にいち早くたどり着けるように、最適な記事のカテゴリー、タイトルを設定しましょう。適切なタイトルを設定することは、記事が検索に引っ掛かりやすくなることにもつながります。
また、集めたコンテンツのなかでも「A~C」のように3段階程度の優先順位をつけて、掲載順位や着手する順序の整理に役立てましょう。特に需要の高い記事はピックアップし、目立つ位置に配置すると、多くの顧客の目にとまるためFAQサイトの効果が一段と高まります。顧客の行動に合った分かりやすいカテゴリー分けをする
カテゴリー分けは、顧客の行動に合わせて設定する必要があります。例えば、商品注文の際にラッピングを依頼する方法を知りたい顧客がいるとします。FAQサイトのカテゴリーが「注文方法について」「ラッピングについて」という2つに分かれていると、「注文方法について」の方を見に行ってしまい、目的の情報を見つけられないという事態に陥る可能性があります。
この場合で言えば、「注文方法について」のカテゴリーを排除し、「決済」「商品選択」など顧客の注文時の行動に合わせてカテゴリー分けした方がよいでしょう。カテゴリー分けをするときは、顧客がどのような状況でFAQサイトを見に来るかをしっかり分析して、行動に合わせて決めていく必要があります。データ分析に基づく改善
公開後は、FAQサイトのデータ分析を行い、トラフィックデータや顧客のフィードバックに基づいて、見せ方やコンテンツを再構成していきましょう。顧客の成熟度や市場環境の変化、扱う製品・サービスの変化により、顧客が抱く課題や疑問も変化します。データ分析を継続的に行って、顧客のニーズを的確に捉えてFAQサイトに生かせば、常にFAQサイトを最適な状態に維持できます。
顧客の使いやすさを考慮したFAQサイトデザイン
FAQサイトをうまく活用してもらうためには、アクセシビリティを考慮してFAQサイトのデザインやメニュー表示などを工夫する必要があります。
FAQサイトのデザインを考える
FAQサイト全体のデザインを工夫して、利用しやすいページに仕上げましょう。カテゴリー分けや検索機能を配置し、さらによく読まれる記事をランキング形式で表示するなどして、よりスムーズに顧客が疑問にたどり着ける仕組みを作っておきましょう。試作のFAQサイトはA/Bテストでチェックしながら、デザインを最適化することもひとつの方法です。
なお、一般的に次のようなポイントを考慮すると、質の高いFAQサイトに仕上がります。
シンプルで分かりやすいデザイン
シンプルで直感的なデザインを採用すれば、顧客が戸惑わずにFAQサイトを使用できます。
レスポンシブデザイン
スマートフォン、タブレット、パソコンと、あらゆる端末からスムーズにアクセス・利用できるように設計しましょう。
直感的なナビゲーション
顧客が求める情報に迅速にアクセスできるように、明確で分かりやすいナビゲーションを設定します。例えば、目立つ位置に検索バーを設置する、カテゴリーやトピックを顧客の感覚に合う形で整理するといった対策が有効です。また、それぞれのカテゴリーには適切なタイトルやラベルを付けます。
読みやすいテキスト
テキストは明確で簡潔なものにしましょう。分かりやすい言葉を使用し、必要以上に専門的な言葉は避けます。また、長いテキストはパラグラフや箇条書きに分けることで読みやすくします。
視覚的な要素の使用
テキストだけでなく、図表、スクリーンショット、ビデオなどの視覚的な要素を使用して情報を伝えます。これにより、顧客は情報をより簡単に理解できます。
ニーズの高い記事を目立つに掲載
アクセス数の多い記事や多くのユーザーが抱える問題に解決する記事はピックアップに掲載するかランキング形式で掲載するかなどして、より見つけやすい位置に掲載しましょう。
顧客に合ったFAQを表示する
顧客に合わせて、表示するFAQの記事を最適化する仕組みがあるとよいでしょう。また、ログインやログアウト、顧客情報に応じて表示するFAQを変更することも大切です。過去のFAQ閲覧や問い合わせ実績、顧客なら商品の購入履歴、従業員向けなら部署・担当業務を判断して必要な記事を優先的に表示する仕組みがあると、顧客はスムーズに必要な情報にたどり着けます。
顧客体験を最適化する導線の設計
顧客が快適にFAQサイトで疑問を解決できるようにするためには、顧客体験の最適化が重要です。ページ内検索の設定やお問い合わせフォームへの導線整備などを工夫しましょう。以下で詳しく説明します。
ページ内検索を用意する
顧客がFAQサイトを見ながら疑問点を自己解決できるようにするためにはFAQサイトを充実させる必要がありますが、FAQの数が増えると情報を探すのが難しくなるというデメリットもあります。そこで活用されているのが、ページ内検索機能です。FAQサイトにページ内検索の機能があると目的の情報を探しやすくなり、ユーザービリティが格段に上がります。
ZendeskのFAQサイトのページ内検索問い合わせフォームへの導線を作る
知りたい情報をFAQサイトで見つけられなかったときのために、問い合わせフォームへの分かりやすい導線を作っておくことも必要です。例えば、問い合わせフォームのボタンをサイト上に表示させておくことで、顧客が離脱することを防げます。チャットボットの活用
FAQの内容を表示するために、Webサイト全体やFAQサイト内にチャットボットを設置するのも一案です。顧客がチャットボットに質問をしたり、助けを求めたりすれば、質問内容に見合った記事や対応フォームなどを表示できます。チャットボット内での解決が困難であると判断されれば、カスタマーサポートへの問い合わせへとスムーズな誘導も可能です。
アクセス数の増加と効果の測定、改善
FAQサイトをリリースしたあとは、より多くの顧客に利用するためにアクセス数を増加させ、実際の利用状況や効果測定をして、FAQサイトの改善に役立てましょう。下記にアクセス数を増加させるための手法と、分析のポイントをご紹介します。
アクセス数を増やす
せっかく作ったFAQやナレッジベースもターゲットとなる人に見てもらわなくては意味がありません。FAQサイトを利用してもらうためには、積極的にアクセス数を増やす必要があります。ここではアクセス数の増加に貢献するいくつかの方法を紹介します。
SEO
「サービス名 注文方法」「サービス名 キャンセル」など、ユーザーが検索するキーワードを調査して、キーワードに対応する記事を作成しましょう。記事内の見出しや本文にキーワードが盛り込まれていれば、YahooやGoogleなどの検索エンジンで表示されやすくなります。キーワード調査にはGoogleサーチコンソールかSEOツール使いましょう。メルマガ配信
FAQサイトを公開した際や重要な記事を作成した際は、メルマガで配信してFAQサイトの存在を顧客に周知しましょう。プレスリリース
FAQサイトの認知を高めるためにプレスリリースを配信することも、アクセス数を集める手法の1つです。その際は、AIやチャットボットの導入といった目を引く特徴を盛り込み、メディアに情報を提供しましょう。内部リンク
自社のWebサイトやブログからFAQサイトへのリンクを設置し、ユーザーがスムーズにFAQサイトを見つけて移動できるような導線を設計しましょう。アクセス解析を行う
FAQサイトにアクセスがある程度溜まったら、顧客はどこを経由してFAQサイトにアクセスしているのか、どのページや内容が最も読まれているのかを分析し、FAQサイトの全体的なパフォーマンスを評価しましょう。Google Analyticsといったツールを活用することで、詳細なトラフィックデータを取得できます。
また、次のようなデータを分析してコンテンツのパフォーマンスも評価しましょう。・FAQ記事の閲覧数
・滞在時間
・直帰率 などこれにより、顧客が最も関心を持つトピックや、改善が必要なエリアを特定できます。
Google Analytics以外にも分析機能が充実しているFAQシステムを使っていれば、解決率やサイト内検索のデータ、記事のクリック率など、FAQサイトに固有の指標を分析することもできます。
ZendeskのFAQ分析レポートのサンプル
FAQサイトの分析について、詳しくは下記記事をご覧ください。
問い合わせ削減の鍵になるFAQの分析&改善ポイント
改善活動を行う
FAQサイトのアクセス解析を行い、得たインサイトをもとにFAQサイトの改善を行っていきましょう。FAQサイトの改善は1回限りのプロセスではなく、よりユーザーに使ってもらい成果を高めるための定期的に実施することがおすすめです。具体的な改善アクションは以下のとおりです。
コンテンツの最適化
トラフィックの多い記事に追加情報を提供したり、ユーザーの検索キーワードに対応する記事を作成しましょう。FAQ記事ごとの顧客からフィードバックを得ている場合は、アクセス数が多いにもかかわらず顧客の満足度が低い記事は優先的に取り組む必要があります。コンテンツを修正後は、ある程度の期間を区切り修正前後のパフォーマンスを比較し、改善につながったかを測定します。導線の改善
FAQサイトへの流入元を確認し、SEOやメルマガなどが実際に効果をもたらしているかを評価し、必要に応じて戦略を見直し、さらなるトラフィック増加とエンゲージメント向上に努めます。デザインや構成の修正
ユーザーがFAQサイト内でどのように動いているかを分析し、ナビゲーションやデザインの改良に取り組みましょう。実際のアクセスデータにもとづき、カテゴリーやおすすめ記事を柔軟に変更し、よりユーザーが使いやすいFAQサイトにしていきます。これらの改善活動により、FAQサイトは常に最新の状態を保ち、顧客に対するサポートを最適化することができます。FAQサイトのパフォーマンスを持続的に高めるためには、定期的な分析と、それに基づいた敏速な改善が不可欠です。そして、このプロセスを通じて、より多くの顧客の真のニーズに応えることができ、FAQサイトの役割を最大限に発揮させましょう。
実践的なツールと事例
顧客の自己解決力を向上させる効果的なFAQサイトを整備するなら、Zendeskがおすすめです。
効果的なFAQサイトを作るためのツール
簡単なFAQサイトの作成・管理ツールならば、自社で開発してもそれほど大がかりにはなりません。しかし、データが大量に蓄積されてからの管理やカスタマイズを考えると、Zendeskのような専用ツールを導入するのもひとつの方法です。
Zendeskなら、顧客情報や問い合わせ管理と連動して簡単に効果的なFAQサイトを作成できます。テーマやカテゴリーなどは柔軟にカスタマイズ可能で、担当者による記事更新もスムーズです。常に最新の情報をFAQサイトに掲載し、顧客の課題解決をサポートします。分析機能も充実しており、リアルタイムにFAQサイトの分析データを閲覧できます。
Zendeskを使ったFAQサイトの事例|佐賀銀行
佐賀銀行ではZendeskを活用してFAQサイトを導入し、コールセンターへの電話件数を導入前年比で毎月平均15%程度減少させ、顧客にとって便利で快適なデジタルサービスの拡充を実現しました。
コロナ禍にあった2021年に、ウィズコロナの新しい生活様式に対応するためにDXを実行することに。その際の重要な取り組みのひとつが、FAQサイトを活用した自己解決力の向上やコールセンター・営業店でのエスカレーションの削減でした。
ホームページ運営を委託している企業からの紹介でZendeskを知った同行でしたが、運用のイメージが明確化できたこと、管理画面が使いやすいこと、クラウド型でであることや豊富な機能を評価して、Zendeskを導入しました。
【Zendesk導入事例】
株式会社佐賀銀行
効果的なFAQサイトを活用して業務をさらに効率化しよう
FAQサイトを整備して、顧客が必要とする情報にスムーズにたどり着ける仕組みを構築すれば、導入効果は一段と高まります。ぜひ今回の記事を参考に、顧客に役立ち、カスタマーサポートやヘルプデスクの業務効率化に役立つFAQサイトを作成してみてください。
また、FAQは一度導入して完結するものではありません。効果測定で継続的にデザインやコンテンツを改善するとともに、状況の変化に応じて適宜情報をアップデートすることも大切です。FAQサイトを公開したのちは、継続的に分析と改善活動に取り組み、より効果を発揮するFAQサイトにしていきましょう。