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デジタルへの転換期に、ITリーダーがCXで備えておきたいこと
各企業がCXテクノロジーへの投資を拡大する中、CXをさらに強化できる特異な立場にあるのがITリーダーです。
更新日: 2024年2月22日
2020年は、まるでジェットコースターに乗っているかのような激動の一年であり、カスタマーエクスペリエンス(CX)の在り方もすっかり変化しました。
デジタルファーストの世界への移行を加速させる要因となったのは、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックでした。増大し続ける顧客のニーズに対応するため、企業が速やかにテクノロジーの導入に勤しむ中、顧客ファーストのビジネスが直面する新たな課題の解決役として、ITリーダーへの注目が高まっています。
新たな運用方法や顧客とのコミュニケーション手段に対応できるよう、企業がCXテクノロジーへの投資を拡大する中、スピードとアジリティを軸にデジタル化を促進することで、CXをさらに強化できる特異な立場にあるのがITリーダーです。数年がかりで推進するつもりだったデジタル化計画のことはもう忘れてください。CXの世界には既に大きな変化が生まれる転換期が訪れています。今こそ動き出すときであり、さもなければ後れを取ってしまう可能性があります。
テクノロジーとCXの戦略をひとまとめにして考える
「Zendeskカスタマーエクスペリエンストレンドレポート2021」によると、この一年で企業の働き方は劇的に変化しました。
中規模企業では88%、大企業では91%のテクノロジーに関する意思決定者が、「パンデミックによってデジタル化が進んだ」と回答
中規模企業の56%、大企業の59%がリモートチームを組織
中~大企業の98%が新しいツールやプロセスを実装
企業は、顧客の新たな期待やリモート中心の勤務体制に対応するため、デジタルテクノロジーを軸にした組織再編に取り組んでいます。テクノロジーに関する意思決定者の3分の2が、デジタルテクノロジーへの投資は収益増加につながると見込んでいます。
テクノロジーとCXの戦略は、もはや切り離して考えるものではありません。今日のITリーダーは、社内チームが実践している顧客向けの取り組みを踏まえたうえで、社内全体で利用するインフラストラクチャーを構築しなければなりません。
世界中の企業の半数以上が、来年度のCXテクノロジーへの投資額は増えると予想
世界中の企業の半数以上が、来年度のCXテクノロジーへの投資額は増えると予想しています。そして、この流れを後押しできるのがITリーダーです。
Zendeskの調査によると、企業のCX部門は、新しいサポートチャネルの追加、顧客のニーズへの対応、リモートチームの管理といった項目への投資を強めています。
以下では、世界175か国90,000社を対象とした、CXテクノロジーへの投資に関する調査結果に基づき、デジタル戦略を計画すべきITリーダーが「ネクストノーマル」に向けて押さえておきたい重要なポイントをまとめました。.
投資すべき分野を理解する
投資分野01:顧客とオンラインでつながるための新しい手段
企業とオンラインでやり取りすることは、既に「ニューノーマル」として定着しています。企業は、対面の場合と同等またはそれ以上の品質のエクスペリエンスを、デジタルベースでも提供する必要があります。そのためには、効率的でパーソナライズされたサポートを提供できるよう、サポート担当者がすぐに顧客データにアクセスできなければなりません。
しかし、データアクセスは依然として根強い課題であり、現状では、サポート担当者の半数以上が重要な顧客データにアクセスできていません。
サポート担当者の半数以上が重要な顧客データにアクセスできていない
KPMGがCIOを対象に実施したアンケートによると、CIOの91%が、顧客データの整理・利用方法は、自社が提供する製品やサービスと同じくらい重要だと回答しています。CIOやその他のITリーダーは、部門間の連携の妨げとなっているモノリシックなシステムの代わりに、オープンで柔軟なシステムの導入を後押しすることで、部門をまたいでもデータの整合性を確保できるようになります。
<pデータのサイロ化を解消できれば、複数のチャネル、システム、ソフトウェアのデータを1つにまとめて、顧客の全体像を把握できるようになります。サポート担当者は、システムを切り替えなくてもカスタマージャーニーを包括的に把握でき、顧客1人ひとりの状況を踏まえたサポートが可能になります。さらに、1か所から複数のツールのデータにアクセスできれば効率も上がり、時間のかかりがちなデータ取得のプロセスもワンクリックで済むようになります。平均的に見て、優れた業績を上げている中規模企業は、他の企業と比べて管理している顧客データの量が40%多く、大企業の場合も35%多い結果になっています。このことから、サポート担当者の効率性が高いほど、CXをパーソナライズできることがわかります。
そして、管理するデータの量が増えれば、情報セキュリティも重要となってきます。現にセキュリティ管理は、2021年も引き続き、テクノロジーに関する意思決定者にとっての優先事項の1つです。
投資分野02:アジリティに優れたテクノロジー
CXリーダーたちが、2020年の最大の課題にして今後の最優先事項と位置づけているのが、変化する顧客のニーズにすばやく対応する能力です。
アジリティに優れたテクノロジーを使うと、複雑でコストのかかるプロセスを省いて、シームレスに調整を加えることができます。こうしたテクノロジーは従来から重要視されてはいましたが、不確実性が増している今、ついにはビジネス戦略の中心に据えられるようになりました。そして、ここでも重要な役割を果たすのがITリーダーです。社内全体を見渡せる立場にあり、テクノロジーに関する造詣も深いITリーダーなら、社内全体にアジリティの考え方を根付かせることができます。
機敏性に優れたコンポーザブルアーキテクチャーを利用してインフラストラクチャーを構築することで、業績の優れた企業は、システム全体にわたるトレンドを特定して顧客のニーズを把握し、そうしたインサイトに基づいて運用を最適化しています。2021年のCIOの現状に関するIDGの調査では、CIOの37%が、今年の優先課題の1つとして顧客のニーズと行動の分析を挙げています。
CIOの37%が顧客のニーズと行動の分析を優先課題に設定
機動性の高いクラウドベースのアーキテクチャーを構築すれば、チームは手間なくデータにアクセスできるため、データの分析、活用に集中できるようになります。
投資分野03:リモートチームの管理
リモート体制のチームを管理するようになってから、CXリーダーは、顧客だけでなくサポート担当者の労力削減にも力を注いでいます。
ご存知のとおり、クラウドベースのシステムなら、データセンターを構築、管理していなくても、従業員がどこからでも作業を行えるようになります。しかし、これは最低限達成していなければならないことです。企業が従業員エクスペリエンス(EX)に関するテクノロジーへの投資を拡大する中、ITバイヤーの70%は、従業員のエンゲージメント向上に役立つ新たな方法への投資も始めていると回答しています。
とりわけ、テクノロジーに関する意思決定者の3分の1が、ビジネスプロセスの自動化と社内のサポートチケット(問い合わせ)管理への投資強化を計画しており、投資額をおよそ2倍に引き上げる予定です。社内サポートにおける自動化の活用をぜひとも推し進めたいのであれば、それによっていかにチームの業務が効率化されるのかを強調するとよいでしょう。たとえば、ヘルプセンターの記事を勧めてくれるAIボットを導入すれば、サポート担当者も、彼らを支援する従業員も、効率良く業務を進めることができます。
デジタル化の促進
事業の拡大と顧客サービスの改善を目指し、多くの企業がデジタルツールの導入を急速に進めています。利用ガイドでは、技術オプションやその具体的な活用例を詳しく解説しています。