世界トップレベルのカスタマーエクスペリエンスを提供することは、時代背景や経済状況にかかわらず難しいことです。リーダーはサービスのベストプラクティスと顧客の期待を常に念頭に置きながら、競争力を維持する必要があります。
Zendeskは、カスタマーサービスに携わる世界の意思決定者およそ5,000人を対象に調査を実施し、その結果をCX成熟度調査レポート2022年版にまとめることで、最新のCXリーダーの動向を明らかにしました。 本レポートでは、CX組織をその成熟度別に 「スターター」「エマージャー」「ライザー」「CXチャンピオン」の4つに分類し、豊富なインサイトとともに今後のアクションプランを解説しています。
この記事で紹介するのは、KPIはほぼ最高水準に達しているがCXチャンピオンまではあと一歩という位置付けの「ライザー」企業です。
ライザー企業が順調な道筋を歩んでいることは明らかです。しかし成功の裏側に多くの課題が隠されていることも、また事実です。 創業間もない企業とは異なり、ライザー企業は既に従来型のツールやワークフローを備えています。したがってリーダーがこの状況を一新してよりパーソナライズされたCXを実現したいと考えた場合、データサイロの解消、プロセスの合理化、顧客データの統合といった課題が浮上し、変更に慎重にならざるを得ません。
難しい かもしれません。 でも不可能では ないはず。 ここでは、ライザー企業が共通して抱える課題と、それらを乗り越えてCXチャンピオンになるための方法を解説しましょう。
トップまであと一歩
ライザー企業の多くは、AIやチャットボットを活用してさらに効率化を図り、顧客の背景情報を各インタラクションに反映させることでもっとサービスを改善して収益を向上させるにはどうしたらよいかを真剣に模索しています。 このレベルの企業であれば、サービス組織が事業全体にもたらす価値をすでに認識しているはずです。 また自社の顧客層の特徴や、さまざまなデバイスを使い分けて企業にコンタクトするという顧客の傾向についても、十分に理解していることでしょう。
そうであっても、多くのライザー企業は次のような課題を抱えています。
対話型のサービスを提供するために必要なリソースをサポートチームが備えておらず、対応に追われやすい
パフォーマンス指標やカスタマージャーニーをリアルタイムで完全に追跡できていない
人による対応とAIや自動化のベストバランスの見極めができていない
データが複数のシステムやアプリに散在しているため、顧客の全体像を把握することが難しい
能動的におすすめ商品を提案してもなかなか売り上げにつながらない
サポートチームの人材確保と維持が難しい
CXチャンピオンを目指すには
ライザーとCXチャンピオンの差は僅かです。カスタマーエクスペリエンスで差別化を図り、競合他社から市場シェアを奪えるチャンスは十分にあります。 ここでは、ライザー企業がサービスを向上させることで業界のライバルから一歩抜きん出る方法をご紹介しましょう。
顧客のサポート:
- 重要なタッチポイントで自動化を導入する: ノーコードボット(プログラミング不要なボット)で質問にすばやく回答し、顧客の待ち時間を減らしましょう。これにより、サポートチームは優先度の高いチケットへの対応に専念できます。
- 業務をスマートに遂行する: テクノロジーは頼れる味方です。 AIやアプリを統合すれば、ワークフローが改善され、効率と生産性が向上します。
- 顧客体験を最適化する: AIを搭載したツールがあれば、ヘルプセンターのコンテンツの改善点を特定できるほか、サポート担当者に完全な背景情報と履歴を提供し、よりパーソナライズされたサービスを実現できます。
エージェントのサポート:
- 顧客の行動を先読みしてアプローチする: パフォーマンスKPIを収益向上と連動させ、サポートスタッフにインセンティブを与えましょう。 自動化されたボットがあれば、これを実現できます。ボットが能動的に商品をお勧めしてくれるため、スタッフはより人間の手が必要な対応に注力できます。
- 量より質を優先する: 業界最高のアプリを厳選して採用し、顧客データを統合型のワークスペースで包括的に把握できるようにしましょう。 最新APIに対応していないツールを排除し、あらゆる質問に一つの画面上で対応できるようにします。
- 従業員満足度を高める: サポートチームのトレーニングやインセンティブ制度に投資し、スタッフ一人ひとりの仕事の満足度を高め、生産性を向上させましょう。 効率化とコラボレーションを促進するツールを導入すれば、サポートチームはより時間を有効活用できるようになります。
オペレーションの効率化:
- アジャイルなシステムとプロセスを採用する: 顧客に関する情報資産を組織全体で活用できるようなサポートシステムを導入し、データを分散させないようにしましょう。中でも営業チームが顧客情報を十分参照できることが重要です。 大きな問題や苦情を抱えている顧客に(その問題を解決させないまま)新たな商品を売り込むような、ありがちな失敗を避けられるからです。
- データに基づく最適化: 顧客のデータとフィードバックを活用すれば、カスタマーエクスペリエンスを顧客の目線で理解できます。 チャネルをまたいで顧客とのインタラクションを監視できるアプリや、リアルタイムレポートを作成できるアプリがあれば、改善すべき点を容易に特定できます。
多くのリーダーがコスト削減と業績向上を同時に求められる今日、企業の悩みは尽きません。ただし、すべての課題には解決策が存在し、そこにこそ成長のチャンスがあります。 困難な時代と共に成長するためのカギとなるのは、自動化と人的対応のベストバランスです。この課題を克服できれば、サポートチームの役割が進化し、業界で一歩先を行く企業として新たな地位を確立できるでしょう。
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