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カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上に欠かせない指標、そして調査結果の可視化と分析、改善策

顧客に自社を選択してもらううえで重要となるのがカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上。しかし実現のためには知っておきたい内容が多くあります。カスタマーエクスペリエンスを計測する指標の種類、調査の進め方、分析結果の活用方法などについてお伝えします。

更新日: 2024年1月30日

現在、多くの業種で市場が成熟化し、商品のコモディティ化が進んでいます。そのため、「商品の質やデザインがよい」「接客態度がよい」といったどれかひとつの魅力だけで、競合と差別化を図るのは難しくなっています。

そこで重要となるのがカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上です。しかしその実現のためには、正しい指標で顧客の現状を計測し、その調査結果を可視化・分析し、改善施策を実行しなくてはなりません。

それには、どうすればよいのでしょうか。カスタマーエクスペリエンスを計測する指標の種類、調査の進め方、分析結果の活用方法などについてお伝えします。

カスタマーエクスペリエンスの計測、可視化の重要性

カスタマーエクスペリエンスを日本語に訳すと「顧客体験」です。昨今、インターネットの進化もあり、企顧客は、従来の実店舗だけでなく、Webサイトや広告、SNSなどさまざまな場所で企業との接点を持てるようになりました。

企業にとっては、顧客との接点が増えるとそれだけ多くのデータが入手できます。しかし、一方で顧客体験を計測し、数値化するのは大きな手間がかかるものです。従来の顧客満足度(CS)は接客態度や商品品質など全体の一部分だけでの満足度をみるものでした。しかしカスタマーエクスペリエンスは、企業と顧客の接点すべてを対象に顧客体験の満足度をみます。

ただし接客態度や商品品質など部門や部署をまたがった場合、満足度を計測する指標はそれぞれに異なります。さらに、計測結果を統合し満足度を判断したり施策を策定したりするのも簡単ではありません。

この手間を極力排し、効率的かつカスタマーエクスペリエンス向上の精度を高めるには、具体的に何を知りたいのか、そのためには何を計測すべきかを事前に明確にし、そのうえでの計画立案と実行が重要となるのです。

カスタマーエクスペリエンスを計測する指標の種類

では、実際にカスタマーエクスペリエンスを計測する指標にはどういったものがあるのでしょう。主なものを簡単に紹介します。

  • 顧客満足度(CS)

顧客満足度を計測すれば、自社の現状を把握でき、問題点を洗い出せるでしょうか。計測方法は、何を知りたいかによって異なりますが、ネット、郵送、電話、座談会形式などでアンケートをとる方式が多く使われています。

  • NPS(ネット・プロモーター・スコア)

NPSとは、自社の商品、サービスを利用した顧客の満足度をみるだけではなく、その商品、サービスを家族や友人に推奨したいかどうかを計測するものです。数値は商品、サービスを家族や友人にすすめたいかを0~10の11段階で評価してもらい、9、10をつけた人の割合から、0~6をつけた人の割合を引いて算出します。

  • SNS分析

TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSで発信される自社や自社の商品、サービスに関する声を集め、分析する方法です。無料もしくは有料で利用できる専用ツールを使う方法もありますが、多くのSNSには無料で利用できる簡単な分析ツールがあるのでそれを利用してもよいでしょう。

  • eNPS(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)

従業員がどれくらい自社に対して愛着を持っているか、信頼しているかを示す数値です。NPSが顧客向けなら、eNPSはNPSを従業員用にアレンジしたものといえます。従業員が満足して働ける環境は、業務効率化、商品、サービス品質の向上につながり、それが結果として、顧客体験の向上を実現するでしょう。

  • アクセス解析

ネットショップや自社のWebサイトに訪問したユーザーの行動を調査する方法です。Googleが提供しているGoogleアナリティクスを活用すれば、無料でさまざまな情報を閲覧できます。
重視する指標には、訪問客のなかで資料請求や商品購入など一定の成果をあげたユーザーの割合をみる「コンバージョン率」や資料や商品の請求・購入ボタンを押したにもかかわらず、その先へ進まずに離脱してしまう「カゴ落ち率」などがあります。

  • 平均解決時間

カスタマーサポートに寄せられる問い合わせで、1件を解決するまでにかかる時間の平均値をみる方法です。当然ながら解決までの時間が短いほど顧客満足度は高くなり、カスタマーエクスペリエンスの向上につながります。
解決時間を短縮するカギは、「問い合わせ管理が可能なシステムの導入」「社内ナレッジの集約」「他部署とのスムーズな連携」などです。

  • LTV(ライフ・タイム・バリュー)

一人の顧客が商品やサービスの購入において、生涯でどれぐらいの額を使うかをみる方法で、日本語では顧客生涯価値と訳されます。主に日常的に購入する日用品を扱っている企業、飲食店などで効果を発揮する指標です。詳しいLTVの計算方法、施策に関しては下記の記事を参照ください。

LTV(Life Time Value: 顧客生涯価値)とは?意味・分析・計算方法・施策を解説

また、カスタマ―サポートの指標についてより詳しく知りたいかたは下記の記事を参照ください。

カスタマーサポートに重要な7つの指標(KPI)

ZendeskならCXに関する指標を瞬時に分析可能

カスタマーエクスペリエンス調査の進め方、調査や分析の活用例、カスタマーサポートの充実

カスタマーエクスペリエンス調査は、どのように進めるのでしょう。調査から得た結果を活用して、カスタマーエクスペリエンス向上につなげる施策とともにお伝えします。

  • カスタマーエクスペリエンス調査の進め方

どの指標を採用するかによっても異なりますが、どの調査であっても、次の流れで進めていきます。

  • 仮説を立てる

  • 仮説を基に最適な調査方法もしくはアンケートの設問を決定する

  • 調査を行い、結果を分析する

  • 分析結果から課題点を見出し、改善する

  • 課題点が改善されているかどうかを調べるために調査を実施する

  • 調査および分析方法と分析結果の活用例

前述した顧客満足度をもとに調査と分析の例を見ていきましょう。これを用いると、自社の顧客が商品、サービスのどの点に満足していて、どの点に不満を持っているかが可視化できます。

たとえば、ある顧客が商品を購入したものの使い方にわからない点があり、カスタマーサポートに問い合わせたとしましょう。その顧客の満足度を調査する際は、「カスタマーサポートと接して感じた満足度」といった項目を「数値で選ぶもの」「自由回答」といった形で盛り込みます。

もしそこで顧客の満足度が高かったら、「カスタマーサポートのどんな対応が満足度を高めたのか」を自由回答から洗い出し、その部分がより強化されるよう施策を立てます。たとえば、「しっかり話を聴いてくれたから」という理由だったら、カスタマーサポート側で「顧客に寄り添って話をじっくり聴く」点を強化します。

対して満足度が低かったら、「どの点が期待に添わなかったのか」を絞り、改善策を講じるのです。たとえば、「一方的に確認や指示をされてこちらの不満を聴いてもらえなかった」という理由だったら、カスタマーサポート側で「確認や指示を出すタイミングを見直す」「顧客の話を聴く点を優先」といったように改善します。

このように調査から内容を分析すると、「どの点がよいのか、伸ばせばよいのか」「どの点に改善が必要なのか」が分かり、それがカスタマーエクスペリエンス向上につながるのです。

カスタマーエクスペリエンス向上の要となるカスタマーサポート

カスタマーエクスペリエンス向上を目指していくうえで、カスタマーサポートが果たす役割は少なくありません。一般的にどんなに優れた商品であっても、一定数の顧客は企業に対して問い合わせを行います。その際、回答が遅い、さまざまな部署にたらい回しにするなど、適切な対応ができなければ、顧客は不満を抱き、ブランドから離れてしまうでしょう。

逆に適切な対応を行い、良質な体験を提供できれば、顧客と企業のつながりはより一層、強くなるのです。調査や分析をカスタマーサポートという視点から整えて結果をまとめれば、より一層のカスタマーエクスペリエンスの向上が見込めるでしょう。

しかし、カスタマーサポートを充実させるにはどうしたらよいのでしょうか。その施策の例を2つご紹介します。

  • オムニチャネルなカスタマーサポートの導入

Loudhouse社の調査結果をもとにZendeskがまとめた“マルチチャネル”での問い合わせ対応調査レポートによると、調査対象ユーザーのうちの89%が「問い合わせに使用するチャネルを自由に選びたい」と回答しています。そのため、電話やメール、チャット、SNS、実店舗などさまざまなチャネルを用意しておくことがカスタマーサポートの充実には欠かせません。

また、顧客は必ず同じチャネルから接触してくるとは限りません。ここで重要となるのが、前回とは異なるチャネルから接触してきたとしても、前回の問い合わせ内容を引き継げるようにすることです。顧客に同じ説明を繰り返させたり、スタッフによって対応が異なったりすれば、顧客の不満がたまってしまいます。

そこでZendeskといったカスタマーサポートソフトウェアを導入して、チャネルを超えても一貫したカスタマーサポートを提供し、顧客体験を向上させるようにします。

Zendeskなら様々なチャネルからの問い合わせを1つの画面から対応可能(Zendeskの問い合わせ管理機能

  • 情報共有や部署間の連携

顧客からの問い合わせ内容は多岐に渡ります。そのなかでも商品説明、クレーム対応など、頻繁に問い合わせを受ける内容に関しては、スタッフ間で情報共有が必須です。なぜなら、解決までに無駄な時間を要したり、スタッフによって回答が異なり、顧客への不満を招いたりといった結果につながりやすくなるからです。

ただ、部署間の連携は簡単ではありません。そこでこれを実現させるには、カスタマーサポートと関連部署との顧客情報や要望の連携を支援するツールの導入がおすすめです。

ツールを活用し、問い合わせに関する社内用ナレッジをまとめておけば、いつでも誰でも閲覧でき、回答の一貫性も保て、業務の効率化にもつながります。

ツールは、メンバー間で問い合わせを引き継いだり顧客とのやりとりを確認できたりするようなものがよいでしょう。これにより、カスタマーサポートのスタッフ間だけでなく他部署との連携がスムーズになります。

Zendeskなら社内のノウハウを蓄積・共有するためのナレッジベースを簡単に作成可能(Zendeskのナレッジベース作成機能

カスタマーサポートの充実がカスタマーエクスペリエンスの向上を実現する

顧客に数ある競合から自社を選択してもらうには、商品の質、デザイン、価格などの充実とサービスの質の向上が欠かせません。しかしそれは、企業目線ではなく、顧客が求めるサービスを顧客が求めるタイミングで提供する顧客目線が必要で、これを実現するポイントとなるのがカスタマーエクスペリエンスの調査なのです。
ただし、カスタマーエクスペリエンスは全部署を横断しての調査となるため、事前に最適な指標を基にした計画を立てなくてはなりません。そのうえで調査結果を分析し、改善を進めていきます。

さらに重要なポイントは、顧客と直接やりとりをするカスタマーサポートの充実です。営業部や実店舗など、企業には顧客と接触する部署はほかにもあります。

しかしそのなかでもカスタマーサポートは、自社の商品に対し不満を持った顧客とかかわることが多いという意味で非常に大きな役割を果たすのです。

チャネルを超えてもサポートの体制はオムニチャネルとして一貫させ、情報共有や他部署との連携を密にし、迅速な対応を実現させる、これが、カスタマーエクスペリエンス向上に大きく貢献するでしょう。

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