いま最高水準のサービスを提供できている組織であっても、業界でのランク付けは常に変わる可能性があります。CXリーダーとしての地位を維持し、さらに改善を続けるにはどうすればよいでしょうか?
ZendeskのCX成熟度調査レポート2022年版は、その問いに答えを出します。このレポートは、組織をCX成熟度に応じて「スターター」「エマージャー」「ライザー」「CXチャンピオン」に分類しています。 それぞれのCXレベルの組織に強みと弱みがあり、将来に向けてチームを成功に導くために組織が知るべきヒントがあります。
本記事では、CXチャンピオン企業を取り上げます。 CXチャンピオンは、規模を拡大し重要なマイルストーンを達成するためのソリューションへの戦略的な投資をすでに進めていますが、パフォーマンス面ではライザーとの距離が急速に縮まりつつあるのが現状です。 今年の調査結果では、昨年に比べCXチャンピオンの問題解決時間が伸びており、初回解決チケット数も減っていることが明らかになりました。これは顧客に「サービスが遅い」「対応が的を射ていない」という印象を与えていることになります。 まずはリアルタイムレポートを活用し、解決しやすい問題を特定しましょう。チケット削減にじっくり取り組むなら、今がチャンスです。
CXのトップであり続けるために: 脆弱性のある領域を特定する
トップレベルの成熟度を誇るCXチャンピオンは、サービス組織がビジネスにもたらす大きな価値をすでに理解しています。 CXチャンピオンは、主要なアプリケーションとサポートシステムをつなぎ、社内全体で顧客データを有効活用しています。
しかし、成熟度がトップレベルの企業であっても改善の余地があることは、 CXチャンピオンが直面している以下の課題を見ても明らかです。
人による対応とボットのバランスは概ね良好で、顧客の体験はすべてのタッチポイントで合理化されているが、まだきめ細かな調整が必要
チームのパフォーマンスとカスタマージャーニーに関する指標を、定期的に経営幹部とレビューできていない
旧式のツールや複数アプリ間のデータの断片化の問題がまだ残っている
ツールやトレーニングを通じてパフォーマンス指標をもっと改善させる必要がある
収集したデータと特定のインタラクションを関連付け、KPIを達成することは概ね可能だが、パフォーマンス指標が低下している
サポートチームの人材確保と維持が難しい
ライザーに差をつけるには
「現状に満足できない」という志の高いCXチャンピオンも、多いに違いありません。 競合他社に市場シェアを奪われてしまう前にできることは、まだたくさんあります。特に今日のような経済環境では、できる限り少ない投資で多くの成果を達成することが求められます。課題の克服はそのためにも不可欠です。
顧客のサポート:
- AIと機械学習ツールを最大限に活用する: 自動化されたボットとのやり取りを通じて、顧客に能動的におすすめ商品を提案しましょう。
- 顧客をつねに適切な場所に誘導する: 機械学習やAIを利用すれば、機密情報が含まれるやり取りやチャットボットから友人に切り替えるべきかどうかなどを即座に判断できるため、常に適切なレベルのサービスを提供できます。
- 優れたツールでチームを支援する: セルフサービス型サポート、ノーコードボット(プログラミング不要なボット)、アプリ統合、レポート作成機能を活用して効率を高め、より優れたサポート体制を構築しましょう。
- 顧客との関係を強化する: 過去のやり取りや取引履歴といった重要な背景情報を参照することで、顧客一人ひとりの好みや状況に応じたパーソナルな体験を提供できます。 メッセージ内で完結できる決済システムなどの便利な機能を検討し、顧客のニーズを先読みしたインタラクティブな選択肢を増やしましょう。
サポート担当者を支援:
- AIでチームの負担を軽減: 機械学習を利用すれば、サポート担当者に自動で背景情報を表示したり、次にとるべきアクションを推奨することができます。
- 量より質を優先する: 最適なアプリを厳選して導入し、エージェントワークスペースに統合された包括的な顧客データを参照できるようにしましょう。 これにより、顧客情報の確認やサービスの最適化のために複数システムを行き来する必要がなくなり、つねに1つの画面で対応を完結できます。
- 散在するデータを一元化する: 統合機能を備えた、使いやすく柔軟なプラットフォームに投資しましょう。これにより情報に基づくデータ駆動型の意思決定を促進できるため、新規顧客の獲得数とロイヤルティが向上し、収益を高めることができます。
オペレーションの効率化:
- サポートチームと社内の他部署をつなぐ: コラボレーションツールを統合すれば、社内の他の部門に確認しながら顧客対応を進められるため、問題解決を迅速化できます。
- トレーニングを増やしてインセンティブを与える: サポートチームに投資し、自分たちが大切にされていると感じてもらうことで、一人ひとりのモチベーションと生産性が高まり、顧客により親しみのあるサポートを提供できるようになります。
- 収集したデータと特定のインタラクションを関連付ける: 顧客アンケートやフィードバックを活用して、カスタマーエクスペリエンスを継続的に改善しましょう。 チャネルをまたいで顧客とのインタラクションを監視するアプリや、リアルタイムレポートを作成するアプリがあれば、改善すべき点を容易に特定できます。
CXチャンピオンは、顧客がパーソナライズされたサービスを求めていることを十分理解しています。顧客が好むアプリを採用し、そのすべてのアプリで最新の顧客情報を包括的に参照できれば、一人ひとりに最適化されたサービスを提供できます。顧客の期待に適切に応えれば企業への信頼感は高まり、CXトップの地位は、ますます揺るぎないものとなるでしょう。