2015年に登場した日本マイクロソフトの女子高生AI「りんな」をはじめとするチャットボットは、ここ数年、エンタメだけでなくビジネスの領域でも活用されています。また、チャットボットはメッセージアプリ「LINE」などとも親和性が高く、顧客との新たなコミュニケーションチャネルとして期待されています。今回は、チャットボットによる顧客対応のメリットについて見ていきましょう。
チャットボットとは?AIとの違いは何?
チャットボットは「人工無能」とも呼ばれています。「シナリオ型」(ルールベース型)に分類されるチャットボットは、あらかじめ設定されたシナリオ(ルール)や辞書から回答するものが多く、定型的な質問には回答できますが、パーソナライズされた質問への対応は苦手です。一方、AI(人工知能)は、機械学習やディープラーニングで自ら会話を習得できるのが特長となります。最近では、両者を融合したタイプとして、ビッグデータからデータを探して回答するAI搭載型のチャットボットも登場しました。
定型的な質問はチャットボットに対応させ、入り組んだ質問やパーソナライズされた質問への対応のみオペレーター(有人対応)に引き継ぐ、もしくは電話対応やWebサイトなどの別チャネルに誘導するといったことも可能です。
「電話より気軽」
チャットボットで広がるコミュニケーション
チャットボットは24時間365日対応です。カスタマーセンターの営業時間外となる夜中にネットを楽しむ顧客、家族が集まる週末に検討される場面が多い商材などであっても、顧客ニーズを逃すことがありません。
チャットボット最大の特徴は「文字によるコミュニケーション」という点です。コールセンターでの電話対応で聞き間違えが発生しやすい名前の表記や会員番号、電話番号なども文字で伝えれば正確に伝わるようになります。
問い合わせのハードルを下げる
最近は、スマホで通話するより「LINEでチャットする機会の方が多い」という人も増えています。タイミングを見計らってコミュニケーションしたいという現代人の嗜好が反映されているともいえるでしょう。
普段から通話を使っていないとなると、カスタマーセンターへの問い合わせも億劫になりがちです。その点、チャットボットでは、顧客が見ている画面上(Webサイト上)に「問い合わせ画面」が表示されるため、画面を切り替えてコールセンターに電話をかける、という煩わしさもありません。
チャットボット×JR西日本
カスタマー対応にチャットボットを活用して好評を得た例として、JR西日本のケースがあります。
同社では、今年5月から電車や駅での忘れ物への問い合わせや捜索手配をチャットボットで24時間受け付けるサービスを開始。捜索依頼の内容を駅までつないだり、捜索結果を依頼者に回答したりといった作業は有人オペレーターによる対応のため午前8時~午後10時の営業時間内のみとなりますが、電車内などで忘れ物に気付いたときに、通話せずともすぐ問い合わせできるので便利と評判です。
このように、数多くの企業がチャットボットで新たな顧客コミュニケーションを模索しています。身近なチャネルでコミュニケーションが可能なチャットボットは、顧客の「問い合わせへ」のハードルを下げ、新たなビジネスチャンスを生み出すことができるツールといえるでしょう。
まとめ:チャットボットは顧客と企業の双方にメリット
24時間365日対応のチャットボットは、顧客が「知りたいときに疑問点をすぐに解決できる」というメリットがあるだけでなく、少子高齢化により人材難という問題を抱えている企業にとっても魅力的なツールとなります。顧客対応や業務の効率化を実現できるツールとして、活用できる範囲は非常に幅広いと考えられます。顧客と企業の双方にメリットをもたらすチャットボットの活用を、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
参考