現在では、取引先との連絡手段はメールが主流になっているため、以前に比べると電話の重要性は薄れつつあります。しかし、カスタマーサポート業務においては、お客様とのやり取りの主流はいまだ電話です。そこで重要になってくるのが、業務を円滑に進めるための電話対応です。カスタマーサポートは企業の窓口として、お客様と最初に接触する部署になるため、ここでの対応が企業の評価に直結してしまうケースもあります。今回は、カスタマーサポートの重要な業務の一つである電話対応について、覚えておくべきトラブル時の対処法を説明しましょう。
カスタマーサポート業務における電話応対の重要性
ビジネスシーンにおいては、いまやメールやチャットは電話に取って代わる連絡手段として認識されています。しかし、これはあくまでも企業間でのやりとりに限った話であり、相手がお客様となれば話は別です。特にカスタマーサポートでは、メールよりも電話のほうが効果的な場合があります。具体的な理由は次の通りです。
短時間で結論まで導ける
メールは1回ごとのやりとりに時間を要します。特にカスタマーサポートへ連絡をしてくるお客様は、トラブルやクレームなどに対する「早急な回答」を求めているケースが多く、時間がかかるメールではストレスがたまってしまうかもしれません。電話で対応する場合は、途切れることなく短時間で結論まで導くことができるため、業務効率の改善にもつながるでしょう。
お客様を自社のファンに変えることができる
カスタマーサポートには、お客様からのクレームが少なからず入ってくるでしょう。その際、メールでは感情を上手に伝えることが難しく、どんなに丁寧な文章を書いたとしても冷たく感じられてしまう恐れがあります。一方、声で感情を伝えられる電話であれば、丁寧に対応することで問題が大きくなるのを回避できますし、場合によってはクレームを伝えてきたお客様を自社のファンに変えることも可能となります。
お客様からの電話による問い合わせを円滑に、円満にクロージングするためには、自社のサービスや商品についての深い理解が必要です。「何を聞かれても答えらえる」という自信が持てれば、電話応対もおのずとスムースにできるようになるでしょう。カスタマーサポートの電話応対はCSの向上に大きくかかわるので、その重要性を理解しておきたいものです。
お客様からのクレーム電話の種類と対応方法
クレーム電話の応対はカスタマーサポートの業務として必須のものといえるでしょう。クレームは商品やサービスに対して、期待していたような結果が望めなかった場合に起こるもの。ただし、クレーム電話と一口にいっても、その種類はさまざまです。電話応対の重要性を理解できたら、次はクレーム電話の種類と対応方法について説明していきましょう。
感情的にクレームを出すタイプ
感情的になってクレームを伝えてくるお客様に対して、一番してはいけない行動は話を遮ることです。まずは、落ち着いてお客様の話を聞く。そのうえで自社に非があるのかどうか確認し、こちらの不備があれば丁寧に謝罪します。相手が落ち着いてきたところで対応策を提案するようにします。
何とか使いこなしたいので解決策を求めてくるタイプ
商品やサービスに不満はあるものの、冷静な状態で電話をかけてくるお客様には、「商品やサービスのどこに不満や不備を感じているのか?」を具体的に聞き取ります。こちらの不備については謝罪し、カスタマーサポートで解決できる内容の場合は解決策を伝えます。商品開発者やサービス担当者の対応が必要な場合は、具体的な内容を伝えたうえで取り次ぎます。
クレームのためのクレームを出すタイプ
こうしたタイプのお客様は、不用意に謝罪してしまうと、それにつけ込んで不当な金銭やサービスを要求する場合があります。電話で怒鳴られたり脅されたりすれば、反射的に謝りたくなってしまうかもしれませんが、まずは冷静に自社に非があるのかどうかを判断し、非がなければ毅然とした態度で応対することが重要です。基本一人で対応するのではなく、組織で対応する(上司に対応を依頼する)ようにすると、大きなトラブルに発展するのを防ぐことができるでしょう。
クレーム対応でやってはいけない行動は?
前項でも触れたように、電話でクレームを伝えてくるお客様は、早急な解決を求めている方が多いです。そのため、カスタマーサポートが最もやってはいけない行動は、無駄に時間をかけたり不用意に判断したりすることです。具体的には、次のようなことに気をつけなければいけません。
対応をたらいまわしにしない
相手の話をよく聞かないうちに、「それは仕方ない」とか、「違います」といった反論をしない
「多分」「だと思います」といった曖昧なことは言わない
こういった行動をしてしまうと、お客様は「無駄に時間がかかり、解決から遠ざかっていく」と感じてしまいます。「分からない」、「知らない」といった発言も避けたほうがよいと言えますが、本当は分からないのに「分かっているふり」をしてしまうのもトラブルの原因になります。分からないこと、知らないことは「すぐに担当者に確認します」と伝え、たらいまわしにすることなく、「確実に回答できる担当者」に聞く、もしくは取り次ぐようにします。
まとめ:迅速かつ真摯な対応でお客様を自社のファンに
お客様からクレームの電話があった際に、迅速かつ真摯な姿勢で応対できれば、クレームを円満に解決できるだけでなく、それ以上の効果を期待できる場合もあります。対応の仕方次第では、お客様を自社のファンにすることも可能です。
お客様が「何に対して不満を持っているのか?」をしっかりと聞き、把握すること。そのうえで過去の対応例を参考に「どうすればお客様の不満を取り除くことができるのか?」を判断します。自社の商品やサービスについてしっかり理解しておくとともに、クレームが発生した際は必ず履歴を残しておき、スタッフ全員で共有することが重要です。