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カスタマーサポートは在宅でどこまでできるのか? 〜コールセンター企業実態調査より〜

お客様の窓口となるカスタマーサポート業務は、オフィスで専門のスタッフにより担われるケースが一般的でした。ところが近年では、カスタマーサポートを在宅でできないかと模索する企業が増えています。そこで本記事では、カスタマーサポートは在宅でできるのか、また在宅勤務にするメリットや実践時における課題などについて解説します。

更新日: 2024年1月30日

カスタマーサポート業務は在宅でできる?

結論から述べると、カスタマーサポート業務は在宅でも実現可能です。事実、すでに多くの企業が在宅業務に切り替えています。それを裏付ける、興味深いデータをご紹介します。

一般社団法人日本コールセンター協会が、100社を対象に実施した「2020年度コールセンター企業実態調査」によれば、「在宅テレコミュニケーターを導入している」と答えた企業は14社にのぼりました。これは全回答社数(50社)の28%に相当し、2019年度より11社も増加しています。また、「採用の予定あり」と回答した企業も8社あり、在宅テレコミュニケーターの導入に前向きな姿勢を示す結果となりました。
出典:一般社団法人日本コールセンター協会『2020年度コールセンター企業実態調査』報告

「在宅テレコミュニケーター」と呼ばれる自宅から顧客対応を行うスタッフの導入が進んだ理由としては、新型コロナウイルス感染症の影響だと回答されています。感染リスクを軽減するためにテレワークを導入する企業が増えたことと、少しでもオフィスが密になることを避けようとした結果と考えられます。

カスタマーサポートを在宅勤務にするメリット

導入に今ひとつ踏み切れない企業経営者や担当者の方も、在宅へ移行するメリットを理解すれば考えが変わるかもしれません。カスタマーサポートの在宅への移行には、それほど大きなメリットがあります。以下で詳しく見ていきましょう。

  • 人材不足の解消

少子高齢化による労働力の減少をはじめ、さまざまな問題により、カスタマーサポート業務を担う人材の確保が難しくなっています。在宅にするメリットのひとつとして、このような人材不足の課題を解消できることが挙げられます。

在宅での業務が可能になれば、雇用の創出につながります。家族の介護・育児などで自宅を離れられない方や、病気や障害などにより出勤できない方の雇用が可能となります。さらに、慣れ親しんだ自宅で仕事ができるため、快適な職場環境が実現するのもメリットです。このように労働者にとってもメリットが大きく、オフィス勤務と比べてストレスも減らすことができ、、人材流出の抑制にも効果が見込まれます

  • BCP対策

地震や台風などの大きな災害に見舞われると、交通機関の麻痺やオフィスにおける通信機器の故障などが発生します。そうなると社員は出勤できず、仮にオフィスへたどり着いたとしても、通常の業務が行えない可能性があります。このような状況下でも、在宅なら通常の勤務が可能です。社員はそもそも出社する必要がないため、自宅の業務環境さえ正常であれば、普段通りの業務を行えます。

また、此度の新型コロナウイルスのように感染症が流行する事態に陥っても、在宅勤務なら社員の感染リスクを軽減できます。近年、在宅テレコミュニケーターを採用する企業が増えているのは、まさにこの感染リスクへの対策が大きな理由といえるでしょう。

  • コスト削減

在宅勤務の導入により、いくつかコストの削減効果も見込むことができます。

時間と場所の制約が少なくなることにより、業務量に合わせた人員配置の最適化を図ることで余計な残業が抑制することができます。

また、社員一人ひとりにとっては、オフィスや指定のセンターに出勤する必要がなくなり、時間が節約できるばかりか、交企業にとっては、オフィス内に専用スペースを確保する必要がなくなり、固定費や各種経費を圧縮することも可能となります。

また、在宅勤務の導入により社員の離職率が低下すれば、採用コストの削減にもつながります。新たな人材の採用活動に投じる費用を抑えられ、間接的なコストダウンが実現します。



カスタマーサポートを在宅にする際の課題

企業はもちろん、労働者にもさまざまなメリットがある在宅勤務ですが、導入にあたってはいくつか注意点があります。実際、導入に踏み切れていない企業の多くも、以下のような課題に関して懸念を抱いているようです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • セキュリティリスク

カスタマーサポートは、いうまでもなくお客様の窓口となる存在です。必然的に顧客の個人情報を扱うことが多く、それゆえにセキュリティ面のリスクを懸念する企業が少なくありません。

オフィス勤務なら、適切な環境で顧客の情報管理ができます。しかし、在宅勤務はオフィスと環境が大きく異なるうえ、上司の目が行き届かないため、どうしてもセキュリティ面に不安が残ってしまうのです。

また在宅では、個人の端末を業務に使用するケースも珍しくありません。個人の端末は、十分なセキュリティ対策が施されていないことも多く、マルウェアの感染や不正アクセスなどのリスクも考えられます。

  • 労働実態の把握が困難

オフィス勤務なら管理者の目が行き届くため、各社員の業務進捗状況や勤務態度などをきちんと把握できますが、在宅となるとそうはいきません。社員がどのように働いているのかわからず、適切な指導ができない問題が考えられます。働きぶりが見えないことにより、人事評価がしにくくなるのも課題といえるでしょう。

カスタマーサポートの業務は顧客と直面していることもあり、「特定のスタッフに業務が集中している」、「対応できていない顧客がいる」、「応答時間にばらつきが生じている」、「全体の対応状況が把握しずらい」など、スタッフの対応状況を正しく把握することは、応対品質が低下するような事態は避けなければなりません。

また、社員のモチベーション管理が困難になるのも課題のひとつです。オフィスでの業務なら、その場でフォローしたり社員を鼓舞してモチベーションを高めることもできますが、。在宅勤務では、従来のようにコミュニケーションがとりにくくなるため、そのようなこともできません。

カスタマーサポートを在宅勤務にする際のポイント

カスタマーサポートを在宅勤務に移行する際は、コミュニケーション手段の確保やセキュリティ対策、ツール選びなどが重要です。業務を在宅に切り替えた結果、従来よりも業務効率が低下したり、情報が漏えいしたりすることのないよう、以下のポイントをしっかりと押さえておきましょう。

  • セキュリティ対策

大切な顧客情報を漏えいさせたとなると、企業としての信頼が失墜しかねません。このような事態を回避するため、万全のセキュリティ対策を講じる必要があります。

まずすべきなのが、不正アクセスやマルウェアといった外部からの脅威への対策です。アンチウィルスソフトの導入は必須で、なおかつアクセス制限も行いましょう。適切なアクセス権限を付与することは、内部不正の対策としても有効です。

カスタマーサポートでは、顧客対応を主たる業務としている特性上、個人情報や機密性の高い情報を取り扱う機会が多く存在します。そのため、スタッフによる操作ミスばかりでなく、中途退職者
など内部関係者による意図的な犯行に対しても対策する必要があり、企業における内部不正を抑制する仕組み作り「内部不正を防ぐための管理のあり方」を徹底する事が求められています。

内部不正対策に関心のある方は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表している、組織における内部不正防止ガイドラインをご覧ください。
組織における内部不正防止ガイドライン(独立行政法人情報処理推進機構)

また、テレワークにおけるルールの制定も進めましょう。社員は従来と異なる環境で業務に勤しむため、新たなルールが必要です。「家族の前でも顧客情報を漏らさない」「家族や友人などが業務で利用するパソコンを操作できるようにしない」など、セキュリティを意識したルールの制定が求められます。



  • コミュニケーション手段の確保

社員が業務を遂行するうえで困ったときや相談したいときに、いつでも対応できる体制を整えておきましょう。何かあったとき、まず誰に相談するのか、どのように連絡するかなどを決めておくことが大切です。

また、在宅勤務は基本的に1人での業務となるため、社員が自宅で孤立してしまうケースが少なくありません。コミュニケーション不足に陥ってしまい、メンタルに支障をきたして業務効率に影響するおそれもあります。

このような事態を回避するため、オンラインでのミーティングが開ける体制も整えておきましょう。ビジネスチャットやWebカメラを導入するなど、コミュニケーションをとりやすい環境づくりが重要です。

  • カスタマーサービスツール選び

オペレーターを在宅で業務に従事させるのなら、専用ツールの導入がおすすめです。現在はさまざまなツールがリリースされていますが、複数の問い合わせチャネルを一元管理できるシステムがベストです。

また、社員の端末から特別な設定をする必要がなく、業務内容の可視化ができるツールだとなおよいでしょう。スムーズに在宅カスタマーサポートへ移行できるほか、管理者やチームメンバーとの情報共有も容易です。

そのほか、在宅勤務ではマニュアルベースで業務を遂行するため、マニュアルの整備も求められます。丁寧でわかりやすい内容にすることはもちろん、内容を常に新しいものへ更新し続けることも大切です。

Zendeskで在宅カスタマーサポートを実現

サポート業務で在宅勤務を導入するに当たり、顧客からの問い合わせ状況やサポート業務を可視化することが効果的です。特にエクセルや紙媒体で問い合わせを管理している場合は、在宅化した際に共有が難しくなるため、クラウド上のデータとして情報共有できる体制を整えましょう。

スタッフの業務内容がオンラインで確認できるようになれば、各スタッフがどのぐらい問い合わせに対応しているのかが明らかになるため、労働実態の把握や適切な評価にもつながります。専門のカスタマーサポートツールを導入すれば、クラウド上で問い合わせを管理できます。問い合わせが放置されていないか、どのスタッフが対応しているのかを確認できるため、在宅でも管理者がスムーズにサポート担当者の労働状況を管理できます。

問い合わせのステータス管理例(Zendeskの問い合わせ管理システム

「Zendesk」は、カスタマーサポートに必要なあらゆる機能を有するツールです。クラウドサービスであるためソフトウェアをインストールする必要がなく、複雑な設定も不要です。

Zendeskなら電話・メール・SNS・チャットなどのあらゆる問い合わせを1つの画面で管理・対応でき、顧客とのスムーズなやり取りを実現します。問い合わせの対応状況もひと目で把握でき、二重対応や対応漏れをふせぐことができます。

また、問い合わせ対応は全てクラウドで行われ、各担当者の対応内容も記録されるため、スムーズに情報共有ができます。さらには、問い合わせ数や解決時間といったサポートに関するデータの測定や分析もでき、簡単にナレッジベースの構築・管理ができるのもうれしいポイントです。

在宅勤務で大きなネックとなるセキュリティに関しても、問題はありません。Zendeskでは高度なシステムを実装することにより、物理面とネットワーク面の双方にて万全のセキュリティ体制が敷かれています。

Zendeskの導入により、スムーズな在宅カスタマーサポート環境の構築が実現します。1つのツールであらゆる作業を完結させられるため、業務効率の向上も期待できます。無料トライアルも提供されているので、購入前に操作性や機能を実際の環境で確認いただけます。

まとめ

新型コロナウイルスの収束はいまだ実現せず、いつまで脅威が続くのかもわかりません。そのような時代だからこそ、在宅カスタマーサポートを導入するにはベストなタイミングといえます。本記事でお伝えした通り、在宅カスタマーサポートへの移行にはさまざまなメリットがあります。企業と社員の双方にメリットがあるため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

最後にご紹介した「Zendesk」は、在宅カスタマーサポート導入において心強いツールです。まずは無料トライアルで試してみて、そのうえで導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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