メインコンテンツに戻る

記事

カスタマーサービス研修: 完全ガイド

カスタマーサービス研修を効果的に実施することで優れた顧客体験を提供する方法を解説。研修に役立つ無料テンプレートもご活用ください。

更新日: 2025年4月4日

木の上のリンゴに手を伸ばすヘッドセットを着けた人物

カスタマーサービス研修とは?

カスタマーサービス研修とは、サポートチームの技能向上と、製品やサービス、顧客対応、サポートソフトウェアなどに関するノウハウの教育を目的としたビジネス戦略で、最終的に顧客体験の向上を目指しています。

顧客は、速くて便利な質の高いカスタマーサービスを期待しています。その期待を裏切ることは、顧客離れにつながりかねません。 顧客を惹きつけ、維持するためには、優れたカスタマーエクスペリエンス(CX)の提供能力が必要です。 すべてのサポート担当者が顧客を支援するための適切なスキルを持ち合わせているかどうかは、そこでの重要なカギを握っています。

企業はカスタマーサービス研修を利用して、サポート担当者のスキル向上を図る必要があります。 適切な研修計画は、費用や業務に負担をかけることなくチームのパフォーマンスを向上させ、顧客満足度、顧客維持率、顧客ロイヤルティを高めることにつながります。

このガイドとカスタマイズ可能なテンプレートを活用し、CXの質を向上させる確実で効果的なカスタマーサービス研修計画を立てましょう。

目次:

カスタマーサービス研修が重要な理由

カスタマーサービス研修には、顧客ロイヤルティと顧客維持率の向上に加え、従業員の仕事への満足度と生産性の向上、担当者自身の成長といった、さまざまなメリットがあります。

カスタマーサービス研修は、サポート担当者が日々効率的に業務を進めるために必要な知識やツールを提供し、サポート担当者のスキルアップを目指すもので、カスタマーサクセスイネーブルメントとも呼ばれます。 カスタマーサービス研修の主なメリットをいくつかご紹介しましょう。

サポート担当者のスキル開発

カスタマーサービス研修は、サポート担当者が仕事で優れたスキルを発揮するための機会を提供します。 定期的に研修を行うことで、入社後間もない従業員は業務の基本を学ぶことができ、すでに経験を積んだ従業員は、従業員育成計画にもとづき社内プロセス、ソフトウェアやツールの使い方、顧客の動向に関する最新情報を把握(または改善)することができます。 これにより企業は、従業員のパフォーマンスを継続的に改善することができます。

顧客ロイヤルティと顧客維持率の向上

AIによるパーソナライズされたサポートを期待する消費者の割合は、61%にものぼります。そのため研修では、AIツールもマスターする必要があります。

優れたカスタマーサービスとは、「良いサービス」には留まらない「素晴らしいサービス」を指します。 カスタマーサービスチームに適切な研修を行うことで、競合他社との差別化を図ることができ、結果として顧客ロイヤルティ顧客維持率の改善につながります。 担当者が、事情に精通した共感的なサポートをパーソナライズしながら迅速に提供できれば、顧客は満足し、リピートする可能性が高くなります。

仕事の満足度向上

米国フェニックス大学が調査したCareer Optimism Index® 2024では、アメリカの労働者の55%が「雇用主がスキル開発の機会を提供すれば、現在のポジションでさらに技能を磨くことができる」と回答したことが明らかになっています。 スキル開発は、従業員がパフォーマンスを向上させ、自分の職務により多くの価値を見い出して仕事に満足する機会となるため、従業員エンゲージメント(企業理念への共感と意欲)を高めます。

生産性の向上

適切な研修を受けると、サポートを迅速に提供できるようになります。 企業が継続的に従業員のスキル開発に取り組むことで、チームはタスクを効率的に優先付けして問題をすばやく解決できるようになるため、人材の効果的な活用が可能になります。 これによりサポート担当者の生産性が高まり、顧客満足度(CSAT)初回返信時間(FRT)などの指標をはじめとする、カスタマーサービスの重要業績評価指標(KPI)が向上します。

カスタマーサービス経験者にも研修は必要?

経験豊富なカスタマーサポート担当者を採用し、研修実施の優先度を下げている企業もあります。 始めから経験者を集めれば研修の手間と時間が省け、経費も削減できるという目算かもしれませんが、ここには落とし穴があります。

優秀な人材の採用は重要ですが、そのスキルレベルに関わらず、研修は必要です。 新入社員研修は、以下のような重要な意味を持っています。

  • ビジョンの共有: 優れたカスタマーサービススキルのある経験豊富な新入社員であっても、それが必ずしも貴社のニーズに沿ったスキルとは限りません。 新入社員研修を実施することで、貴社独自のカスタマーサービスの目標について指導することができます。
  • 顧客層の理解: 新入社員研修では、企業独自のカスタマーサービスのあり方を指導すると同時に、顧客プロフィールも説明する必要があります。 ターゲットとなる顧客の特徴を伝えることができます。
  • ツールの説明: カスタマーサービスツールや社内アプリケーションを使用している場合は、研修で使い方を指導します。

経験豊富な人材を採用することは、堅実なサポートチームを構築するための一つの方法ではあります。ただし、新人スタッフがそのポテンシャルを最大限に発揮するためには、研修プログラムの提供が欠かせません。

カスタマーサービス研修の5つのタイプ

カスタマーサービス研修の5つの方法を示すリスト

カスタマーサービスチームの研修に、万能なアプローチはありません。 チームの予算、スケジュール、ニーズに合った研修計画を立てましょう。

1. 新入社員研修

新入社員研修は一般的に、企業文化の理解、ソフトウェアの使い方、製品知識の習得を目的としています。 理想的な研修期間は4〜6週間です。

研修期間中は、以下のような点に注意を払ってください。

  • 研修資料をすべて理解しているか?

  • 疑問や質問を抱えていないか?

  • 理解しやすくするために改善すべきプロセスはあるか?

定期的に進捗状況を確認しながらフィードバックを得ることで、継続的に研修内容を最適化することができます。

2. 社内従業員研修

社内資料を使用して社内従業員向けのカスタマーサービス研修を主導するのは、多くの場合サポートチームのマネージャーか、高度なスキルを持つ担当者です。 データを参照しながら、チームの弱点を克服するための専用のカリキュラムを作成して研修内容を最適化し、応答時間や対応時間の短縮といった、一般的な課題に取り組みます。

企業にはそれぞれ特徴があるため、他社のアプローチを採用するよりも、独自のプロセスや自社の文化に沿ったプログラムを作成するほうが効果的です。 研修プログラムを調整することでチームのニーズを満たし、パフォーマンスを全体的に強化することができます。

3. 外部指導者によるワークショップ

外部のカスタマーサービス専門家を招いたワークショップを数日間開催し、特定の課題に特化した集中研修セッションを行います。 こういったカスタマーサービス研修の実施には、次のようなメリットと課題があります。

  • メリット: サポート担当者を惹きつける刺激的でインタラクティブなセッションを通じて、専門分野の第一人者から学ぶことができる
  • 課題: 短期間でコストがかかり、アイデアを長期的に調整することが難しい

ワークショップを最大限に活用するには、記録を取ることと、社内ナレッジベースに動画を保存することが有効です。 これにより従業員は、ワークショップの情報が必要な場合やモチベーションをさらに高めたい場合、いつでもセッションを見直すことができます。

4. リフレッシュ研修

たとえ経験豊かな担当者であっても、継続的な研修は不可欠です。 優れたカスタマーサービススキルを長期間維持することは難しいこともあるため、定期的なパフォーマンスチェックが重要です。 人員が不足している場合は、リフレッシュ研修を実施します。

既存のスタッフにトレーナーを務めてもらうことで研修費用を削減し、他の従業員が業務に学びを活かせるようにします。 スタッフよって対応可能な分野や能力に限りがあることを考慮してください。

5. ピンポイントでのカスタマーサービス研修

新製品のリリースや、特定の問題にもとづく1回限りの研修が必要な場合もあります。 これらのセッションはタイムリーに行い、先延ばしにしなでください。 明確な期限を設定して、それぞれの担当者が単独で完了できるようにすれば、研修期間の短縮が可能になります。

カスタマーサービス研修で習得すべきスキルの種類とは

優れたカスタマーサービスとは、顧客の質問に答えることだけではありません。顧客の感情を汲みとり、サポートチケットを管理しつつ問題を適切に解決する必要があるほか、感情的なやり取りの中であっても冷静さを保つためのスキルが欠かせません。 企業哲学とコミュニケーションスタイルに加え、成功する研修プログラムには以下のハードスキルとソフトスキルを含める必要があります。

ソフトスキル

コミュニケーション能力や効果的なチームワークに必要なのが、ソフトスキルです。 顧客との関係構築に必要なソフトスキルを、以下にご紹介します。

  • よい聞き手になる: 顧客の話を注意深く聞いてポイントを理解し、その主張に敬意を示すスキルです。 顧客に自分の話を聞いてもらえたと感じてもらい、不満を和らげるために不可欠です。
  • 前向きな姿勢を示す: 文章でトーンを伝えきるのは難しい場合があります。特に、迅速で簡潔な回答は「素っ気ない」と思わせてしまうことがあります。 サポート担当者は、すべてのチャネルでポジティブかつプロフェッショナルなスタイルと声のトーンを使用する必要があります。
  • 共感を伝える: 消費者は、親切で思いやりのある人に助けを求めたいものです。 顧客に共感を示すことで、自分の言っていることが伝わったと安心してもらうことができ、サポートへの信頼度が増します。
  • 自信をつける: サポート担当者が自社と製品に関する知識を習得したら、顧客を支援する能力に自信を持つ必要があります。 機会があるごとに担当者への信頼の気持ちを伝え、励ましてあげてください。
  • 創造力を磨く: 試行錯誤を奨励し、サポート担当者の創造性を高めます。 適切な解決策が常に明らかとは限らないため、既成概念にとらわれない発想が重要です。
  • 冷静さを保つ: イライラした顧客の対応が必要なときもあります。 怒っている顧客への対応方法を指導し、複雑な状況でもサポート担当者が落ち着いて対処できるようにします。
  • コミュニケーション力を高める: コミュニケーションスキルは、サポートチームに不可欠です。 顧客は、プロフェッショナルで信頼できるサポート担当者が、自分の質問にわかりやすく回答してくれることを期待しています。

さまざまなソフトスキルを身に付けるための研修は、顧客とのポジティブなやり取りを行う上で非常に重要です。

ハードスキル

ハードスキルとは、測定可能な能力です。 カスタマーサービスチームを成功に導くハードスキルの例を、いくつかご紹介します。

  • 製品と社内プロセスに関する知識をつける: サポート担当者には迅速かつ正確な回答が求められるため、専門的な製品知識が不可欠です。 製品知識は迅速な対応を可能にし、顧客の信頼感を高めます。
  • 顧客に寄り添う: カスタマーサービス担当者には、いつでも顧客の側に立った行動が求められます。 顧客が不満を抱いている場合、サポート担当者はその不満を解消できる担当者に内容を伝え、改善を図る必要があります。
  • カスタマーサービスの原則に従う: 一貫したサポートを提供するには、顧客対応に関する原則が必要です。 研修ではカスタマーサービスの価値を説明し、その価値が実際にどのような効果につながるかを理解できるようにします。
  • テクノロジーを使いこなす: 技術的なツールの習熟度と素早い対応は、密接に関係しています。 サポート担当者がカスタマーサービスソフトウェアなどの効率化ツールを使いこなせるようになると、情報がすぐに見つかるため問題解決がスピードアップし、他のメンバーや他部門との連携も容易になります。

これらのハードスキルにより、チームはカスタマーサポートのより技術的かつ測定可能な側面に対応できるようになります。

効果的なカスタマーサービス研修を実施するためのヒント

ここまで見てきたとおり、サポート担当者の生産性の向上、顧客ロイヤルティの構築などには、カスタマーサービス研修が不可欠です。 ただし、研修プログラムの作成はそう簡単ではありません。 効果的なカスタマーサービス研修を実施するのためのヒントを、以下にご紹介します。

  • 顧客の視点で考える: 意思決定の際は、顧客の視点を最優先して考えましょう。 顧客を念頭に置いて研修計画を立てると、自然とプログラムが最適化されます。
  • 明確なカスタマーサービス目標を設定する チームが知っておくべき重要なスキルと知識分野を特定し、それらに沿った研修計画を立てましょう。
  • 積極的に参加を促す: 単に研修を開催するだけでなく、参加を促しましょう。 シミュレーションやロールプレイを取り入れると、情報が定着しやすくなります。
  • パフォーマンスを監視する: 担当者のパフォーマンスを監視することで研修の有効性と改善の機会を判断します。 これにより研修プログラムを評価することができ、カスタマーサポートチームの規模拡大が可能になります。

これらのヒントを活用しながら、チームにとって最適な研修プログラムを立案し、顧客体験の向上につなげてください。

カスタマーサービス研修用資料

テンプレート、コース、ゲーム、動画などのカスタマーサービス研修用資料があると、より具体的なCX戦略と研修プログラムの作成が可能になります。

カスタマーサービス研修用テンプレート

研修プロセスをより効果的にするには、カスタマーサービス研修用テンプレートの活用がおすすめです。 研修コンテンツを最適化できるほか、新入社員からベテラン社員まで、全員の共通認識にもとづいてプログラムを進めることができます。

以下のカスタマーサービス研修用テンプレートをダウンロードしてカスタマイズしながら、貴社のカスタマーサービス理念をチームに伝え、CXの向上と研修の合理化を目指しましょう。

カスタマーサービス研修コース

カスタマーサービス研修コースには、カスタマーサービス、コミュニケーション、問題解決などのさまざまな側面に関する体系的なトレーニングが含まれます。 たとえば「Zendeskトレーニング」は、企業が提供する学習教材として最適です。サポート担当者は、ソフトウェアやツールのスキルに加え、主要なソフトスキルとハードスキルも習得できます。 Zendeskトレーニングの研修コースとラーニングパスの利用は無料で、チーム全員が質の高いカスタマーエクスペリエンスを提供できるよう支援します。

カスタマーサービス研修用ゲーム

カスタマーサービス研修用ゲームは、研修プロセスを楽しくするための工夫で、ロールプレイング、チーム別コンテスト、クイズなどがあります。 たとえば、以下のようなゲームがあります。

  • Jeopardy! 担当者をチーム分けして行うカスタマーサービスゲーム、Jeopardy!では、普段抱えている課題をテーマやトピックにした質問を作成します。
  • ジェスチャー: チームをグループに分けて、一方のチームにやり取りやシナリオを演じさせ、もう一方のチームに何が起こっているのか、どのような解決策が最善かを推測させます。
  • ビンゴ: 出されたヒントを正しい用語またはプロセスに一致させ、ボード上で見つけます。

ゲーム形式によるクリエイティブな研修機会は、チームのスキルとともに従業員エンゲージメントも向上させます。

カスタマーサービス研修用動画

カスタマーサービス研修用動画は、新しいプロセスや重要な概念を理解してもらう際に役立ちます。 学生時代に観させられた退屈な学習教材とは異なる、魅力的なコンテンツがたくさんあります。 カスタマーサービスを中心に扱ったTEDx Talksやその他の動画教材で、バーチャル学習体験を提供できます。

よくある質問

適切なCXパートナーと一緒にサポートチームを強化

カスタマーサービス研修は優れたCXの提供と従業員のスキルアップに貢献しますが、必ずしも単独で行う必要はありません。 Zendeskのような信頼のパートナーと一緒に取り組むことで、貴社が目指すカスタマーエクスペリエンスに最適化された社内外の研修プランを策定・実施できます。 カスタマーサービス研修テンプレートをダウンロードして、今日から始めてみませんか?Zendeskトレーニングでは、サポート担当者、管理者、営業部門で役立つ無料のコースやガイダンスを提供しています。

関連記事

記事

顧客体験設計(CXD)とは?軸となる考え方と基礎知識、実践方法を解説

顧客体験は顧客が商品やサービスを選ぶ際の、すべての段階において影響を与える要素です。顧客体験設計は、この顧客体験をあらかじめ企業側が設計し、望む方向へ導く手法となります。本記事では、顧客体験設計の考え方と実践について解説します。

記事

カスタマーインテリジェンスとは?定義・種類・例

カスタマーインテリジェンスとは、消費者のデータを収集・分析し、実用的なインサイトを引き出すプロセスのことです。本記事では、カスタマーインテリジェンスの定義や種類、具体例をご紹介します。

記事

顧客プロファイルとは? 定義・項目・作成方法

データを活用して充実した顧客プロファイルを構築し、より適切でパーソナライズされた体験を提供しましょう。本記事では、顧客プロファイルの定義や作成方法をご紹介します。

記事

顧客ライフサイクルマネジメントとは?定義、戦略、5つのステージ

顧客ライフサイクルマネジメントとは、消費者が購買に至るまでのステップを追跡するプロセスを指します。本記事では、顧客ライフサイクルマネジメントの定義や戦略、ステージについて解説します。