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カスタマーエクスペリエンスマネジメント(CXM)のポイント

この記事では、カスタマーエクスペリエンスマネジメントに関するZendeskの専門家4人のアドバイスをご紹介します。

更新日: 2024年2月24日

多くの場合、顧客を感動させた企業の対応は、インターネットであっという間に拡散されます。そこまで満足度の高い顧客の体験は珍しいことが理由です。飛行機で結婚式のドレスを送り届けて窮地を救った航空会社の話や、サポート対応中に顧客が脳卒中を起こしたことに気づいて命を救ったサポート担当者の話を目にした人もいるはずです。

「カスタマーエクスペリエンスというと、まるでロケットの打ち上げのような壮大なことで、期待を大きく上回る対応で顧客の心を打たなければならない、と考えがちですが、顧客が本当に望んでいるのは、一貫性のある対応なのです」と、Zendeskでカスタマーサクセスチームマネージャーを務めるSamantha Chandlerは言います。

顧客は、企業が社内で協力して一貫性のある対応をしてくれることを望んでいます。Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート2020年版によると、顧客の70%以上は企業が社内で連携をとることを期待しており、68%は問い合わせた時に別の部門に転送されると苛立ちを感じるといいます。

企業としてスムーズで一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、慎重に計画したうえで、注意深くモニタリングして、継続的に調整をかけていく必要があります。満足度の高い顧客体験を安定して生み出せるように、カスタマーエクスペリエンスマネジメント(CXM)を利用することについて、Zendeskの専門家の意見を聞きました。

カスタマーエクスペリエンスマネジメント(CXM)の定義と重要性

カスタマーエクスペリエンスマネジメントは、CXMと記載されることもあります。企業と顧客のすべての接点を追跡・モニターし、調整するための手法を指します。

CXMの目的は、一貫性のあるカスタマーサービスを提供して、ブランドに対するロイヤルティを高め、顧客の関心を深めることにあります。

顧客とのやりとりはすべてCXMの範疇になるため、大掛かりな取り組みのように感じられるかもしれません。しかし、企業としてCXMを見過ごすわけにはいきません。

「企業と顧客のあらゆる接点が顧客体験を作り上げます。こうした体験を管理することは、すべての部門が協力して顧客を喜ばせることのできるシームレスな体験を提供できるようにするために必要な取り組みです」Zendeskシニアカスタマーサービスエバンジェリスト Dave Dyson

このようなシームレスなサービスを確実に提供できれば、顧客基盤が強化され、最終的には顧客基盤の拡大につながります。

「新規顧客の開拓に大きな重点が置かれていますが、既存の顧客を維持することも忘れるわけにはいきません。特にSaaS(サービスとしてのソフトウェア)企業の場合は、小規模な導入で顧客を獲得したうえで取引の拡大を図る「ランド・アンド・エクスパンド戦略」を採用することが多いため、顧客維持がなおさら重要になります」
Zendeskカスタマーサクセス担当ディレクター Brian Reuter

Brianは、満足度の高い顧客体験を生み出せれば、口コミの評判というメリットが得られるため、新規売上の獲得につながる場合もあることを指摘しています。

CXMは、顧客からよく受ける苦情を特定して、苦情を未然に防ぐ企業の取り組みで特に大きな効果を発揮します。先を見越して問題に対応できればできるほど、サポート費用を抑えることができます。

それでは、なぜすべての企業がCXMから得られる利益を享受していないのでしょうか?ひとつに、企業規模や形態を問わず、顧客とのすべての接点を把握するのに苦労している企業が多いことが挙げられます。創業間もないスタートアップ企業は混乱していることが多く、大企業は部門のサイロ化という悩みを抱えています。

ここでは、CXMの課題に対処するにあたって参考になる専門家のアドバイスをご紹介します。

アドバイス1:顧客対応の目標と社内のそれ以外の目標のバランスを取る

CXMは、ブランドの生み出す体験を、企業の立場からではなく、顧客の視点から評価することを企業に迫ります。社内の各部門がこの視点を持たなければ、どうしても顧客の利益に反する目標を設定する部門が出てきてしまいます。

Daveはこう説明しています。「たいていの場合、部門が達成に向けて取り組む目標は、顧客対応に関するものだけではありません。例えば、サポート部門が費用の10%削減を目指すこともあるでしょう。その時に、この目標だけに焦点を当ててしまうと、費用削減の目標を達成できたとしても、実際には顧客体験が損なわれる方向に進んでしまうことがあります」

例えば、すべての顧客との会話を5分以内に抑える取り組みをすれば、コールセンターの効率は高まります。しかし、顧客体験が大きく損なわれることが容易に想像されます。

部門の目標や全社的な目標を採用するにあたっては、事前に「これは顧客にどのような影響を及ぼすだろうか?」と自問することが大切です。

Daveはこう警告しています。「社内で顧客体験の向上に重点を置くおくよう説得しようとしても、なかなか納得してもらえないかもしれません。特に組織がサイロ化されていたり、チーフカスタマーオフィサーを置いていなかったりすると、難航することが考えられます」

リーダーが「顧客第一」を絶えず訴えることの大切さをDaveが感じているのは、このためです。

アドバイス2:新しい取り組みは経営層の承認を取り付ける

CXMソフトウェアなどの技術に投資する場合であれ、顧客重視の新しい戦略を採用する場合であれ、トップからの支持を取り付けることは必要不可欠です。

「特にプロジェクトの採用と実施となると、経営層の後ろ盾はこのうえなく重要です。実際、経営層の支持が得られていないプロジェクトは、わずか4分の1しか開始されるに至りません」とSamは言います。

経営層の同意を取り付けるためには、関連性の高いデータポイントをマネージャーが取りまとめる必要があります。経営層は、大量の数字を細かく理解するための時間を持ち合わせていないからです。

Brianは、顧客体験のイニシアティブを提案する場合は、ROIを明確に示したうえで、説得力のある顧客の体験談を紹介して、実施すべき理由を訴えることを勧めています。

Brianは次のようにアドバイスしています。「長期的にどのような影響があるかを説明するようにしましょう。単に『顧客を怒らせてしまったことがある』と説明するのではなく、顧客がその体験をツイートしたために他の人の怒りを買った、あるいは競合他社に切り替えられてしまったなど、どんな影響があったのかを説明するようにしましょう」

アドバイス3:信頼できるデータから実際的な洞察を引き出す

CXM戦略では、製品やサービスを使用した時の体験と、企業とやりとりした時の体験の両方に焦点を当てます。

「製品に関する苦情を追跡すると、製品をどう改善すべきか判断するうえで役立ちます。
カスタマージャーニー
を最初から最後まで追跡しながら、企業と顧客のすべての接点を確認して、どこが破綻しているかを見いだすことも、やはり優れたプロセスです」とDaveは言います。

どちらのプロセスにも、関連データの収集を自動化できるシステムが必要です。Zendeskなど、CXMソフトウェアソリューションがあれば、企業として測定しておく必要のあるすべての顧客アナリティクスにいつでもアクセスできるようになります。例えば、次が可能です。

  • 製品に関するサポート、価格に関する懸念、その他の問題など、「問い合わせの理由」で顧客との会話にフィルタをかける。

  • 各コミュニケーションチャネルを用いた顧客対応のデータを統合して、ブランドとのやりとりに顧客が好む方法を理解する。

  • サポートに対する問い合わせ内容から問題領域を特定する。

  • 振り分けの課題を迅速に解決して、サポート業務を改善する

  • CSAT(顧客満足度)が高いあるいは低いサポートチームまたはサポート担当者やワンタッチチケット(1回の返信で完結する問い合わせ)の割合を理解する(ZendeskでCSATを測定する方法については、こちらをご覧ください)。

捕捉したデータは、業務をどう調整して優先順位をどう設定すべきかを判断する際に活用できます。顧客が苦労している点がわかったら、その解消に向けて取り組めるようになります。

Daveがまだカスタマーサポートマネージャーだった頃のこと、特定の製品インテグレーションに関する問い合わせが多いという問題が明らかになりました。その時に活躍したのがZendeskのソフトウェアです。チケットを追跡して情報を整理することで、問題を的確に調査できました。これは、サポート担当者が、チケットに用意されたドロップダウンメニューを使って会話の内容を選択したうえで、各チケットに費やした時間を時間追跡アプリで記録していたからこそ、できたことです。

「製品部門に対して、『この機能のサポートに毎月これだけの費用がかかっている』と、明確に伝えることができました。根拠のあるデータを示すことで、製品部門でも、必要な製品改善をするための費用を確保しやすくなったと思います」とDaveは言います。

アドバイス4:新しいコミュニケーションチャネルに対応する

Zendeskカスタマーエクスペリエンス傾向分析レポート2020年版によると、セルフサービス型サポートやチャット、SNS、アプリ内メッセージ機能、ボット、ユーザーコミュニティを提供している企業は、30%にすぎません。その一方で、ミレニアル世代とZ世代の30%は通常チャットで問題を解決しており、40%は定期的にメッセージ機能を利用していることもこの調査でわかっています。

つまり、多くの企業にとって、デジタルコミュニケーションチャネルの追加は、競合他社との間に差をつける大きなチャンスといえます。この点について、Samはチャネルを増やすことだけを目的に新規チャネルを追加することには反対しています。

Samは次のように警告しています。「例えば、『チャットはCSATが高く、CSATが高まるのは会社として歓迎できることだ』という理由だけでチャットの追加を検討している場合は、少し立ち止まって考えてみる必要があります。チャットはリアルタイムで非常に活発にやりとりする必要のあるチャネルです。それを維持するだけのリソースが確保できているでしょうか?また、チャット利用者の期待に応えるために、初回応答時間のベンチマークを把握できているでしょうか?」

今の企業体制では新しいチャネルをサポートしきれないことをCXデータが示している場合は、スタッフを増員するか、当面は今のリソースでも対応できる既存のチャネルで我慢するかを選ぶ必要があるかもしれません。

複数のチャネルに対応できるだけのリソースがある場合でも、「顧客はどのような対応を期待しているのか?」という点に重点を置いて検討する必要があります。顧客データを活用すれば、実際に好んで利用されているプラットフォームを理解できるため、企業としてそこに焦点を合わせて取り組んでいけます。

CXMソフトウェアで顧客の視点を探る

どの企業も、多くの部門やチームで構成され、それぞれが別の役割を担っています。しかし、社外の人の視点で見た時に、企業としてどんな体験を生み出しているかを考えることも大切です。顧客は、社内で情報が共有されていないために、様々な部門をたらい回しにされていると感じていないでしょうか?また、企業として、顧客の懸念を理解して適切に対応しているでしょうか、あるいはそうした懸念を未然に防ぐことができているでしょうか?

企業はカスタマーエクスペリエンスのすべての側面に注意を払う必要があります。Zendeskを導入すれば、あらゆる顧客とのやりとりから洞察を得ることができます。カスタマーサービスに関する一般的な指標が自動計算されるようになっているため、その場で顧客データを評価して、適切な行動につなげていくことができます。ぜひ、無料トライアルをお試しください。

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