カスタマーチャーンレートは、顧客の離脱率を示す指標です。カスタマーチャーンを分析することで、「継続的なユーザー数」や「ユーザーが離脱する理由」など、さまざまなデータを得ることができます。マーケティングを行う際に、カスタマーチャーンの把握と分析はとても重要な役割を担います。本記事では、カスタマーチャーンの計算方法とメリットについて解説します。
カスタマーチャーンとは
チャーンレートには、「カスタマーチャーンレート」のほかに、「レベニューチャーンレート」や「ネガティブチャーンレート」などの種類があります。それぞれ、どのようなものなのか、簡単に解説しておきましょう。
カスタマーチャーン
カスタマーチャーンレート(Customer Churn Rate)は、「カスタマーチャーン」や「チャーンレート」とも呼ばれている指標で、ユーザー数を基準にした解約率を示しています。もっともよく使われているチャーンレートの一つです。一定の期間内にサービスを解約したり、有料プランから無料プランに変更したりするなど、契約から離脱したユーザー数の割合を示します。離脱する理由は、
- 事業売却などでサービスを利用する必要がなくなり、
やむを得ず離脱する場合(強制チャーン) サービスに対する不満があるため離脱する場合(自発チャーン)
の2種類に分類することができます。
レベニューチャーン
レベニューチャーンレート(Revenue Churn Rate)は、「収益チャーンレート」や「MRRチャーンレート」とも呼ばれている指標で、収益を基準にした解約率となります。どの価格帯のユーザーの解約数が多いのか、利益がどれくらい減少するのか、などを把握できます。
ネガティブチャーン
ネガティブチャーンレート(Negative Churn Rate)は、解約率ではありません。ユーザー数や利用額を上げる要因(クロスセル、アップセル、既存プロダクトからの収益拡大など)による収益増加が、チャーンによる収益低下を上回った場合のチャーンレートのことです。
カスタマーチャーンを計測するメリット
カスタマーチャーンを計測して分析することで、次のようなことを把握できるようになります。
サービスを継続利用しているユーザーの割合
カスタマーチャーンレートは、ユーザーの離脱率を示したものです。逆に見ると、「どのくらいのユーザーが継続利用しているか?」を把握できるようになります。新規ユーザーを除いたユーザー数を基に計算することで、既存ユーザーが「サービスにどれくらい満足しているか?」も算出できます。提供しているサービスを大規模な修正や変更を行った際には、その前後のカスタマーチャーンレートを比較することで、アップデートに対するユーザーの評価を計測できます。
継続的なユーザー獲得に対するコスト
カスタマーチャーンレートを使うと、ユーザーがどれくらいの期間、継続して契約しているかを把握できます。そこから、ユーザーを1人獲得するためのコスト(CPA:Cost Per Acquisition)を算出することが可能です。このコストから、新規ユーザーの獲得にかけられる予算を立てることもできます。
離脱による収益低下
ユーザー当たりのサービス単価が一定の場合、カスタマーチャーンレートを計算することで、ユーザーの離脱が収益に与える影響を予測できます。なお、基本コースとプレミアムコースなど、サービス単価が複数ある場合は、レベニューチャーンレートを使って計算しなければなりません。
チャーンレートを把握し、分析する方法
続いては、カスタマーチャーンレートの計算方法や目標値、分析方法について紹介していきます。
カスタマーチャーンレートの計算方法
カスタマーチャーンレートは、基本的に1カ月単位で計算します。その計算式は以下のようになります。
カスタマーチャーンレート=計測期間での解約数/一定期間内での契約ユーザー数×100
ちなみに、レベニューチャーンレートの計算式は以下のようになります。
サービス単価×一定期間内に解約された数/一定期間内の総収益×100
カスタマーチャーンレートの目標値
カスタマーチャーンレートの目標値は、企業規模やサービスの種類により変動します。一般的には3%以内、大企業の場合は0.5~1%くらいが目標値になると言われています。
カスタマーチャーンレートを分析してどう活用するのか
カスタマーチャーンレートの分析結果は、今後、ユーザーの離脱を防ぐための対策を講じる際に活用できます。サブスクリプションサービスが増えるにしたがって、カスタマーチャーンの重要度は高くなります。というのも、サブスクリプションサービスは、一定期間継続して契約し、利用料金を払ってもらうことを基本としたビジネスモデルになるからです。
サブスクリプションサービスを安定して運営するには、既存ユーザーを維持することが重要になります。新規ユーザーの獲得には高いコストを要しますが、既存ユーザーの維持は低コストで済み、経営の安定化に大きく貢献します。そのため、既存ユーザーを確実に囲い込んで維持していくために、顧客満足度を向上させる必要があります。
「カスタマーチャーンの理由」の分析も重要
カスタマーチャーンが多発している場合は、その理由を分析する必要があります。競合他社へのチャーンが発生している場合は、「自社のサービスに何が不足しているのか?」、それとも「料金やサポートに問題があるのか?」などの理由を見極めなければなりません。理由を見つけることができれば、カスタマーチャーンを最小限に抑えることが可能となります。
まとめ:カスタマーチャーン分析は企業の成長に役立つ
カスタマーチャーンを分析することで、サービスを解約するユーザーのデータを得ることができます。解約は収益低下の原因となります。カスタマーチャーンを把握・分析することで、ユーザーの解約を防ぎ、企業の収益増加につなげていくことが可能となるでしょう。