チャットボットは、今注目されているカスタマーサービスチャネルの1つです。しかし、導入に失敗した事例も少なくないことから、自社への導入を迷っている企業も多いでしょう。
多くの企業がチャットボットの導入に失敗したのはなぜなのでしょうか。この記事では、導入に失敗した事例から学ぶチャットボット導入のポイントを解説していきます。
チャットボットとは
チャットボットとは、チャットボックスなどに届いた問い合わせにシステムが自動で回答する仕組みのことをいいます。これまでは、チャットというとオペレータが対応する有人チャットとよばれるものが主流で、自動回答の機械的な対応は好まれない傾向がありました。
しかしチャットボットの進化によって利用者が増え、一般的なFAQサイトより便利な「セルフサービスツール(ユーザーが自分で問題を解決できるツール)」の1つとして、チャットボットは浸透してきています。
チャットボットが得意なこと
チャットボットは、FAQとして登録されている質問や、シナリオにして事前に組み立てておける会話で回答することを得意としています。フリー入力の場合は、簡潔な文章や、必要な単語だけが書かれた短い質問に回答するのが得意です。
例えば、よくある質問を事前にFAQサイトやヘルプセンターで記事化しておき、チャットボックスでユーザーが質問した内容に応じて、ボットが適切な記事を紹介するといった使い方ができます。
チャットボットが不得意なこと
チャットボットは、回答が登録されていない質問や複雑な内容の問い合わせを理解したり、対応したりすることが苦手です。また、ユーザーが自由に質問内容を入力するフリー入力型の場合は、回答が見つからないときの対応方法を登録しておかないと、わからない時に誤った回答を返してしまうことがあります。
AI搭載型チャットボットであれば、ユーザーの質問内容をもとにAIが分析し、FAQサイトから適切な記事を返すことができますが、その場合でも事前に回答は用意する必要があり、また精度の高い回答を行うためにはユーザーのフィードバックを元に学習させる必要があります。
チャットボット導入の失敗例
チャットボットはユーザーにとっても企業にとっても利便性の高いツールの1つとして認められていますが、一方で、せっかく導入しても正しい回答が返ってこないために使われなくなってしまうケースも見受けられます。では、チャットボットの導入に失敗してしまう原因はどこにあるのでしょうか。
チャットボットを誰がどのように使うのかを整理せずに導入した
チャットボットを導入する際に、誰が何のために使うのか、チャットボットに何を求めているのか、導入後にどのように使うのかを整理しておく必要があります。しかし実際には、そのステップを省いてしまったことにより方向性の誤りや現場とのミスマッチが起こって導入に失敗した例も少なくありません。
このような失敗を防ぐ方法の1つに、カスタマージャーニーを作成するという方法があります。カスタマージャーニーを作成し、誰がどのように使うのかを可視化することで、このようなミスマッチを防ぐことができるでしょう。
導入を急ぐあまりFAQが十分に集められていない
チャットボットが顧客の質問に的確に答えるためには、事前に十分な内容のFAQを登録する必要があります。チャットボットの導入スピードを優先してFAQの作成を省略してしまったために、ユーザーが知りたい情報が網羅されていないというのもよくある失敗の1つです。ただし、FAQは追加修正できるので、後から改善することも可能です。
FAQを充実させれば、ボットはよりユーザーが満足する回答ができる
FAQやシナリオが適切に作られていない
チャットボットには、上述の通り得意なこと・不得意なことがあります。チャットボットが内容を理解できるようにFAQが作られていなければ、ユーザーの質問に対して正しく回答を返すことができません。チャットボットが正しく機能するためのFAQの作り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、ユーザーのニーズや動線を踏まえた上でのシナリオを構築しなければ、チャットボットの出す選択肢がユーザーにとって全く的外れなものになってしまう可能性もあります。チャットボットを導入する際は、「どういった問い合わせ内容が多いか」や「どういう案内をユーザーが求めているのか」をまずは検討し、よりユーザーの期待に応えられるように
FAQに検索キーワードが登録されていない
チャットボットの仕組みはシステムによって少しずつ異なりますが、多くの場合、ユーザーの入力した質問の中から検索キーワードを拾い、そのキーワードに合ったFAQを回答として返します。しかし、たとえ該当するFAQが登録されていても、ユーザーが入力したキーワードがそのFAQに登録されていないと正しい回答を返すことができません。
たとえば、ユーザーが「キャンセルしたい」と入力した場合には、「キャンセル」という単語を含むFAQを回答として返しますが、「解約」という単語で作成したFAQは抽出されません。
チャットボットが正しく回答できなかった場合、解析ツールを使うとそのキーワードを確認することができます。定期的に確認し、必要なキーワードをFAQに登録していくことで、チャットボットの精度が改善されていきます。
Zendeskのキーワードレポート。検索キーワード毎に分析が可能
回答がわからないときの対策ができていない
チャットボットは、ユーザーが入力した全ての質問に回答できるわけではありません。特に導入直後は回答の精度が高くないことも多く、チャットボットが理解できない質問が入力されたために誤った回答を返してしまい、問題が解決しないこともあります。回答がわからない時には有人チャットや問い合わせフォームに誘導するといった対策も必要です。
まとめ
チャットボット導入の失敗例に学ぶ、チャットボット作成のポイントを解説しました。チャットボットはとても利便性の高いツールですが、ただ単に導入すれば稼働するというものではありません。
用途や利用シーンを想定し、チャットボットの特徴を理解した上で、目的に応じたチャットボットを導入し、設定する必要があります。Zendeskならシナリオ型とフリー入力型のどちらにも対応できるチャットボットを構築できますので、ぜひ、無料トライアルでお試しください。