企業にとって、あらゆるチャネルを網羅したオムニチャネルカスタマーサービスの提供は、サポート戦略の中核部分といえます。しかし、サポートを提供するエージェントが必ずしも万能とは限りません。
そこで、各エージェントをどのチャネルにどう割り当てるかのプランがきわめて重要になります。チャネルの割り当てには、共有型モデルと専用型モデルの2つの手法があります。共有型モデルでは、エージェントは複数のチャネルを同時に処理し、専用型モデルでは、1つのチャネルに特化します。
専用型モデル
どちらの手法にも一長一短があります。一般的には、エージェントが10人以上いる組織なら、専用型モデルの採用をお勧めします。この形式では、エージェントは特定チャネルの顧客だけに全力投球します。たとえば、チャットエージェントは勤務時間中、チャットの顧客にしか対応しません。このモデルでは、エージェントが特定のチャネルについて確かな理解力を養い、顧客にとって役立つ効果的なサポートの方法を習得することができます。また、サポートチームの人数の増減にも対応しやすくなります。
ただし、このモデルにもデメリットがあります。問い合わせの内容が複雑になると、チケットをエスカレーションする必要が生じるので、エージェント自身が顧客の問題について深い理解力を養うことができない点です。そのため、専用型モデルのエージェントは、スキルセットが(潜在的に)浅いものになりがちです。
共有型モデル
共有型モデルでは、エージェントはその時その時で最も人手を必要とするチャネルに対応します。対応中に別のチャネルが混み合ってくると、随時そのチャネルに切り替えます。たとえばメールサポートで一日をスタートしても、チャットの問い合わせが増えれば、チャットに対応します。
このモデルのメリットは、エージェントが時間を有効に活かし、顧客の問い合わせに常時、応えられる点です。ただし、短時間のうちに複数のチャネルを効率よく切り替えるには、高度に訓練されたエージェントを必要とします。
組織にとってどちらのモデルが適しているか、1つの要因で判断するわけにはいきません。最終的には、展開するビジネスや、サポート組織、ビジネス目標が複合的に作用して、現実的で最適なモデルが導き出されるでしょう。