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コールセンターのテレワーク化とは?難しい理由から導入方法、注意点まで解説
新型コロナウイルスの影響により社会全体ではテレワークの普及率が向上しましたが、コールセンターのテレワークを実現するためには幾つか壁があります。そこで本記事では、コールセンターにテレワークを導入するメリットのほか、テレワークの導入を阻む課題、そしてその課題を解決してテレワークを導入する方法や注意点を紹介します。
更新日: 2023年1月5日
コールセンターがテレワーク推進をする理由とは
テレワークとは一般に、従来オフィスで行っていた業務を、各従業員の自宅などオフィス外から行う働き方を意味します。コールセンターのテレワーク化においては、インターネット回線を利用して顧客からの電話を受発信できるように環境整備し、それぞれの拠点で顧客対応をすることになります。
コールセンターにテレワークを導入するには、個人情報の取り扱いなどのセキュリティ課題や、対応品質の低下などに備えてこれまでと異なる対策を取らなくてはなりません。しかしそうした対策を講じてでもテレワークを導入するのには、次のような理由が挙げられます。
人材不足
テレワークの導入理由のひとつには、コールセンターにおいては人材不足が生じやすいことが挙げられます。コールセンターは早期離職をする人が非常に多く、『月刊コールセンタージャパン』が2019年に発表した調査によると、約4割のコールセンターにおいては、入社1年以内でオペレーターの半数以上が離職することが判明しています。
(参照元:https://callcenter-japan.com/magazine/3838.html)
このように慢性的な人手不足を解消するには、離職原因の直接的な改善に取り組むと共に、多様な人材が働きやすい環境をつくることが重要です。この点、テレワークの導入によって、在宅勤務が可能になれば、子育てや介護といった家庭の事情でオフィス勤務が難しい人でも働きやすくなります。オフィスから離れた地方人材などを雇用することも可能になるでしょう。
BCPの観点
BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、日本語で「事業継続計画」を指します。地震や台風などの天災や、感染症のようなパンデミックの発生時においても、事業を継続できるようにすることがBCP対策の目的です。
テレワークを導入して従業員が自宅からでも業務出来るようにすることで、自然災害によって交通機関が麻痺したり、感染症の流行によってオフィスで勤務したりすることが難しい場合でも、従業員は平常通りに勤務できます。それゆえ、テレワーク化はBCP対策としても導入の価値があります。
ワークライフバランス向上
テレワークは従業員のワークライフバランスの向上にも寄与します。テレワークによる在宅勤務では、従業員は長い時間をかけてオフィスに通勤する負担から解放され、プライベートの時間を多く取れるようになります。また、結婚に伴う転居や子育てなど、ライフステージの変化にも対応しやすくなるでしょう。このような観点から、テレワークは働き方改革の一環としても期待されています。
コストの削減
テレワークの導入にはコスト削減効果もあります。テレワークの導入によって出社する従業員数が減れば、都心部などに広いオフィスを構える必要性も薄れます。オフィスの規模を縮小すれば、賃貸料や電気代などの高額なランニングコストを抑制することができるでしょう。従業員に支給する交通費の削減も期待できます。
コールセンターのテレワーク化は難しいのか
上記のようなメリットがあるにもかかわらず、コールセンターにおけるテレワークの普及率は低いのが現状です。日本コールセンター協会が2020年に実施した調査「2020年度コールセンター企業実態調査」によると、在宅テレコミュニケーターを採用している企業は全体の28%に留まります。このような現状は以下に挙げる理由から、テレワークの導入が難しいと考えられます。
(参照元:https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2020.pdf )
個人情報の取り扱いが難しい
コールセンターでのテレワークが難しい第一の理由は、顧客の個人情報の取り扱いなどセキュリティ上の問題があることです。コールセンターでは顧客の個人情報に関するデータを扱う必要があります。テレワークによる在宅勤務では、情報漏洩などのセキュリティリスクに十分に備えることが難しいと考えている企業が多く、それがテレワークの普及率に歯止めをかける大きな理由になっています。
対応品質の低下が懸念される
顧客対応の品質をいかにして保つかもテレワークにおける大きな課題です。テレワークによる在宅勤務では、管理者が現場で直接にマネジメントできないため、オペレーターそれぞれの経験や能力、モチベーションの差が顧客対応の品質にダイレクトに響いてしまいます。
また、コールセンターではクレーム対応など精神的負荷の高い業務もこなさなければいけません。オペレーターが困ったり弱ったりしているときに、管理者による適切なサポートがしづらくなるのは大きなデメリットと言えます。
システムの問題
テレワークの実施にはシステム上の問題も伴います。テレワークでは従業員がそれぞれの場所で勤務し、顧客対応にあたることになります。テレワークによる在宅勤務では、各オペレーターが自宅で電話対応したリ、コールセンターのシステムを利用したりすることが可能な仕組みをつくる必要があります。具体的には、PBXやCTIなど、コールセンターのシステムのクラウド化が必要です。
コールセンターがテレワークを導入する方法と注意点
ここでは上記のような課題を克服してコールセンターにテレワークを導入する方法と、その際の注意点について解説していきます。
必要なシステムやツールを導入する
テレワークの導入には、まず必要なシステムやツールを導入しなければなりません。コールセンター固有のシステムはもちろん、顧客管理システムなどもクラウド環境で利用できるようにする必要があるでしょう。
また、リモートでもオペレーターのマネジメントやフォローができるように、情報共有やコミュニケーションのための手段も確保しなければなりません。そのためには、同時にチャットツールやタスク管理ツールを導入するのがおすすめです。システムの導入に際しては、自社の目的や業態に合ったツールを選定し、運用管理者を付ける必要があります。
オンラインで業務を遂行する運用体制をつくる
ツールの導入が完了したら、次はオンラインで業務を遂行するための運用体制を構築していきます。オペレーターとはオンラインでやり取りすることになるため、タスク管理や仕事の進捗管理をクラウド上で行えるようにしなければなりません。仕事状況の確認や適切なサポートを行うため、チャットツールやWeb会議システムなどを使って、意識的にコミュニケーションの質や頻度を高めるのがおすすめです。
また、セキュリティを高めるためにVPN接続を各従業員が使えるようにしたり、テレワーク下における働き方や顧客情報の安全な取り扱いを確認するための研修などを実施したりすることも大切です。テレワークによって各従業員に通信料や電気代などの出費が発生することを見込んで、テレワーク手当の支給も検討しましょう。
コールセンターでテレワークを可能にするZendeskの価値
コールセンターにテレワークを導入する際には、クラウド型コールセンターソフトウェア「Zendesk」の利用がおすすめです。Zendeskはコールセンターの問い合わせ管理などを行えるクラウド型のカスタマーサービスソリューションです。
Zendeskを導入すれば、PBXやCTIを個別に導入しなくとも、PCで受電や通話を行なえます。したがって、コスト面でもシステム面においても導入の負担を抑え、テレワーク環境に移行することが可能です。電話による問い合わせ内容は自動録音や監査ログが確認できるので、トラブルの際には管理者が適宜確認し、迅速に適切な対応を行うことができます。
また、IPアドレス制限のほか、パスワードポリシーの設定や二段階認証への対応、一定時間非アクティブでいるとログオフするセッション管理機能など、セキュリティ面も担保されます。FAQや、問い合わせ対応画面からメールやSlackで関連部署や外部業者に連絡することを可能とするサイドカンバセーションの機能により、情報収集や関係者との連携も容易に可能です。
昨今は電話だけでなく、LINEやFacebookなど含めた多様なチャネルへの対応を検討するコールセンターも多いですが、Zendeskは同じサービス基盤で簡単にマルチチャネルを統合することができます。つまり、Zendeskを導入すれば、テレワーク環境下であっても安全かつ効率的な業務が行えるのです。
まとめ
コールセンターへのテレワークの導入には、人手不足の改善やコスト削減効果などのメリットがありますが、他方でセキュリティやマネジメントが難しいというデメリットもあります。
こうした課題を克服してテレワークを導入するには、自社に合ったITツールの導入や、それらのツールを活用した運用体制の再構築が必要です。テレワーク用のコールセンターシステムとしては、クラウド型ソフトウェア「Zendesk」がおすすめです。テレワークを導入する際にはぜひご検討ください。