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コールセンター業務でのエスカレーションパスの重要性とスムーズな運用のための設計ポイント

更新日: 2024年6月22日

コールセンター業務では、顧客の問い合わせに対して担当者の知識や判断だけで回答できないときがあります。そのときは速やかに上司や関連部門に指示や協力を仰いだり、対応を依頼したりする「エスカレーション」が必要です。エスカレーションがスムーズにできないと顧客への回答が遅れ、顧客満足度が低下する可能性が高まります。

本記事では、コールセンター業務の効率化と顧客満足度の改善に向けて、エスカレーションパスの重要性と設計ポイントについて解説します。

エスカレーションパスを明確にすることがコールセンター業務に重要な理由

エスカレーションパスとは?

エスカレーションパスとは、一次対応の担当者だけでは顧客に回答ができない場合に、上司や関連部門に必要な対応を依頼するときのプロセスやフロー、ルールのことです。エスカレーションは、回答に必要な知識が不足しているとき、明確に答えられない問い合わせのとき、あるいはトラブルやクレームに対して慎重な回答が求められるときなどに起こります。

エスカレーションパスは、どの部門の誰に、どのような手段で、どのタイミングで行うべきかなどについて明確にします。エスカレーションパスは、業務のスムーズな遂行、顧客満足度の向上に欠かせません。

エスカレーションパス設計の重要性

エスカレーションパスの設計(プロセス、フロー、ルールの明確化)ができていない、あるいは、あいまいだと、担当者がすぐにエスカレーションできません。それだけでなく、誤った顧客対応によって以下の問題が生じるリスクが高まります。

  • 問題が複雑化・重大化して解決が困難になる


    担当者の独断や越権行為が発生し、トラブルやクレームに発展したり、担当者が間違った回答をしたりして大きな問題に発展するリスクが高くなります。
  • 顧客対応に時間がかかり顧客満足度が低下する


    エスカレーションが必要になるたびに、指示を仰いだり、どうすべきかを考えたりしていると、顧客対応が遅れて顧客満足度や対応品質が低下する可能性があります。
  • 不要なエスカレーションで業務効率が低下する


    エスカレーションの必要性の判断基準がない、あるいはあいまいだと、担当者によっては不要不急のエスカレーションをしてしまう可能性があります。その結果、顧客対応に遅れが生じたり、担当者自身の業務効率が低下したりするだけでなく、エスカレーション先の業務に悪影響を与えて組織全体の効率を低下させます。
    エスカレーションの不備による顧客対応の遅れに課題があるときには、以下の記事が参考になります。

エスカレーションパスを明確にして適切に設計する方法


エスカレーションパスを適切に設計するには、まずはエスカレーションするケースを明確に定義します。そして、問い合わせ対応の履歴の蓄積と一元管理による共有、および社内コミュニケーションツールとの連携を行います。

エスカレーションするケースについて定義(ルール)の決定

エスカレーションパスの設計では、どのようなときに、どこに、どんなタイミングでエスカレーションするかについて、定義を明確にします。例えば、製品の仕様についてエスカレーションするとき、同じ製品でもハードかソフトかによって適切なエスカレーション先が異なる可能性があります。また、クレームの場合は、状況によってはエスカレーション先を営業部門や法務部門など複数の部門にした方が、より適切になるケースも考えられます。

通常は、直属の上司や経験の豊富な担当者に相談することで適切なエスカレーションが可能です。しかし、常に在席しているとは限らず、休暇中、離席中、あるいは別の顧客対応中などのときには指示を受けられません。そういったときに急を要するエスカレーション事例が発生しても、エスカレーションパスの定義がしっかりできていれば、スムーズにエスカレーションできます。
定義は主に以下の内容に沿って決定します。

(1)エスカレーションする内容の設定とレベル分け

エスカレーションが必要な内容と、レベル分けの主な例として以下があります。それぞれについて、内容や要求の難易度、緊急度、重要度などに応じてレベルを設定します。

・カスタマーサポート担当者では対応できないクレーム(価格や仕様・動作など)
・高度で専門的な知識がないと答えられない問い合わせ
・製品やサービスに対する要望に対して、何らかの回答を迫られる問い合わせ
・カスタマーサポートでは対応できない問い合わせ(サポートしている製品やサービス以外の内容)

(2)エスカレーションプロセスやフローの明確化と共有

次に、上記の(1)に従って、適切なエスカレーションアクションをすぐに実行できるように、プロセスやフローを明確にします。プロセスやフローには、エスカレーション先の設定とエスカレーションが必要になった理由や、関連する情報の伝達方法などを含みます。

・エスカレーション先には部門名、担当者名、電話、メールアドレスなどを設定します。必要に応じて製品別や業務担当別のエスカレーション先も設定しておくと、エスカレーション先でのたらい回しを防止でき、より迅速な対応が可能です。
・エスカレーションが必要になった理由には、顧客の問い合わせに回答できない理由と、経緯があればその概要を含めて記載します。概要のみでは回答が困難な場合、より詳細なデータを参照できるファイルの場所を明確にして、関係者で共有できるようにしておくと、回答に複数の社員が関係するときにも、迅速に情報の共有ができます。

(1)と(2)で定義したプロセスやフローを文書にして、エスカレーション先の組織も含めて共有します。これにより、担当者の入れ替わりが激しくても、あるいは上司がすぐに適切な指示を出せなくても、エスカレーションをスムーズに実行できます。

Zendeskなら管理画面から簡単にエスカレーションが可能

(3)エスカレーションパスの定義の定期的な見直し

いったん決めたエスカレーションパスの定義も、運用しながら定期的に見直して、改善点が見つかれば見直して修正していきます。

なお、修正は担当者の認識不足や誤解で間違ったエスカレーションをしたときに必要となりますが、そのときに担当者の責任を問うだけにとどまり、プロセス自体の改善を放置することは避けましょう。原因を解決しなければ、同じ間違いが起きる可能性があり、サポート担当者が今後の業務にストレスを感じてしまいます。

むしろ、エスカレーションの定義が適切ではなく誤解を生みやすい内容であったことが分かって、良かったと考えるべきです。その経験を生かして、間違いが二度と起きないようにエスカレーションパスの定義を分かりやすく改善することに注力しなければなりません。

問い合わせ内容の一元管理と対応履歴の蓄積・共有

現代で問い合わせは、メール、Webフォーム、チャット、およびメッセージアプリなど、さまざまなチャネルから届きます。一元管理できないと、対応漏れや二重対応が発生したり、問い合わせが対応履歴が散財して担当者ごとに異なった回答を顧客にしてしまう可能性があります。

エスカレーションをする際は、単に顧客からの問い合わせを転送するのではなく、顧客の詳細情報や過去の対応なども合わせてエスカレーションすると、エスカレーション先の担当者が充分な情報を持って対応ができます。

一元管理を効果的に行うにはツールの導入が効果的です。ツールによっては問い合わせのカテゴリーに応じて自動的に難度に応じてエスカレーションのプロセスを「チケットによるタグ付け」で管理できるため、エスカレーションプロセスを組織全体で把握できます。その結果、顧客の状況を明確に伝えられ、迅速に問題を解決できます。

Zendeskなら様々なメッセージングアプリと連携可能

ツール導入でコールセンター業務を効率化した企業の事例

Zendeskは世界10万社以上が利用するカスタマーサービスプラットフォームです。豊富な機能を装備し、コールセンター業務や社内問い合わせ業務の効率化を実現します。Zendeskを利用してエスカレーションパスを適切に運用し、コールセンター業務を効率化した事例を紹介します。

エスカレーションの仕組みを確立してコールセンター業務を効率化【ゴディバ ジャパン株式会社】

ゴディバ ジャパン株式会社は、日本で高級チョコレートの販売を1972年から始めて、現在は約300店舗を展開している企業です。同社は、販売チャネルの多様化や取扱品目の増加によってコールセンターでの対応プロセスが煩雑化していくなか、エスカレーションの仕組みがないことが悩みの種でした。

エスカレーションは電話、メール、口頭で行われ、ルールもフローも役割分担も明確になっていなかったため、いろいろな人がいろいろなところにエスカレーションして、その記録もバラバラに管理され、知見として積み上がっていないという課題がありました。そしてその結果、対応するメンバー間でもナレッジが生かされていない状態に陥っていました。

そこで、顧客とのやりとりやエスカレーションなどの対応履歴を一元管理する仕組みを構築するために、Zendeskを導入。導入の理由は、他社製品には少ない「エスカレーションの視点を持ち合わせた製品」であること、使い勝手やコスト、汎用性に優れている点です。

導入後、オムニチャネル化の急速な進行や新型コロナウイルス感染拡大で、オンラインによる問い合わせ件数が前年の倍近くに増加しました。しかし、サポート部門の実働時間はほぼ変化なしで対応することができました。同社はZendeskを導入していなければ、業務が逼迫されていた可能性があったとして、省力化の効果を評価してくださっています。

エスカレーションパスの適切な設計で業務効率化と顧客満足度向上を実現

エスカレーションパスを適切に設計して運用すれば、効率的かつ迅速なエスカレーションが実現でき、コールセンターの業務も効率化できて顧客満足度を向上させられます。

エスカレーションパスをうまく機能させるには、エスカレーションする内容やエスカレーション先などについて明確に定義することが必要です。また、必要なときにすぐエスカレーションができるツールを導入し、社内コミュニケーションツールとも連携することで、無駄のないエスカレーションの仕組みを実現できます。

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