ビジネス環境が厳しさを増すなか、収益源であるコアビジネスに専念するために、非コア部門を外部に委託する企業が増えています。こうした自社の業務プロセスを外部企業に委託することをBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)といいます。いま注目のBPOとは何かを見ていきましょう。
BPO(アウトソーシング)の対象となる主な業務
BPOの対象となる業務は多岐にわたります。まずは、BPOにより効率化が期待できる主な業務を紹介しておきます。
人事BPOサービス
給与計算、採用、社員研修、福利厚生といった人事関連業務のアウトソーシングサービスです。
人事部門では、毎年のように改正される労働関連法令や社会保険制度に合わせて、社内規程の変更や業務フローの改定が求められます。こうした分野に外部の専門ノウハウを取り込むことで、業務クオリティーの向上が実現できます。また、給与計算(ペイロール)のような定型業務をアウトソーシングすることで、社員はコア業務に専念できるようになります。
カスタマーケアBPOサービス
コンタクトセンターやコールセンター業務など、カスタマーケアのアウトソーシングサービスです。
顧客重視のマーケティングが浸透し、Eコマースの拡大により、カスタマーケアはますます重要性を増しています。また、コンタクトセンターは電話対応だけでなくチャットやSNSなどを含めたマルチチャネル化が進んでおり、業務の範囲も拡大しています。こうした背景から、カスタマーケアを外部委託するニーズが高まっています。
財務/経理BPOサービス
売上と伝票の付け合わせ、請求書発行、経費の精算、売掛金と買掛金の確認、などの経理業務もBPOでアウトソーシングが可能です。
経理や財務は会社のお金に直結する部分であるため、外部委託に抵抗を感じる経営者もいるかもしれません。ですが、経理をアウトソーシングして第三者の目を入れることで、コスト削減だけでなく、不正を防ぐきっかけにもなります。
調達/購買BPOサービス、その他
スケールメリットを生かした調達・購買部門やサーバ管理などの社内IT部門、最近では営業活動のアウトソーシングサービスも登場しています。
国内BPOサービス市場は右肩上がり
米国系調査会社のIDCジャパンによると、2017年の国内BPOサービス市場規模は、前年比4.7%増の7,346億円と推計されています。BPO市場は今後も右肩上がりを続け、2017年~2022年の年間平均成長率は3.6%、2022年の同市場規模は8,769億円に達すると予測しています。
同社の調査によると、2017年の国内BPOサービス市場において、前年比での成長率が最も高かったセグメントは「人事関連」のBPOサービス市場でした。福利厚生の充実を目的とした外部委託需要が増加したことに加え、マイナンバー関連のスポット業務なども市場拡大に寄与したようです。
BPO(アウトソーシング)導入のメリット
BPOを活用するメリットは、非コア業務を外部委託することで、プロパー社員がより付加価値の高いコア業務に専念できるという点です。
例えば、人事関連業務の給与計算(ペイロール)は、毎月決まった時期に発生する定型業務です。期日までにミスなく終えなければいけない、というプレッシャーのかかる作業ですが、ある程度は機械的に処理できる業務でもあります。こうした業務を外部にアウトソースすることで、人事担当者は人事制度の策定や採用活動、教育研修の立案といった、より付加価値を生む業務に時間を割けるようになります。
そのほか、アウトソーシングを活用することで、最新の法令や制度への迅速な対応、ノウハウといった専門的なサービスも享受できます。
まとめ:
BPO(アウトソーシング)の活用で業務を効率化
アウトソーシングの活用は、「経営資源を成長産業やコア事業に集中させるための事業戦略」という認識が広がりつつあります。事業におけるさまざまなリスクを最小限に抑えるためにも、BPOの活用を検討してみる必要があるでしょう。
参考: