チャットやSNSなどの新しいチャネルが登場した現在でも、 一対一で直接話せる電話を好む顧客はたくさんいます。Forrester Researchによれば、顧客の73%は過去12か月間に電話でサポートに問い合わせたことがあるそうです。
新しいチャネルでも満足度の高いカスタマーサービスを提供しようと、戦略を練ってインフラを整えている企業の多くは、電話サポートへの投資も続けています。この努力は理に適うことです。
ですが残念なことに、電話サポートソリューションが他のサポートチャネルとは切り離されている企業があまりにも多いのも事実です。電話サポートを他から切り離された単独チャネルにしてしまうと、関係者全員に大きな影響が及びます。
エージェント:生産性の低下
サポートチャネルごとにプラットフォームを切り替えなければならないため、解決に要する時間が長くなります。
別のチャネルを使用した時の履歴など、顧客がどんな体験をしてきたかの全容を確認できない状態で電話サポートを提供することになるため、個別化(パーソナライゼーション)が困難です。
電話の内容を手作業で入力するか、電話は記録しないと
マネージャー:限られた視認性
エージェントが通話内容を記録しない限り、電話サポートの詳細を確認できません。
一元化されたレポート機能がなければ、オムニチャネルサポート戦略における電話サポートの有効性は簡単には理解できません。
IT・所有者:特別なセットアップと管理
セットアップに費用がかかり、特別な統合や装置が必要になることもあります。
複数のベンダーを使う必要があります。
顧客:不満の残る体験
エージェントがシステムを切り替える時に待たされることになります。
エージェントがすべてのチャネルの過去のやりとりを確認できないため、顧客が受けるサービスはチャネルごとに異なり、一貫性がありません。
これらの問題は、電話サポートを統合するだけで解決できます。
電話サポートを統合する利点
幸いにも、分離された電話サポートを他のサポートチャネルと統合すれば、先ほど挙げた問題はどれも解決されるか、少なくとも影響を小さくできます。電話サポートを統合すると、カスタマーサービス部門はすべてのサポートチャネルをひとつの集中サポートシステムで管理できます。
先ほどの3つの問題がどう解決されるかをご説明します。
エージェント:生産性の向上
チャネルごとに別のシステムを使用していると、エージェントは一日中システムを切り替え続けなければなりません。1回あたりの切り替え時間はごく短いものですが、積み重なると全体的な生産性に大きな影響が及びます。統合型顧客コミニケーションシステムがあれば、この問題は解決されます。エージェントは別のサポートチャネルの問い合わせに対応する時にも、システムを切り替える必要がありません。また、チャネルを問わず顧客のすべての活動を確認できるようになるため、パーソナライズされたサービスを提供できます。
電話サポートを統合する時はチケットの生成、通話の録音、顧客履歴の表示を自動化する機能を盛り込んで、エージェントが手作業でメモを取る必要性や、顧客情報の記録が必要な時に複数のシステムを検索しなければならない煩雑さをなくす必要があります。すべてが自動化されて1か所にまとまっていると、エージェントは必要な背景情報を参照しながら顧客との電話だけに集中できます。それ以外にも、既存のチケットから顧客に電話をかけるとチケットが自動的に更新され、マルチチャネルのすべてのやりとりが1か所に保存されるという利点もあります。
マネージャー:視認性の向上
パフォーマンスを向上させて将来に備えるためには、カスタマーサービスの健全度をエージェント単位で見るだけではなく、部門全体という視点でも明確に確認する必要があります。他のサポートチャネルとは切り離されたシステムで電話サポートを管理していては、こうしたデータを確認することは不可能です。
1時間あたりに各エージェントが対応した着信件数と平均通話時間といったデータが保存されている通話記録のシステムと、チケット記録のシステムが別々になっていてデータがやりとりできない状態だと、全チャネルについての総合的な洞察を得ることも、先々の計画を的確に立てることもできません。
電話サポートが統合されていれば、マネージャーはチャネル全体について次のようなパフォーマンスを理解できます。
チケット全体に対する電話サポートの割合
問題の種類と問い合わせ方法の関連性:問題の種類によって電話、メール、チャットのどれが使われる傾向があるかを理解できれば、電話での問い合わせを減らすための戦略を立てたり、他のチャネルに差し向けるようにしたりして、費用削減と効率化を図れます。
スタッフのトレーニング・採用・配分の最適化:高いスキルを持つ電話サポートエージェントを追加する必要性を前もって理解できれば、それに応じて計画を立てられます。
所有者・IT:システムの統合と費用削減
カスタマーサポートプラットフォームに電話サポートソリューションを組み込めば、ITは信頼できるベンダーとして1社だけを選んで、すべてのサポートチャネルを構築できます。また、電話サポートシステムを他のチャネルと統合する時は一般的にVoIPソリューションが選ばれるため、機器や保全の費用が下がり、移植性と柔軟性にも優れているという利点があります。
顧客:満足度の高い体験
電話サポートを統合する最大の理由は、顧客にとってよりよい体験を作り出せるからです。統合すれば、企業は顧客が望む迅速で一貫性のあるパーソナライズされたサービスを提供できます。
顧客が何よりも望んでいるのは、迅速なカスタマーサービスです。前述したとおり、顧客との対応中にエージェントが過去のやりとりを確認するためにシステムを切り替えなければならないと、切り替えるつど顧客を待たせることになります。また、切り替えに要した時間を合計すると、かなりの時間になります。電話サポートが統合されていると、エージェントがその情報にすぐにアクセスできるようになるため、サービスの迅速化につながります。また、顧客を何度も待たせたり、複数のシステムに分散した情報を個別に検索するために顧客を保留にする必要がなくなります。
顧客は、知識が豊富なエージェントに親身になってサービスをしてほしいとも思っています。電話サポートが切り離されていると、エージェントは過去のその顧客とのやりとりや背景情報を知ることができません。ですが統合型電話サポートを用いていれば、エージェントはCTI画面で誰からの電話かを確認できるだけでなく、他のチャネルでの未解決チケットの有無、過去の解決済みチケットの有無、購入履歴といった顧客に関係する情報も確認できます。こうした情報がそろっていると、エージェントは顧客一人ひとりを大切にした対応がしやすくなります。
ベンダーの選定
電話サポートを統合して質の高いサービスを顧客に提供することが決まったら、次はベンダーの選定です。理想的なベンダーを選べるように、考慮すべき点をまとめました。
サポートプラットフォームの統合
他のチャネルを補いながら、エージェントのワークフローに適合させられる電話システムを探しましょう。エージェントのためには、ひとつのプラットフォームで作業できるようにする必要があり、マネージャーのためには、サポート業務の全体が確認できるものである必要があります。サポートプラットフォームに組み込まれた電話システムを採用すれば、必要となるカスタム統合を減らしながら、ソフトウェアのベンダー数を絞り込むこともできます。
着信時のポップアップ画面
着信時にポップアップウィンドウを表示して、CRMで管理されている発信者の記録へのリンクを使えるようにすると、エージェントが重要情報に簡単にアクセスできます。これは顧客サービスやサポートに重点を置いている企業にとって特に有益な機能で、パーソナライズされた体験を提供しやすくなります。
顧客の履歴
電話での対応中には、エージェントが簡単にすべてのチャネルのサポート履歴や、カスタム設定フィールドに記録されたデータなど、顧客の詳細情報を確認できるようにする必要があります。顧客が他にどんな問題を抱えているのかを理解できれば、問題を迅速に解決できるだけでなく、どのチャネルでも一貫性のあるサポートを提供できます。
チケットの自動生成
手作業でデータを入力しなくてもいいように、通話やボイスメールはチケットの自動生成機能で追跡できるものを選ぶのことが大切です。チケットは、品質保証やエージェント向けトレーニング、顧客からのフィードバックなどにも活用できます。
通話解析
生産性を継続的に理解するためには、リアルタイムのパフォーマンスデータに基づいた通話活動レポートをダッシュボードで確認できるようにする必要があります。また、履歴レポートや全チャネルを対象とした解析も簡単に実行できるようにしておくことをお勧めします。
通話の録音
システムに登録したすべてのデバイスで、着信通話と発信通話の両方を録音する機能を利用できるようにする必要があります。この録音には顧客の連絡先情報から簡単にアクセスできるようにしておきましょう。また、他のエージェントのトレーニングや品質保証にも使用できるよう、簡単に共有できるようにしておくべきです。
振り分けと自動分配
自動音声応答(IVR)システムやグループ振り分けといった振り分けツールを用いて、問い合わせを適切なエージェントや部門に割り当てられる電話サポートシステムを選ぶ必要があります。ログイン中のエージェントに順番に着信を振り分けるように設定すれば、サポート部門のメンバー間で均等な配分にできます。
柔軟性とカスタマイズ
ソフトウェアやハードウェアを追加購入する必要がなく、既存のシステムとの連携確保に柔軟に対応してくれるベンダーを探すことが大切です。部門特有の使用目的やワークフローに合わせたカスタマイズは、コンサルタントや技術者の助けがなくても簡単にできるはずです。
使いやすさ
エージェントとマネージャーはこのツールを長時間にわたって使用します。必ずユーザーの視点で設計された、使いやすいものを選ぶ必要があります。
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