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自動応対品質管理 完全ガイド

AQM(自動応対品質管理)を導入すれば、業務の合理化、コスト削減、カスタマーエクスペリエンスの向上などを実現できます。 今回は自動応対品質管理の基本について解説します。

著者: Hannah Wren, スタッフ執筆

更新日: 2024年11月21日

紫色と緑色が混ざった水に浮かんでいる、膨らんだ浮き輪に乗った男性。

自動応対品質管理とは?

AQM(自動応対品質管理)または自動品質保証とは、企業が品質モニタリングを自動化するために活用するプロセスのことです。 手動QA(品質保証)とは異なり、AQMはAI(人工知能)を利用してカスタマーサポート時のやり取りを自動的にレビューしてスキルの理想と現実の差を特定できるため、カスタマーエクスペリエンスの向上を実現することができます。

17世紀後半から18世紀初頭にかけて、西インド諸島の海域に海賊が出現しました。 キャプテン・キッドや黒ひげなど、数え切れないほどの有名な海賊たちがこの地域に侵略し、戦いや埋蔵されている宝を探し求めました。 海賊が生きている間にもしも宝物のありかを正確に把握していたら、どれほどの成功を収めただろうと疑問に思わずにはいられません。 悪名高い悪党たちが噂やぼろぼろの地図を頼りにするのではなく、宝物を見つけるためにはどこに行くべきか、そしてどこを掘るべきか正確に知っていたとしたらどうなるでしょうか?

かつては思い付くままに探検していたわけですが、今日まで時間を戻して品質管理プロセスに置き換えて考えてみると、当時の探検はトレーニング機会やプロセスの改善点を見つけるために膨大なサポート時のやり取りを調べて回るのと似ているかもしれません。 自動応対品質管理が宝の地図となり、注力すべき領域を正確に把握できるため、いつまでも調べ続ける必要はありません。 本記事ではAQMに関する詳細と活用方法についてご紹介します。AQMを導入してCX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させましょう。

このガイドの詳細:

自動応対品質管理が重要な理由

自動応対品質管理が重要なのは、手動の品質管理よりも迅速かつ効率的にカスタマーエクスペリエンスを向上させられるためです。

レビュープロセスにおいて人間的な視点は今でも重要な役割を果たしていますが、手動QAを主要戦略として取り入れるのは時代遅れになりつつあります。 実際、手動レビューに依存するのは危険です。 以下に例を挙げていきます。

  • 手動でレビューを実施した場合、サポート時の会話のわずか2%しかレビューできないためチームの視野が狭まります
  • レビュー担当者の判断が不公平になる可能性があり、その場合評価が不正確になります。
  • 手動によるレビューの場合変化に適応することが難しくなるため、成長中の企業であれば通話件数の増加に対応することに困難が生じます。

AQMは上記の問題をすべて解決できるのはもちろんのこと、その他の課題にも対応できます。 自動化機能を活用すれば、サポート時のすべてのやり取りをレビューし、その中から問題のある会話を特定することができます。さらに、パフォーマンスとカスタマーエクスペリエンスを向上させることもできます

AQMのメリット

自動応対品質管理のメリットについて詳しく見ていきましょう。 メリットの中でも最もインパクトのあるものを、一部以下に記載します。

AQMのメリットを詳しく記載した箇条書きリスト。

コスト削減

カスタマーサポート戦略に自動化を取り入れると、コストを削減できます。 AQMを導入すると企業として戦略的意思決定を行えるようになり、マネージャーはコストを削減するための取り組みを迅速に行動に移せるようになります。

たとえば、QAを実施することによってトレーニング機会と知識の断絶が明確になります。 このように先を見越したアプローチを取り入れると、より有能なチームを編成し、より質の高いカスタマーサポートを提供できるようになるため、顧客満足度の向上、解約率の低下、収益の増加につながります。

カスタマーエクスペリエンスの向上

前述のとおり、サポート時のすべてのやり取りを手作業で確認することはほぼ不可能です。その傾向は、成長中の企業や通話件数が増加している企業であれば特に顕著です。 しかし、自動化を導入すればその不可能は可能に変わります。

AQMを実施すれば大量の件数の顧客とのインタラクションを分析したり、従業員のパフォーマンスをレビューしたり、よくある顧客の不満を自動的に特定したりすることができます。 これで、マネージャーは変更を加えたり、品質保証を活用して一人ひとりに合わせたやり取りを展開したり、CXの向上を実現したりすることが可能になります。

サポート担当者のパフォーマンスの改善

マネージャーがより多くの顧客との会話を分析できれば、サポート担当者にトレーニングが必要な領域をより正確に特定することができます。 たとえば、コールセンターの数人のサポート担当者が、サポート時の会話において重要な要素(例:顧客の名前を呼ぶ)を実践していないとします。 手動QAであれば、顧客の名前を呼ばなくても一見害がないように見えることから見過ごす可能性がありますが、自動化を導入していれば見逃すことはありません。

さらに、AQMによって従業員のオンボーディングを迅速化することができます。 自動化機能を活用すれば、マネージャーは新入社員の長所と、指導が必要な点を明らかにすることができます。

ワークフローの合理化

自動化によって手動の反復作業をなくすことで、チームのワークフローを合理化できます。 AQMを導入すると、会話のレビュー、データ収集、レポート作成などを自動化できます。 これで、マネージャーはより重要な業務に集中することができます。

コールセンターを例に挙げると、マネージャーはパフォーマンスデータの調査に費やす時間を減らし、コールセンターのワークフォースマネジメントにより多くの時間取り組めるようになります。 これで従業員の効率とチーム全体の生産性が向上します。

コンプライアンスリスクを最小化

政府による規制がある業界の企業であれば、業界の基準と規制に従わなければなりません。 コールセンターでは、サポート担当者は台本に従い、必要に応じて顧客に情報を開示する必要があります。 AQMを実施すると、コンプライアンスに違反したやり取りに自動的にフラグを立てられるため、チームメンバーは同様のミスを是正することができます。これで、罰則を受けたりコンプライアンス問題を引き起こしたりするリスクを低減できます。

自動応対品質管理の主要要素

AQMには複数の特徴がありますが、その中でもプロセス全体に影響を与える3つの主要要素があります。 自動応対品質管理を実施する際に考慮すべき最も重要な点を以下でご紹介します。

自動応対品質管理の主要要素を示す3つのアイコン。

AI(人工知能)

人工知能は、自動応対品質管理の効果を大きく増幅させる重要な差別化要因です。 これまで述べてきたように、手動QAには弱点があります。具体的には、十分な範囲をレビューできない、変化への適応が難しい、レビューに不公平が生じる可能性があるといった点が挙げられます。

しかし、品質モニタリングにおける最前線の手段としてAIを活用すれば、このような問題を解決できます。 自動化を導入することにより、不公平な判断やヒューマンエラーをなくして変化に適切に対応し、さらにサポート担当者、チャネル、言語、BPO(ビジネスプロセスアウトソーサー)を問わずすべてのやり取りを対象にレビューを実施できます。 これでチームは少ない労力で多くの作業を行い、手動QAよりも適切に非効率な部分を明らかにできます。

従業員のコーチングと能力開発

AQMを導入すればサポート時のすべてのやり取りをレビューできるため、他に類を見ないほどにサポート担当者のコーチングと能力開発の機会を得られます。 AIを活用するとトレーニングのニーズを明らかにすることができます。さらに、高いパフォーマンスと低いパフォーマンス、知識の差、繰り返し発生する問題を特定できるため、 透明性のある実践的なフィードバックを定期的に提供できるようになり、チームの士気と説明責任を高めることができます。

AQMに、従業員のコーチングと能力開発を支援する機能を複数備えているプロバイダーもいます。

  • スポットライト機能によって、手動QAでは見つけられなかった可能性のあるコーチングの機会を特定できます。
  • 顧客感情分析機能をAIと組み合わせると、顧客が不満や喜びを示した会話を強調表示できます。
  • 自動アンケート機能によって顧客からフィードバックを収集して記録できるため、サポート時のやり取りの中で優れていた点と不十分だった点を知ることができます。

総合的に見ると、自動QAツールを導入すればサポート時のすべてのやり取りを活用してチームを改善できます。

高度な分析機能

自動応対品質管理を実施すれば、顧客とのインタラクションおよび組織のパフォーマンスの質に関する包括的なインサイトを得られます。 AQMを導入すると、指標、サービス品質、チームに優れた結果と好ましくない結果をもたらすそれぞれの要因が、実際にはどのように関係し合っているのか把握することができます。

たとえば、サポート担当者が特定の問題を頻繁に上位のサポートレベルの担当者に引き継いでいることが判明したとします。 このような情報を活用すれば、問題の原因がサポート担当者にあるのか、チームにあるのか、それとも組織にあるのか見極めてからトレーニングやプロセスに適切な変更を実施し、問題を解決することができます。

自動応対品質管理を導入するときに意識すべき点

これまでAQMの重要性について解説してきましたが、ここからは業務にAQMを導入するときに意識すべき点について詳しくご紹介します。成長中の企業にも、既存のAIコールセンターにも当てはまる内容となっております。 下記のヒントを参考にしてみてください。

自動応対品質管理を導入するときに意識すべき点について、詳しく記載している箇条書きリスト。

顧客第一主義を徹底する

AQMの導入を進める前に、顧客第一主義を徹底する必要があります。 顧客第一とは、個々の製品や利益ではなくあくまで顧客を意思決定の中心に据えることを意味します。 組織が進むべき方向性を決めるときに顧客のニーズを考慮すると、カスタマーエクスペリエンスに良い影響を与える意思決定を行うことができます。

目標を定める

次に、自動応対品質管理を取り入れたら達成したいことや目標を設定してください。 サポート担当者のパフォーマンス、FRT(初回返信時間)といったカスタマーサービスのKPI(重要業績評価指標)の改善、コンプライアンスリスクの軽減などを重点的に取り入れるとよいでしょう。 具体的な目標は、戦略の指針として機能します。

主要な関係者が関与する

組織の複数の部門に影響が生じるため、自動応対品質管理を導入するときは可能な限り主要な関係者を巻き込んでください。 サポートチーム、コンタクトセンター、上級管理職などの関係者と連携し、見聞きした経験とフィードバックを取り入れましょう。 相談する相手が多いほど、より包括的なAQMプロセスを構築できます。

適切なテクノロジーを活用する

AQMをフル活用するには、適切なテクノロジーを導入する必要があります。 高度な自動化、包括的な分析、顧客アンケートなどの機能を備えたZendesk QA(旧Klaus)のような自動応対品質管理システムをご検討ください。 また、製品改善を行えるよう拡張性や柔軟性も考慮しましょう。 信頼できるツールを取り入れると、包括的なAQMシステムを構築できます。

正確な情報を収集する

情報の正確性が欠けていると、AQMプロセスは効果を発揮しません。 サポート時のやり取り、顧客からのフィードバック、サポート担当者からのフィードバック、KPIなどから適切なデータを取得しましょう。 正確な傾向と数値を把握できれば情報にもとづいた意思決定を促進することができ、組織の効率が向上します。

確認、調整、改善を実施する

AQMは、最初の設定さえすれば後は何もしなくてもよいという品質管理方法ではありません。 KPI、従業員データ、その他のパフォーマンスの数値を一貫性を持ってレビューし、プロセスが意図したとおりに機能しているか確認しましょう。 また、主要な関係者に定期的に相談し、各部門におけるAQMの影響についてフィードバックを求めるのも賢明です。 継続的に改善していくと、品質管理の取り組みを着実に改善することができます。

よくある質問

Zendeskとともに自動応対品質管理を実現

自動応対品質管理とは実質的な「宝のありか」を教えてくれるものであり、チームがCXを改善するためには何に集中するべきなのか、正確に示してくれます。 今まで自動応対品質管理を取り入れていなかったからといって、必ずしもそれに倣う必要はありません。AQMは、品質管理の未来の姿です。

Zendesk QAはオートQAの実施、360度フィードバックの実行、包括的な分析および傾向の提示といった効果的な機能を備えた、AIを利用した品質管理ソフトウェアソリューションです。 上記の新機能を活用すればプロセス改善を測定できるため、有益なカスタマーエクスペリエンスを生み出すことができます。 Zendesk QAの新機能をご確認ください。