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Apple Business ChatとGoogleのBusiness Messagesについて押さえておくべき基本
Apple Business ChatとGoogleのBusiness Messagesは、顧客体験を一新する可能性を秘めた、チャットによるコミュニケーションチャネルです。この記事では、企業にどのような影響を与えるのかについて解説します。
更新日: 2024年6月22日
2020年の新型コロナウイルス感染症の流行以来、何十億人もの人々が新たな現実と格闘することを余儀なくされました。Zendeskでは、企業や顧客によるメッセージ機能の使い方にも興味深い変化が出ていることに注目しています。3密を避けなければならないニューノーマルの一環で、仕事の仕方だけでなく、人との付き合い方やビジネスの進め方も変わり、メッセージアプリの活用頻度が増えています。
最新のZendeskスナップショット調査によると、米国のスマートフォン利用者がメッセージアプリを使用する時間は、以前よりも20%増えると予測されています。この動向は、顧客とのやりとりにチャットアプリを使用している企業にも注目されています。実際、大企業では、メッセージアプリを介した問い合わせ件数の増加率が実に80%にも達しています。
WhatsAppやFacebook Messenger、WeChatについては、いまや企業は必要な知識を身につけていますが、企業として対応すべきソリューションはこれらだけではありません。AppleとGoogleもそれぞれ独自に企業向けのメッセージ機能を開発しています。
Zendeskが2021年2月に発行した「2020年のメッセージ機能を介したコミュニケーションチャネルの状況」レポートの中で、今後はApple Business ChatとGoogleのBusiness Messages機能の公開に注目すべきと触れましたが、実際、そのとおりになりました。
Apple Business Chatの基本
MessengerやWhatsAppといったサードパーティのチャットアプリも世界中で人気を博していますが、あらかじめ端末機器にインストールされているAppleのメッセージ機能は別格で、市場の方向性を占う試金石となっています。一目ですぐに分る青い吹き出しの絵、多目的に活用できるミニアプリ、アクセスしやすく豊富な機能を備えた、このAppleの機能は、一部の市場ではステータスシンボルにもなるほどです。
Appleの端末機器に組み込まれたメッセージアプリのiMessageは、世界中のiOSユーザーに利用されており、メッセージアプリ市場の25%を占めています。北米ではこの数字がおよそ45%にも達しています。中国のスマートフォン高級機種市場は競争が激化しており、iPhone利用者はカナダの人口の2倍近くにあたる6千万人から7千万人にも及ぶと推定されています。
Apple Business Chatは、企業がAppleのメッセージアプリを活用できるようにするためのサービスで、誰でも直感的に使える機能が用意されており、ユーザー自身で新たな機能を見つけやすくなっています。Apple Mapsの地図に表示されている企業や店舗は、電話の代わりにAppleのメッセージ機能で問い合わせるように、ユーザーに促すことができます。
iPhoneユーザーなら誰もが知っている機能で、店舗や企業に電話をするためのアイコンをタップすると、携帯端末に搭載されたChat Suggest機能が立ち上がり、メッセージでの問い合わせをユーザーに促すようになっています。
よりよい顧客体験を提供するための豊富な機能
メッセージ機能を使った体験から発生して追加されたデジタルマナーに関連する機能は、数え切れないほどあります。既読表示や入力中の表示、リアクション機能に加え、多くの対話型ビジネスソリューションで標準的に利用されている「認証済み」機能もそのひとつです。
これらの機能のほとんどがSMSでは利用できません。マーケティング担当者はSMSの開封率が98%という統計データを誇らしげに報告しますが、メッセージが何通開封されたかよりも顧客体験の質を上げる方が大切である点には触れません。
「メッセージ機能によるコミュニケーションチャネルの概況」レポートにも報告されているように、顧客満足度が最も高いチャネルはメッセージアプリで、98%です。Apple Business Chatの登場により、顧客が家族や友人と会話する時に利用している機能が、カスタマーサポートでも利用できるようになりました。
メッセージアプリで質の高い顧客体験を提供できるかどうかは、顧客を会話に引き込めるかどうかにかかっています。Appleもこの点は理解しています。Burberryも愛用しているWeChatのミニプログラムに似たミニアプリを提供し、ユーザーがGIFやステッカー、音楽、地図上の位置を共有したり、サードパーティーの支払い機能や、Apple Payなど携帯端末専用の支払い機能を使用できるようにしています。このような会話のやりとりが一つのスレッドにまとめられるという特徴も、メッセージアプリが便利な理由の一つで、ユーザーはアプリやブラウザの間を行ったり来たり切り替える必要がないからです。
米国の調理済み食事宅配サービスのFreshlyはApple Business Chatを導入し、顧客が好みのコミュニケーションチャネルで問い合わせられるようにしたうえで、ここでの会話履歴をZendesk Supportに流し込んでいます。「アカウントやサブスクリプション、食事の配達に関する質問はたいていチャットで届きます。Freshlyの場合、一刻を争うような内容が多いので、すぐに連絡がつくとお客様に喜ばれています」とカスタマーサービス担当副社長のColin Crowley氏は述べています。 このように能動的な会話で顧客をサポートすることで、Freshlyは顧客維持率を高めることに成功しています。
「Apple Business ChatとZendesk Supportを統合連携させることで、顧客のロイヤルティを高めながら迅速にサポートを提供できるだけでなく、顧客にとってよりシームレスな体験を生み出せるようになりました」
GoogleのBusiness Messagesとは
Apple Business Chatは2018年から限定的に提供されていましたが、現在は既に一般公開されており、全面的に利用できるようになっています。しかし、新登場したメッセージアプリはこれだけではありません。Googleによる企業向けソリューションもあります。様々なコミュニケーションチャネルがあるなかで、チャットの便利さが顧客に強く支持されていることは、Googleの参入からも疑う余地がありません。
Googleの
メッセージ機能戦略は、三本柱で構成されています。
Business Messages
企業の担当者やボットが顧客と会話形式でコミュニケーションをするためのチャネルで、画像のカルーセル、返信文章や返信写真の提案など、豊富な機能が用意されています。Business Messagesを介したやりとりは、インターネットの検索やGoogle Mapsから開始できます。
Verified SMS
知らない電話番号を使って企業から突然SMSメッセージが届くことも少なくありません。GoogleはVerified SMS機能を提供することで、より安全に顧客とやりとりできるようにしています。企業は認証済みプロフィールやバッジを利用することで、信頼性を示すことができます。
リッチコミュニケーションサービス(RCS)Business Messaging
RCSはSMSの流れを汲んだサービスで、通信会社や地域を限定して提供されています。企業はRCSを使うと、SMSと同様にテキストメッセージを通知してサポート対応することができます。さらにRCSでは、豊富で最新のメッセージ機能を使って、企業ブランドをアピールするチャット体験を提供できます。
北米ではAndroidがiPhoneの人気に後れを取っていますが、世界的に見ると、Androidはスマートフォン市場で実に74%という驚異的なシェアを誇っています。Android利用者の場合は、検索結果やGoogleマップ経由でBusiness Messagesを使用することになります。
AndroidでもiOSでも、顧客はGoogleマップから企業に直接メッセージを送信できます。iOSのApp Storeでは、WhatsAppよりもGoogle マップのほうが人気が高いことを考慮しても、何億人ものiOSユーザーがGoogleマップ経由でBusiness Messagesを利用する可能性を秘めています。
GoogleマップでオーストラリアのWoolworth’sや米国のWalmartを検索すると、通常の電話のアイコンに加えて、メッセージを送信するためのアイコンが表示されます。ここから会話を始めると、Googleのメッセージアプリに似たインターフェースからチャットを始めることができ、まさに画期的な機能となっています。