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AIを用いたカスタマーサービスの品質管理(QA)とは?

カスタマーサービスにおける応対の品質管理(QA)にAIを活用すると、あらゆる顧客との会話を評価し、問題のあるやり取りを特定できるだけでなく、CXを向上させるためのトレーニングの機会を発見することができます。本記事では、AIを用いた品質管理について解説します。

著者: Hannah Wren, スタッフ執筆

更新日: 2024年8月8日

幾何学的なデザインのオブジェと葉が組み合わさったものが、オレンジ色の背景の前に置かれています。

卓越したCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)と質の低いCXの違いは、ごくわずかなものです。顧客の期待は高まり続けており、対応が速いだけでは不十分な可能性があります。

顧客は、自身の好みのチャネル上で、迅速かつ一人ひとりに合わせた質の高いサポートやサービスを受けることを求めています。このような需要に応えることで、競合他社との差別化を図ることができます。

Zendeskが日本を含む世界中の消費者やビジネスリーダーを対象に行ったCXに関する年次調査であるCXトレンドレポート2024によると、CXリーダーの79%は、AIなどのより戦略的なワークフォース マネジメントツールの予算を増やそうと計画しています。後れを取らないために、カスタマーサービスの品質管理(QA)にAIを活用し、サポートチームがどんな会話においても顧客に喜ばれるCXを提供できるようにしましょう。

目次

カスタマーサービスの品質管理におけるAIの役割

カスタマーサービスの品質管理にAIを導入すると、AIを利用してコミュニケーションを評価・分析し、カスタマーサービスにおける応対品質の向上を支援することができます。具体的には、電話やメール、チャットボット、チャット、SNSなどの複数のチャネルにわたる顧客とのやり取りを見直し、提供したサポートが社内で設定した品質基準を満たしているかどうかを評価します。

カスタマーサービスの品質管理にAIを導入すると、ML(機械学習)アルゴリズムとNLP(自然言語処理)技術を利用して顧客からの問い合わせを自動的に分析し、事前に訓練を施した多言語モデルがセンチメント分析などのタスクを実行します。

インテリジェントオートメーションによって、膨大な顧客とのやり取りから、人間が見逃してしまうような傾向やインサイトの要約を迅速に提供することができます。応対が社内の品質基準に適合するようになり、CXの向上や業務効率の改善、カスタマーサービスの継続的な改善が実現します。

AIを活用せずに手動でQAを行うことの課題

カスタマーサービスの品質管理を手作業で行う従来のアプローチには限界があり、ML(機械学習)の理解を妨げる可能性があります。ここでは、手作業によるQAの課題と、AIを利用したQAがより安定した拡張性のあるソリューションを提供できる理由をいくつかご紹介します。

Illustrations highlight a list of challenges when using manual QA instead of AI.

効率性の欠如と時間の浪費

Zendeskベンチマークのデータによると、応対品質の管理を手作業で行った場合、通常人間が処理できるのは顧客とのインタラクションのうちわずか2~5%です。人間が手作業で行う品質管理の数には限界があり、より広範なCXから傾向や繰り返し発生する問題を特定することは困難です。

企業は職場にAIを取り入れて品質管理プロセスを自動化し、評価・分析できる範囲を増やすことで、CXの品質の全体像をより広範囲に掴めるようになります。例えば、Zendeskの応対品質の管理ソリューションであるZendesk QAでは、カスタマーサービス上のやり取りを100%カバーすることができます。

AIを利用したZendesk QAを導入することで、応対品質上の問題の検出、認識の違いの特定、サポート担当者のパフォーマンスの向上、そして顧客維持を促進するためのコーチングの機会の発見につながります。また、Zendesk QAを活用すれば、大規模なデータセットから典型的なやり取りを発見し、人間の目でより深く見直すことで、幅広い分析を実施することができます。

ヒューマンエラーと不公平性の増加

よく言われるように、過ちを犯すのは人間です。品質管理チームが手作業で評価を行うと、ヒューマンエラーや不公平、矛盾が生じやすくなります。人間によるレビューには個人的な好みや疲労の影響が出たり、主観的な解釈があったりして、評価にばらつきが出ることがあります。AIは、あらかじめ定義された客観的な基準にもとづいて分析するため、このようなリスクを軽減することができます。すべての会話を一貫性を持って公平に採点できるため、より信頼性の高い正確な評価を実現できます。

運用コストと技術スタックコストの増加

従来の品質管理は、人的資源に多大な投資を必要とする場合があります。サポート担当者を採用し、トレーニングを実施し、そして優秀なレビュー担当者を維持することは、特に離職率が高いカスタマーサービスチームにおいては難しい場合があります。さらに、手作業でレビューを行う担当者のチームを管理するためには、新たなソフトウェアやハードウェアが必要になり、技術スタックの複雑さが増し、運用コストが上昇する可能性があります。品質管理にAIを利用することで、サポート品質の全体像をより広範囲に理解できるようになり、人間の目でチェックすべきやり取りはどんなものなのか、方向性を把握することができます。AIによってただの推測をなくし、時間を節約することで、リソースをより効率的に使えるようになります。

限定的な拡張性

ビジネスが成長するにつれ、顧客とのやり取りは必然的に増えます。手作業で品質管理を行うと、企業の成長に追い付くことが困難になり、レビュー担当者の増員が必要になったり、分析の質が損なわれたりします。しかし、AIなら無限に拡張できます。膨大なデータセットも難なく処理できるため、顧客ベースの規模に関係なく、CXを包括的に理解することができます。これで、企業は成長に合わせて品質管理作業をシームレスに拡大することができます。

カスタマーサービスの品質管理にAIを活用するメリット

Illustrations highlight a list of challenges when using manual QA instead of AI.

AIがカスタマーサポートを形成していることから、AIが品質管理においても役立つことは明白です。AIによって顧客のニーズをより深く理解できるようになり、カスタマーサービスを提供するプロセスの継続的な改善を促進します。品質管理にAIを取り入れると、CXを向上させ、カスタマーサービスチームを強化することができます。顧客とのやり取りから得られる膨大な量のデータを分析することで、AIは貴重なインサイトを引き出し、以下のような形でビジネスに大きなメリットをもたらすことができます。

顧客ロイヤルティと顧客満足度の向上

品質管理におけるAIの役割は、単なるサポート担当者のパフォーマンス評価だけにはとどまりません。一人ひとりに合わせたコミュニケーションを品質管理することで、企業はカスタマージャーニーの中で改善すべき点を特定することができます。

分かりにくい説明や未解決の顧客からの問い合わせ、パーソナライゼーションの機会損失、繰り返し起こる顧客の不満を特定する試み。これらをAIで特定・分析することで、顧客が抱える課題に対処し、顧客が大切にされ、理解されていると感じられるようにできるため、最終的に顧客ロイヤルティと顧客満足度の強化につながります。

AIを利用して得られたインサイトで顧客離れを抑制

顧客の解約率が高いと、どんな企業にも大きな損失が生じます。品質管理にAIを導入すると、顧客とのやり取りを分析し、解約の可能性の予測につながるような傾向を特定することができます。

例えば、顧客離脱の原因となる長い待ち時間や、製品に対する度重なる顧客の苦情などの非効率性をAIによって特定することができます。これで、問題が拡大する前に対処することができ、顧客維持率と顧客ロイヤルティを高めることができます。

サポート担当者に成長と能力開発の機会を提供

カスタマーサービスチームが熱心で、従業員の満足度が高ければ、多くの場合より良いCXへとつながります。AIを利用した品質管理ツールを活用すれば、認識の違いや繰り返し発生する問題を特定し、トレーニングに含めるべき事柄を発見することができます。また、製品やサービスに関するチーム間のカスタマーサービスの差を特定し、解消することもできます。

AIによって、経営陣は問題箇所を見つけ、的を絞ったコーチングを提供しやすくなります。これでサポート担当者は成長し、カスタマーサービススキルと自信を身に付けて重要な戦力となり、従業員の離職率を減らすことができます。

CXにおける障害を特定

品質管理にAIを取り入れると、カスタマージャーニー全体を通して存在するタッチポイントを常時モニタリングすることができます。コミュニケーションを分析し、顧客満足度に悪影響を及ぼす可能性のある障害を特定することで、こういったことが可能になります。障害には、分かりにくいプロセスからチーム内の認識の違いまで、あらゆるものが含まれます。

ここで得られたインサイトにより、トレーニングプログラムの改訂が必要な分野や、プロセスの合理化が必要な分野を特定することができます。また、AIによって高度なVoC(お客様の声)プログラムを実施することもでき、これで顧客が会話中に明確に言葉にしなかった可能性のある貴重なフィードバックを発見することができます。障害を特定し、対処することで、CXを継続的に改善し、どんな顧客にもスムーズなカスタマージャーニーを確実に提供できるようになります。

カスタマーサービスの品質管理におけるAIの未来

Illustrations highlight a list of challenges when using manual QA instead of AI.

カスタマーサービスの品質管理にAIを活用することで、企業の収益増加や顧客満足度スコアの向上、顧客離れの抑制、CX業務に関連するコストの削減を期待できます。QAにおけるAIの特徴をいくつかご紹介します。

  • 優れた回答を一貫性を持って提供: AI主導の品質管理ツールとカスタマーフィードバックツールを取り入れることによって、すべての会話を迅速に品質管理し、包括的な品質管理を実現します。AIツールとワークフォース マネジメント戦略を組み合わせることで、顧客感情を効果的にモニタリングし、問題のあるケースを自動的に特定し、レビューを実施することができます。
  • サポート担当者の能力開発促進: AIは継続的にフィードバックを提供し、サポート担当者がコーチングによって成長できる領域を特定することができます。このようなアプローチにより、認識の違い、繰り返し発生する問題、トレーニングすべき事柄が浮き彫りになり、カスタマーサービスチームは最高水準のカスタマーケアを持続的に提供できるようになります。
  • パフォーマンスの傾向とインサイトを追跡・明確化し、データ駆動型の意思決定を実現: AIを利用したデータ分析とインサイトによって、部門やチーム、個人レベルで改善が必要なCXの領域を特定することができます。品質管理にAIを導入すれば、コールセンターの指標やAHT(平均処理時間)などのKPI(主要業績評価指標)をリアルタイムでモニタリングし、パフォーマンスの高い人と低い人を認識するとともに、サポート担当者やチーム全体のNPSⓇCSAT(顧客満足度スコア)を追跡することができます。

よくある質問

品質管理の強化

カスタマーサービスの品質管理にAIを導入することで、ワークフローを合理化し、エラーを最小限に抑え、すべての会話において一貫したCXを提供できるようになります。言い換えると、 AI技術によって、企業は顧客の期待に応えるだけにとどまらず、それを上回れるようになります。AIを取り入れたZendesk QAを品質管理に利用すれば、 量と質の両立を叶えることができます。
Net Promoter、Net Promoter Score、NPSはNICE Satmetrix, Inc.、Bain & Company, Inc.、Fred Reichheldの登録商標です。

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