コンタクトセンターが抱える課題
コンタクトセンターやコールセンターのオペレーターの育成について、頭を悩ませている管理担当者の方は多いのではないでしょうか。コンタクトセンターのオペレーター業務は、覚えることが多い上に複雑で、クレーム対応等によるストレス負荷も大きく、それゆえに他の業種に比べ離職率が高い傾向にあります。
そのため、優秀なオペレーターの育成が難しいことや、長く勤めているメンバーが少なくなりがちなことから、他部門との連携がおろそかになってしまうなど、多くの課題を抱えています。
経験の少ないオペレーターは顧客とのトラブルも起こしてしまうことが多く、トラブルへの対応で心身をすり減らしてしまいさらに離職が加速するなど、負のスパイラルに陥ってしまっている現場も多く見受けられます。オペレーターの負担軽減は第一に改善すべきといえるでしょう。
コンタクトセンターのAI化が進む背景
近年、コンタクトセンターにおいて、AI(人工知能)が採用されるケースが増えてきています。
その理由としては、先述したオペレーターの人材不足問題や、そこに起因するコンタクトセンターのオペレーションの品質低下が挙げられます。また、消費者の側からも、従来の電話によるサポートではなく、インターネットを通じてのサポートのみで完結させてほしいという需要が大きくなるなど、コンタクトセンターを取り巻く環境の変化も理由のひとつです。
総務省も、AIを活用したシステムの導入を推進しています。平成28年に発表された総務省の情報通信白書によると、日本において将来的にAIや機会が代替することのできる技術的な可能性が高い職業は全体の49%にのぼるとされています。
参考文献:総務省「第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~」
もっともこれは、雇用の全てがAIに取って代わるのではなく、業務の一部タスクをAIが代替することによって負担を減少させるものです。現実においても、AIが業務の一端を担うことができている事例が年々増えてきており、また、少子高齢化が進む昨今では、AIの導入による省力化・業務のスリム化を求める需要も大きくなっています。
このように、いくつかの要因から、コンタクトセンターにおいても業務のAI化が進みつつあるのです。
コンタクトセンターにAIを活用するメリット
コンタクトセンターの運営において、人的資源のひっ迫や顧客対応品質維持に関する課題が存在することと、それゆえにAIの導入が求められていることを述べてきました。
それでは、コンタクトセンターにAIを導入し活用することによって、具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。ここではいくつかのセクションごとに、内容を詳しく解説します。
顧客満足度の向上
コンタクトセンターで対応しなければならない問い合わせ数は、日々増加し続けています。一方で、応対時間や利用できるチャネルの数など、顧客が望む要求レベルも高まっています。
そのため、顧客はなにか困った際に迅速に解決したいと考えています。顧客対応にAIを導入し、簡単な対応をAIに任せれば、24時間のサポート体制を実現でき、顧客はすぐに問題解決をできるため、顧客満足度を向上させることができます。AIが顧客からの質問に答える際に、もととなるヘルプセンターやFAQのコンテンツが充実していれば、顧客からの問い合わせ内容に応じて最適な記事を紹介でき、より一層顧客の問題解決に貢献できます。
自動対応の精度の改善
顧客対応にAIを導入することのメリットの1つとして、機械学習などの技術を活用して、AIが顧客のフィードバックをもとに徐々に回答精度を高めていくことです。
例えば、ボットを顧客からの問い合わせがあれば自動で回答するという使い方をしている場合、ボットは事前に定められた答えしか返せず、的はずれな回答を返し続けるという懸念点があります。
ボットにAIを導入しても、最初は不適切なFAQを提示するなど、精度の低さが問題になってしまう場合もありますが、応対の内容を繰り返し機械学習させることで、顧客からの問い合わせに対してAIが表示する回答の精度が向上していくため、最終的に顧客対応の質が向上していきます。
ZendeskのAnswer BotはAIがユーザーの質問内容を読み取り、ヘルプセンターの記事を紹介
コンタクトセンターは様々なチャネルで顧客からの問い合わせがありますが、メールやチャット等のチャネルにAIを導入すれば、より一層顧客満足度の高い顧客対応を自動で実現できます。
CRMと連動することにより、顧客の行動や購買記録などに基づいて、状況を踏まえたより適切なメッセージやアクションを提示することも可能です。
人件費の削減
コンタクトセンターの対応窓口のひとつとしてチャットボットを用意すると、24時間365日、休むことなく無人での対応が可能です。上述の通り、AIを搭載したチャットボットなら、より顧客に満足してもらえる対応を行うことができます。
簡単な問い合わせへの対応はAIに任せ、複雑な問い合わせにのみオペレーターが有人で対応するなど、柔軟な運用をすることで省人化に繋げることができ、人件費の削減に貢献することができるでしょう。
また、経験の浅い新人オペレーターであっても、AIが提示する回答例や自動的に表示する資料によって業務をサポートできます。従来であれば紙のFAQを使うか、顧客との通話中にPCを操作してFAQのリストから最適な回答を探す手間がかかっていました。AIを活用することで、このような手間を省くことができ、結果的に人件費や人的コストの削減が可能です。
コンタクトセンター × AIの活用事例
以上のような背景から、コンタクトセンターの現場でAIが活用される事例は年々増えてきています。ここでは、AIを導入した企業の具体例を挙げ、AIがどのような業務を担うことができるのか、導入によってどのような可能性が拓けるのかを紹介します。
TEPCO(東京電力エナジーパートナー株式会社)
TEPCOは、Zendeskを活用して、電話チャネルのみで運用してきたカスタマーセンターの変革を実現しています。AIや音声認識などの最新技術を積極的に取り込み、顧客やオペレーターに優れたエクスペリエンスを提供している点が大きな特徴です。同社は新たなチャネルとして、チャットを導入し、IBM Watson Assistantを活用して構築したAIチャットボットを連携しています。
AIにより効率的に、かつ顧客満足度の高いチャットでの対応を実現しています。
株式会社TableCheck
飲食店の予約・顧客管理システムを開発しているTableCheckでは、ZendeskのAI搭載型ボットであるAnswerBotを活用し、問い合わせ対応業務を効率化しています。Table CheckはヘルプセンターをZendeskを使って構築しており、顧客へのメール対応にAIだけでなく、ヘルプセンターの記事を利用しています。
顧客からの問い合わせメールへの返信の際には、受け取ったメールの内容をAnswer Botが確認し、問い合わせ内容の解決に役立つとAIが判断したヘルプセンターの記事をメールに含んで、Answer Botが顧客に一時返信を行います。Answer Botが提案した記事の内容や、提示された記事で顧客が解決に至らなかった場合には、その理由はどこにあるのかなどを定期的に振り返ることで改善を行っています。
このようにAIはチャットでの対応だけでなく、メールを始め様々なチャネルで活用することができます。
まとめ
AIを活用することで、コンタクトセンターが内包している様々な問題を解決できます。紹介した事例でも活用されているZendeskのサービスにはAIを活用したソリューションもあり、多くの企業での採用実績があります。ZendeskのAI搭載型ボットを利用することで、貴重な人材リソースをより本質的な業務に集中することができ、業務効率を改善することで、コンタクトセンターに携わるサポート現場の方々の負担を劇的に改善することができます。
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