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AIは企業が不確実性を回避するのにどのように役立つか
AIは、不確実性が高まる世界において企業を支える強力なツールです。AIを活用することで、企業はカスタマーサービス業務を自動化し、コストを抑えて業務規模を拡大できます。
著者: Cristina Fonseca, ZendeskのAI責任者
更新日: 2024年6月22日
お客様の目から見た企業の印象は、企業が直近のやり取りでどう対応してくれたかで決まります。つまり、たとえ企業が経営の危機に瀕している場合も、あるいはサポートを必要とする顧客の数が急増している場合でも、企業は常にお客様には一貫した対応を行うことが重要です。
多くの人がより少ない労力でより多くの成果を挙げるよう求められる中、AIはチームの生産性を向上させ、効率を高め、顧客の高まる期待に応えるのを可能にしてくれます。ZendeskのCXトレンドレポート2023年版では、ビジネスリーダーの76%は、今年は顧客維持のためCXチームをさらに重視していくと回答しています。プレッシャーは上からだけではありません。1度でも不愉快な経験をしたら、顧客の61%はもうその店や業者は利用しないと答えています。
Zendeskの調査によると、ビジネスリーダーの4人に3人近くが今年はCX全般においてAI導入を優先すると回答しています。
経済的な不確実性は、逆にビジネス全体のアジリティを高める動機となり、実現できれば長期的なメリットが得られます。ビジネスリーダーの4人に3人近くが今年、CX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)全般においてAI導入を優先的に計画しているのには理由があります。それは、厳しい予算や事業運営の日常的なプレッシャーなどに苦しんでいても、AIがあればチームは常に優れたCXを提供できるからです。
従業員を増やさずに、優れたCXを提供
予算が削減されたときは顧客の期待に応えることがより一層難しくなりますが、人材不足を理由にCXの質を低下させることは避けたいものです。AIは、以下の機能により既存のチームの対応範囲と効果を拡大してくれます
顧客からのよくある問い合わせに自動回答する
すべての顧客からの問い合わせをトリアージ(優先順位付け)し、適切なサポート担当者にルーティングする
サポート担当者の作業負荷を減らし、より高価値なタスクに取り組むことができるようにする
- 充実した、気持ちの通うCXを提供する
- ヘルプセンターリソースを最適化して有効活用する
AIを利用すれば、対処すべき顧客が100人でも10万人でも、コストを抑えながら、お客様がまた利用したくなるようなCXを同時に大規模に展開することができます。Zendeskの調査では、ビジネスリーダーの68%は、AIの利用により今後数年間で大幅なコスト削減を達成できると考えています。それにより、他の目的に充当できる資金が増えるはずです。
つまり、矛盾しているようですが、自動化を正しく利用すればチームは顧客とより良い関係を築くことができます。お客様からの全ての問い合わせに人間のサポート担当者が対応する必要はありません。むしろ多くの問い合わせにはボットの方が効果的に応対できることが多いです。ボットは、効率的でしかも気持ちの通うサービスを迅速に提供しながらチームメンバーの負担を軽減してくれます。
ボットのメリット
ビジネスリーダーは「たとえチケット数(問い合わせ数)が増えても、AIはあらゆる人の体験を向上させてくれる」と考えています。Zendeskの調査では下記のデータでその理由が示されています。
回答者の70%が、AIやボットは少人数のサポートチームでも優れたサポートの維持を可能にしてくれると答えています
回答者の63%が、AIは顧客に対してよりパーソナライズされた体験を提供するのに役立つと思うと答えています
回答者の62%が、AIとボットの導入により顧客満足度が向上したと答えています
AIがどのようにビジネスのアジリティを高めるか
企業は常に何かしら課題を抱えていますが、顧客にそれを感じさせないことが重要です。人手不足であっても、サービス需要が急増していても、あるいは経済状況が厳しくても、CXの品質は常に維持する必要があります。
Zendeskの導入企業は、AIの活用により、サービス体験の品質を損なうことなくチケット数の60%の削減に成功しています。
ビジネスリーダーのほぼ4人に3人は、景気の低迷によりかえって優れたCXのニーズが増大していると考えています。あらゆる困難への対応と、サポート担当者とオペレーションの最適化による最高のパフォーマンス提供を可能にしてくれる、AIの6つのメリットを以下に紹介します。
チケット数の増加を抑える
多くの企業では、顧客から寄せられる問い合わせの50~70%は、20タイプから30タイプの共通したトピックに関するものです。AIはそれらのトピックを認識して自動応答してくれるので、人間のサポート担当者の対応時間が減り、サポート担当者はより高価値なタスクに集中できるようになります。
Zendeskの導入企業は、AIの活用により、サービス体験の品質を損なうことなくチケット数の60%の削減に成功しています。サポート担当者の生産性を向上する
Zendesk AIは、顧客の履歴や問題を迅速に把握することで、サポート担当者の生産性を倍増させます。また、必要に応じてクリックアンドドラッグで対応できたり、関連するFAQ記事へのリンクを提供することもできます。つまり、情報を探すのに費やす時間が減り、顧客からの問い合わせにより迅速に回答できるのです。
定着率を高め、オンボーディングを円滑化する
メンバーの離職がチームにとって大きな打撃となることは誰でも知っています。それまでに蓄積された知識が失われるだけでなく、新しいサポート担当者の面接や採用、訓練に時間を費やさなくてはなりません。ZendeskのAIは、メンバーの就業満足度の向上により定着率を高めることができます。また新規採用が必要な場合にも、新メンバーのオンボーディングにかかる時間を短縮して迅速に顧客サポート業務に投入することができます。
ワークフローとリソースを継続的に改善する
AIは、リソースを最新状態に保ちかつ顧客ニーズの変化に合わせて最適化することで、問い合わせのチケット化を回避してチケット数の抑制に貢献します。例えば、特定のトピックに関する問い合わせが急増すると、AIはワークフロー変更やヘルプセンターコンテンツ拡充の提案により、できるだけ人間のサポート担当者が対応しなくても済むようにサポートしてくれます。
顧客ロイヤルティを確立する
CXは、競合他社との差別化要因として、ますます重要になっています。ビジネスリーダーの80%は、経済状況が不透明な中でも将来的に事業を維持するには優れたサービスの提供が重要となると考えています。
Zendeskの調査によると、Zendesk AIの導入企業では、次の2つの重要な指標で顕著なパフォーマンスの向上が見られました。
– 取い合わせ解決までの時間が30%縮小
= CSATが前年比2%ポイント向上カスタマーサービスコストを削減する
アジリティとは、大きなプレッシャー下でもパフォーマンスレベルを維持することに他なりません。AIのメリットは、カスタマーサービスコストを長期的に抑制して他の重要な用途への資金充当を可能にしてくれます。組織の59%がすでに、CX関連のAI投資でプラスのROIを達成しています。
未来の状況に備える
常に変化が続くことが唯一の変わらないことかもしれません。しかし、そのために一貫した優れたCXの提供が損なわれることがあってはなりません。たとえ大きな期待がのしかかっても、AIの力があれば、これからどんな状況が起こっても、将来にわたって顧客と組織両方を確実にサポートできるでしょう。