顧客満足度が向上する「アクティブサポート」とは?
SNSがビジネスの鍵を握る現代。情報を「バズらせる」ことで思わぬヒット商品につながる可能性がある一方で、企業の不適切な対応から炎上してしまうケースも増えてきました。このような状況のなか、サービス運営側から顧客の不満や悩みを積極的に拾い上げ、先回りしてアプローチする「アクティブサポート」が注目を集めています。今回は「アクティブサポート」の手順や効果について見ていきます。
アクティブサポートって何?
アクティブサポートとは、ユーザーがカスタマーサービスに問い合わせてくるのを待つ従来型のサポート(パッシブサポート)ではなく、サービス運営側がユーザーの不満や問題を発見し、積極的にサポートしていく手法のことを指します。SNS上でサービスや商品に対して不満や悩み、意見を述べているユーザーを見つけ、サポートしていく行動などが当てはまるでしょう。
近年のアクティブサポートの広がりには、SNSやインターネットの力が背景にあります。インターネットの特性であるアーカイブ化や検索機能に加え、SNSのシェア機能による情報拡散力によって、顧客側・企業側ともにアクションを起こしやすくなったと言えます。
また、ツールやシステムの機能が向上したことで、不満や悩みが顕在化している顧客だけでなく、「不満や悩みを持ちそうな」顧客を見つけられるようになってきたことも大きいでしょう。TwitterやFacebook、Instagram、LinkedInなどSNSはたくさんあるのですべてを監視するのは難しいですが、それらをまとめて監視できるツールやサービスなども登場しています。
アクティブサポートの注意点、運用ポイント
SNS上で自社サービスへの不満や悩み、意見を述べているユーザーを見つけて声掛けをすると同時に、SNS上で有益な情報を発信していくこともアクティブサポートの効果を高める大事なポイント。例えば、パソコンメーカーであれば、自社の宣伝や製品サポートだけでなく、パソコンに関する豆知識といった関連情報を広く発信していきます。そうすることでフォロワー数が向上し、ブランド力の向上が見込めるでしょう。
企業が運営するSNSのなかには、不必要な摩擦を避けるために、SNSの運用方針を「情報発信のみ」に限定しているケースがあります。しかし、アクティブサポートを活用するなら、SNSの特徴である「双方向性」を生かしたユーザーとの交流を心掛けなければいけません。企業の公式アカウントとはいえ、日ごろ交流のないユーザー(アカウント)から突然サポートを申し出られると、ユーザーは構えてしまうかもしれません。
また、以下のような点にも注意する必要があります。
過去の行動履歴を残しておき、対応を望まない顧客には対応しない
やりとりは「常に公開されている」ことを念頭に置く
イレギュラーな対応は電話やメール、DM(ダイレクトメッセージ)で直接やりとりする
なお、企業のSNSアカウントに対して「@付きのメンション」(返信)を飛ばしてくるユーザーや、商品レビューや不満を積極的に書き込むユーザーは、従来の問い合わせ型の顧客と同様に考え、アクティブサポートの対象から切り離すようにします。
アクティブサポートの効果、メリット
アクティブサポートには、不満を抱えている、または今後抱えそうなユーザーを見つけ、サービス運営側から積極的にサポートを提案していくことで顧客満足度を高める、という効果があります。加えて、こまめに不満を拾い上げていくことで大きな炎上のリスクを軽減するという狙いもあります。
昨今では、企業の対応や製品規約などに問題があると、ネット上の不満を集めた「ブログ」や「まとめ」がすぐに作られてしまいます。こうなると、悪い評判はあっという間に拡散されてしまうでしょう。払拭するのは大変です。
商品やサービスの問題点を修正・解決するだけでなく、不満を述べているユーザーに対して「問題を解決しました」と直接伝えるのも効果的です。こうすることで、本人の怒りを鎮め、さらにはアップデート情報の拡散を見込めるようになります。
まとめ:守りと攻めのアクティブサポート
多くの顧客は、自らカスタマーサポートに不満を訴えることなく、黙って去っていきます。アクティブサポートには、炎上を未然に防ぐ「守り」と、黙って去って行く顧客をつなぎ止める「攻め」の両面があります。アクティブサポートを行うときは、この「守り」と「攻め」を念頭に置きながら、実施方法を検討していく必要があります。