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失われた顧客の信用を取り戻すための7つの戦略

更新日: 2024年2月24日

ブランドのイメージを傷つけるような失敗は、どんなに努力しても、避けきれるものではありません。顧客が気軽にデジタルチャネルを使う今、ブランドに接する機会は数え切れないほどあります。その分、意図せず配慮に欠けた対応をしてしまうリスクも大きくなっています。ちょっとしたミスでも誇張され、1時間もしないうちにネットを使って口コミで広がってしまうことすらあります。

BlueTreeでPRアドバイザーを務めるDan Friesは、「どんなに素晴らしい意図から出た言葉でさえも、顧客に誤解されることがあります。しかも、ほんの些細なミスですら、ちょっとやそっとの努力では信頼を回復できません。また、小さなミスであったとしても、何度も繰り返してしまうと、大きな失敗をした時と同じくらい大きな打撃を企業に与えることがあります。とりわけ、長期にわたってミスを繰り返した時の影響は計り知れません」と言います。

企業のメッセージを顧客がどう解釈するかは、コントロールしきれるものではないかもしれません。しかし、不祥事があった時にどう対処するかは、間違いなく企業しだいです。ブランドに傷がつきかねない危機に陥った時に、企業として適切に対応して顧客の信頼を回復できるかどうかは、PR部門が臨機応変に対処できるかどうかにかかっています。

こうした状況に置かれた時に、弁解するのか、進んで問題の対処に努めるのか、この選択が企業の命運を握ります。この記事では、企業のイメージを管理する最良の戦略をご紹介します。窮地に陥った経験のある人には特に参考になるはずです。

顧客の信頼を取り戻す方法

すぐに心から謝罪する

Twitterにタイミングを逸した投稿をしてしまうことや、顧客対応を誤ることも、ときにはあります。そんな時は、非を認めない態度をとるのではなく、ミスを認めて、責任を持って問題に対処するのが賢明です。弁解したり、問題の存在をまったく認めない態度をとったりすると、あっという間に顧客が離れ、企業の売上にも響きます。

問題を認識したらすぐに謝罪の言葉を用意する必要があります。

しかし、すぐに謝罪できれば、それでいいわけではありません。テンプレートを使った企業の事務的な謝罪文は、インターネットでは通用しません。顧客の問題を真摯に受け止めていることを言葉で表し、問題を解決するための実践的な行動をとることを約束する必要があります。

謝罪文を書く時は、顧客の懸念を二の次にした思いやりのないメッセージにならないように、企業の業績や評判に重点を置くことは避けるべきです。自分が顧客の立場なら、どんな対応を望むかを考えてみてください。ミスに対する企業の言い訳を聞きたいと思うでしょうか?それとも、問題の再発防止に向けて実際に行動してくれることを望むでしょうか?

心から謝罪を伝える方法を学ぶことも、不満を抱えた顧客の信頼を取り戻すための重要なステップです。誠意ある謝罪であることが顧客に伝わると、顧客満足度は最大15%も上昇するといいます。

カスタマーサービスの品質向上に努める

企業が顧客に嫌な思いをさせてしまったら、その事実は変えられませんが、他の顧客に同じ体験をさせないように取り組むことはできます。そんな時こそ、カスタマーサービスに欠けている部分や改善が必要な領域に目を向ける絶好の機会といえます。SNSでの存在感を高めるのも、カスタマーサービスを向上させる効果的な方法のひとつです。

企業と最初のやりとりにSNSを利用する人が増えています。また、顧客はSNSで製品やサービスを調べ、企業に好意的なレビューを残し、時には不満の声を投稿しています。

だからといって、オンラインで目にするすべてのトレンドを取り入れなくても、企業として、顧客との間によりよい関係を構築して、SNSで抜群の存在感をアピールしていけます。カスタマーサービスを向上させる最良の方法は、顧客のメッセージやコメント、レビューに企業から返信することです。

顧客は一貫性のある対応を好みます。送料無料を申し出るのは、その約束を守れる時だけにしなければなりません。約束を守ることも、ブランドアイデンティティの一貫性を守るために欠かせない要素です。

魅力的なギフトを提供する

不満を持った顧客の怒りを和らげて信頼を取り戻すもうひとつの方法に、顧客が期待する以上のサービスを提供するという取り組みがあります。

ギフトを贈ることは、企業が顧客を大切に思い感謝していることを伝える、非常に効果的な方法です。ギフトは、割引、クーポン、ロイヤルティ特典、製品やサービスの無料サンプルなど、様々な形で贈ることができます。

割引やクーポンはカスタマーロイヤルティを高めるうえで効果的な戦略として知られています。これを考えても、ギフトが顧客の信頼回復に役立つことは当然といえます。

ギフトをカスタマイズすれば、効果はさらに大きくなります。顧客の59%は、自分の興味に一致したパーソナライズされたプロモーションを受け取った時に、「企業に大切にされている」と感じると答えています。どんなギフトでも、顧客との関係を深めて、成約率アップにつなげられます。しかし、パーソナライズしたギフトを贈ると、顧客ロイヤルティを育み、顧客の信頼を築いていけます。

サブスクリプション型ビジネスなら、プレミアム会員の無料トライアルを提供するのもひとつの方法です。それ以外の企業なら、製品を無料で交換することや、返金を申し出ることができるでしょう。

Data on customer experience tactics

出典:Smart Insights

ユーザエクスペリエンスの観点でWebサイトのデザインを見直す

Webサイトのデザインは、顧客の体験を決める重要な部分ですが、企業が見落とすことも少なくありません。一貫性のあるブランドは、使いやすいデザインにすることで信頼性をアピールしています。企業は顧客が何を求めているかを理解して、それに応じる必要があります。

ブランディングが一貫していないと、Webサイトの利用者を警戒させることになってしまいます。コンテンツ、アプリ、プラットフォームなど、オンラインでは企業としてふさわしい一貫性のあるブランディングを行いましょう。

粋なロゴやスマートな色使いだけでは十分ではありません。使いやすいWebサイトを提供できないようでは、オンラインストアの利用者は安心して個人情報を提供できません。

使いやすいWebサイトを提供できなければ、顧客の信頼は得られません。これは、Webサイトに用意されているフォームや機能にもいえることです。画像の読み込みに時間がかかる、あるいは情報量が多すぎるWebサイトになっていると、ブランドのことを知りたくて訪問した人も、途中で断念しかねません。企業Webサイトの訪問者の44%は、会社の連絡先情報が含まれていないと、すぐにページを閉じるともいわれてます。

Impact Mapper example

Impact Mapperは、ホームページに問い合わせ方法を記載しています。

否定的なレビューを企業の改善につなげる

SNSやレビューサイトに否定的なレビューが投稿されることもあるでしょう。どんなにひどい内容のクレームでも、個人攻撃と受け止めないようにしましょう。

すべての顧客を満足させることはできないのが現実です。しかし、プロとはいえない不適切な対応をすると、企業にとって有害無益です。否定的なレビューには、一歩ひいて深呼吸してから返信するようにしましょう。

どんな時もプロにふさわしい、相手に敬意を払う返信にすることをお勧めします。顧客はレビューを読んで、購入に踏み切ることを決めるため、企業がどんな対応をしているかも見ています。

実際、否定的なレビューがあっても、企業が恐れているほど大きな害はありません。調査によると、オンラインショッピングをする人は、星の数が5つの商品よりも、星の数が平均で4~4.7の商品を購入する傾向があることがわかっています。あまりにもよすぎるレビューは信用できない印象を与えかねません。顧客が好むのも、より現実的な評価です。

戦うべき状況を慎重に見極める

顧客は常に正しいとよく言われますが、そうではないこともあります。

スタッフへの嫌がらせやブランドへの誹謗中傷に近い、怒りにまかせたコメントをする顧客や荒らしが現れることがないとはいえません。そんな時は、恐れることなく自己弁護して、企業の立場を貫く必要があります。

イライラした顧客がSNS上で不満を吐き出すのは簡単です。ときには、スタッフの悪口や写真、個人情報を投稿されることさえあります。

こうした事態に陥ったら、プロとしてふさわしい文面で、事実に反する主張に反論する備えをしたうえで、どこで一線を引くかを決めておく必要があります。嫌がらせを受けたスタッフのために確固とした態度を取ると、最終的にはブランドの評判にもプラスに働きます

Actions people take after customer experiences

出典:Smart Insightss

適切な指標を確認・評価する

自社のブランド以外でも使われている業界のキーワードをSNSで継続的に確認しておくと、新たな顧客との関係構築に役立ちます。

競合他社の動向を把握していなければ、自社のチャンスとして活用できる、他社の弱点を見いだせません。例えば、ツイートを返さないブランドについて、顧客がどんな投稿をしているのかを調べてみるのもよいでしょう。そこで得た洞察ををチャンスとして活用すれば、自社のサービス提供を拡大できるかもしれません。

顧客からフィードバックを収集することも、顧客の体験を継続的に確認して改善する有効な方法です。購入時の体験に関するアンケート調査を実施して、顧客に購入について率直な評価とレビューを提供してもらうようにしましょう。

データを分析して洞察を得ると、カスタマーエクスペリエンスにどんなギャップがあるのか、どのニーズに対処すべきなのかが見えてくるかもしれません。

さらに、指標の追跡・評価も実施して、顧客ロイヤルティカスタマーリテンション(顧客維持)を測定することもお勧めします。リテンションレート、チャーンレート(解約率)、顧客満足度、 NPS(Net Promoter Score℠、ネット・プロモーター・スコア)をはじめ、ブランドの評判を理解し、改善するために使用できる指標は多数あります。

ピンチをチャンスに変える

否定的なレビューやSNSの投稿の失敗が1つや2つあっても、ブランドにダメージを与えるにはいたりません。適切なPR・カスタマーサービス戦略を整えれば、恥ずかしい失敗もブランドの率直さのアピールに変えられます。

Kevin Payneは、コンテンツマーケティングコンサルタントです。ソフトウェア企業のマーケティングファネル構築や、コンテンツマーケティングキャンペーンによる見込み客の獲得を支援しています。

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