欧米には「どんなに熟考された計画でも、初めての敵には通用しない」という格言がありますが、これは、ビジネスにも当てはまります。初めての交渉を前に十分な準備ができていなければ、生き残れる確率はかなり低いでしょう。鋭い感覚を持つ起業家や経営者であれば、顧客のニーズに応えるためには、時にはビジネスの構造を抜本から見直さなければならないことに気づくはずです。
顧客とのコミュニケーションの中では、不満や苦情をぶつけられることもあるかもしれません。しかし、よくよく考えてみると、どんな顧客対応も(実際うまくいったかどうかにかかわらず)ビジネスをさらに良くするための貴重な情報源となり得ることがわかるでしょう。
そこでこの記事では、顧客対応から得た情報や知見をビジネスの改善に役立てるための5つの方法をご紹介します。
顧客対応を活かして改善できる5つの分野
顧客満足度
トレーニング方法
カスタマーリカバリー
従業員のモチベーション
業務プロセス
1. 顧客満足度の向上
ビジネスの成功の裏には、必ず高い顧客満足度があります。つまり、ビジネスの成功において最も重要なのは、自社の企業文化を維持したまま、満足度の高いカスタマーエクスペリエンスを提供する方法を見つけることです。顧客1人ひとりとあらゆるコミュニケーションを取ることで、その顧客だけでなく、顧客全体の満足度を向上させる上で役に立つヒントを得ることができます。
顧客のニーズは、サポート担当者からの聞き取りで推測することもできますが、本当に必要な情報は現場での生のやり取りからしか得られません。顧客満足度が向上すれば、ゆくゆくは大幅な収益アップやコスト削減も期待できます。
2. トレーニング方法の改善
ほとんどのカスタマーサービスセンターでは、顧客との通話を録音しています(チャットの会話ログを残すようなものです)。これの最も有効な活用方法は、顧客対応の手本となるような優れた対応をトレーニング教材として利用することです。たとえば、気難しい顧客に見事に対応できたケースがあれば、成功事例としてトレーニングプログラムに組み込みます。
自社に熱心なヘビーユーザーがいる場合は、顧客とのコミュニケーションの中で、ビジネスに対する貴重なアイデア、提案、意見をもらえることもあるでしょう。こうした顧客の声を経営陣に共有すれば、トレーニングへの投資を全社的に支援してもらえるようになるかもしれません。
3. カスタマーリカバリーの強化
カスタマーリカバリーとは、別の企業に乗り換えようとしている顧客をつなぎ止めたり、不機嫌な顧客の気を鎮めたりする技術のことです。カスタマーリカバリーと聞いて憂鬱な気分になる人も多いかもしれません。しかし、どれだけ誠実に顧客に対応していようと、そうした状況は起こってしまうものです。
カスタマーサービスを一度でも担当したことがあれば、激昂する顧客に対応した経験があるでしょう。顧客のさまざまな不満を聞くことになりますが、実はそこから、今後同じようなケースでうまく対応するための術を学ぶことができます。こうしたケースに対応するのは大変なことではありますが、サポート担当者にとってはこうした厳しい試練を乗り越えることが、カスタマーリカバリーの能力を高めることにつながります。
4. 従業員のモチベーションの向上
サポートチームのメンバー全員が、過去の顧客対応から学んだことを活かして顧客満足度の向上を達成できれば、不機嫌な顧客に対応する機会も減るため、従業員のモチベーションは高まります。怒りをぶつける標的にならなくなったことを感じて、自然とやる気が高まるのです。
従業員のモチベーションが高まれば、カスタマーサービスの質も高まるため、こうした好循環は企業全体にプラスに働きます。それでも不機嫌な顧客に対応しなくてはいけない時は、笑顔での対応を心がけましょう。
5. 業務プロセスの改善
カスタマーサービスチームの対応を常に注視していれば、業務プロセスを適切に変更することができます。優れた顧客対応の例があれば、それを企業全体のサポート方針として取り入れるのです。こうして一度業務プロセスを改善した後も、適宜修正や微調整を加えていけば、顧客対応やビジネス全体の質をさらに高めていくことができます。とにかく重要なのは、新たなプロセスを生み出し、採用しようとする意欲です。
つまるところ、優れた企業文化を形成できるかどうかは、カスタマーサービスチームがいかに顧客の声を尊重できるかにかかっています。顧客対応から得られる経験こそが、ビジネスを成功させ、それを維持するためのカギを握っているのです。
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