今日、多くの企業がカスタマーエクスペリエンスとカスタマーサービスに心血を注いでいます。サービスの提供形態が対面からオンラインへとシフトしつつある中、多くの顧客は、サポートを求めてデジタルチャネルを積極的に活用するようになっています。この動きは従業員の間でも広がっており、社内ヘルプデスクに関しても、デジタルソリューションのニーズがこれまで以上に高まっています。
特に、今は世界的な緊急事態の真っただ中です。顧客と従業員が問題なくやり取りを続けるには、テクノロジーをいかに活用できるかがカギを握ります。SlackやZoomのようなコミュニケーションツールを駆使するのはもちろん、従業員がスムーズに業務を進められるよう、社内ヘルプデスクの環境を整えることも重要です。まずどこから手をつければ良いのかわからないという皆さんのために、以下では、社内ヘルプデスクを管理するうえでのヒントをいくつかご紹介します。
1. サービスカタログを作成する
まずはITサービスカタログを作成しましょう。サービスカタログには、エンドユーザー向けのロードマップとして、チケットをオープンし、サービスをリクエストするために必要なすべての情報を含める必要があります。説明はわかりやすく簡潔にまとめるのがポイントです。サービスカタログには、主に次のような情報を掲載します。
カタログアイテム名
カテゴリ(ソフトウェア、ハードウェア、サポート、インフラストラクチャ)
承認の仕組み
サービスコスト
セキュリティとアクセス権限
問題追跡プロセス
期待されるソリューション
問い合わせ先
2. ナレッジベースやセルフサービスポータルを提供する
従業員がITトラブルに直面して助けが必要な時、よくありがちなのが、どこに問い合わせれば良いのかわからないということです。社内のナレッジも、見つけにくいところにまとめられていることが多く、しかも知らない間に頻繁に変更されています。社内ヘルプデスクやディレクトリベースのワークフローがあれば、従業員からの質問を自動的に適切な部署に振り分けることができます。サービスカタログが完成すれば、従業員はセルフサービスポータルにも簡単にアクセスできます。セルフサービスポータルはアクセスのしやすさが重要です。たとえば、ブラウザに「ITヘルプ」と入力するだけで、ページに飛べるようにしなければなりません。
また、ヘルプデスクソフトウェアからナレッジベースにアクセスできる仕組みも整えた方が良いでしょう。単純な問題なら、わざわざチケットを送信するより、ナレッジベースから自力で問題の解決策を検索できた方が便利です。従業員の業務がスムーズになるのはもちろん、ヘルプデスクチームの負荷が減って、個別にサポートが必要な難しい問題に注力できるようになります。
3. チームで助け合いの文化を育む
SaaSエキスパートのMatthew Monahan氏によると、ヘルプデスクのマネージャーがコスト削減にばかり気を取られていると、結果的にサービスの品質が下がってしまいます。逆に、業務遂行に必要なツールがすべて揃うように努めれば、ヘルプデスクチームは2つの面で成功を収めることができます。
1つ目に、ユーザーから問題の報告を受ける前に、先回りでサポートを提供できるようになります。2つ目に、あらゆる問題を受け付ける立場だったのが、問題解決のパートナーとして必要な時にだけ手を差し伸べれば良くなります。
情報共有を徹底することも大切です。ユーザーがいつまでに返信を求めているのか、問題解決にどれくらい時間がかかるのか、チケットの優先度はどれくらいかといった情報を、社内全体で把握できるようにしましょう。こうすることで、関係者全員が不満を持ちにくくなります。
4. 有能な人材を確保する
有能な人材を雇い、定着させることは、従業員のエクスペリエンスにも深くかかわってきます。Gartnerの調査によると、仕事にやりがいを感じているエンゲージメントの高い従業員ほど、やる気に溢れ、カスタマーエクスペリエンスの向上にも貢献しています。さらに、2009年以降、フォーチュン誌の「最も働きがいのある企業ランキング」に含まれている企業は、S&P 500指数(米国の代表的な株価指数の1つ)が84.2パーセントも高いという結果が出ています。
そこでお勧めなのが、サポートに関するトレーニングに投資し、成功のために必要なツールをチームに提供することです。経験豊富なヘルプデスク担当者に、指導者として研修や教育にかかわってもらうのも良い方法です。貴重なナレッジをたくさんシェアしてもらえるだけでなく、担当者自身にとっても、「会社から評価されている」と実感できる良い機会となります。ヘルプデスク業務に必要なのは、単に技術的なスキルだけでなく、人助けを厭わない精神です。そうした精神を持った人材を集めましょう。
5. ワークフローから問題の全体像を把握できるようにする
社内サポートをシームレスに提供できるかどうかで、ビジネスの成功は決まります。そこで重要になるのが、ユーザーとヘルプデスク担当者の双方がひと目で問題のステータスを把握できるようにすることです。そうすれば、関係者全員の不安や不満が軽減され、ユーザーエクスペリエンス全体の改善につながります。また、担当者がどの段階からでもチケット管理に携わり、問題のワークフロー全体を確認できるようになれば、スムーズな問題解決が可能になります。