顧客の多くは自分自身で問題を解決したいと思っています。しかし、いくら有益な情報を自己解決型サービス(セルフサービス)で提供していたとしても、顧客自身がそれを見つけられなければ意味がありません。一流シェフの言葉にもあるように、大事なのは「盛り付け方」と「プレゼンテーション」なのです。
デザインとユーザーエクスペリエンスは単なるバズワードというわけではありません。顧客に役立つ知識を提供する上で、重要な意味をもちます。顧客とのやりとりはそのまま、企業や提供するサービスの印象に直結します。もしウェブサイトの構成が分りづらければ、顧客はそのブランドに不満を抱くでしょう。そうならないためには構成をシンプルに、顧客が欲しい情報がすぐ分かるように配置を工夫しましょう。実際に、Zendesk Guideを利用したナレッジマネジメントの3つの良い事例ご紹介します。
1. Evernote
Evernoteは、きわめてシンプルで、素晴らしいナレッジマネジメントの好例です。まず第一に、検索バーが中央上部に配置され、一目で分かるようになっています。顧客は膨大な情報の中で迷子にならずに、目当ての記事を簡単に検索できることを望んでいます。 Evernoteのヘルプセンター(Evernote’s help center)には、トップの記事リストと共に、ナレッジベースだけでは解決できない時のために、その他の問い合わせ方法も明記されています。
2. Canva
無料のデザインツールであるCanvaのヘルプセンター(Canva’s knowledge base)では、Canvaを初めて利用する際や、不具合が起きた場合に備え、基本的な項目を用意しています。それと同時に、顧客から同社に対して機能を提案できるような、ユニークな仕組みも採用しています。Canvaは、顧客こそが最もプロダクトに触れ、ウェブサイトを訪れているという事実を理解しており、顧客の声(Voice of Customer:VoC)はプロダクト及びサービス改善に役立つ情報の宝庫であると考えているのです。
VoCを挙げてもらえる仕組みを作ることで、Canvaは顧客から学び、ビジネス全体を改善へと導く貴重な機会を得ているのです。それだけでなく、シンプルに整理されたサイドバーには、デザイン作成、アカウントの基本、Canva for workなどの項目も設けています。
3. Instacart
食料品の即日配達サービスを運営するInstacartは、きわめてシンプルなナレッジマネジメントを提供しています。検索バーだけをトップに配置し、Instacartの機能や、料金、注文や配送の内容といったよくある質問はその下に表示されています。Instacartのヘルプセンター(Instacart’s help center)は、シンプルかつ明快なカテゴリー分けにより、セルフサービスで回答を探したい顧客を解決へと導きます。
プレゼンテーションの重要性
前述の3例では、簡単にアクセスできる検索バー、短くて簡単な記事タイトル、必要な場合には別の問い合わせ方法が配置してある、などの共通点が挙げられていますが、これらはナレッジベースにおけるベストプラクティス(knowledge base design best practices)といえます。
顧客がセルフサービスで問題を解決できれば、企業にとっても利益となります。ガートナーは、適切なナレッジマネジメントを実施している組織は、全体的なサポートコストを25%まで削減できると報告(Gartner社HPより)しています。さらに、Zendesk Guideユーザーの94%が、サポートコストを50%以上も削減しています。
ウェブサイトで顧客を上手く誘導するのは難しいかもしれませんが、シンプルで見やすいナレッジベースを設置できれば、顧客はサイトへ訪れやすくなります。複雑なヘルプセンターでは、顧客が回答を見つける際に障害となってしまいます。この3つの事例から、分かりやすいヘルプセンターの作り方を参考にしてみてください。